映像の価値を下げないために。株式会社いのししが目指す、継続できる制作会社のかたち
株式会社いのしし 代表取締役 小笠原剛氏
株式会社いのししは、映像制作を軸に、企業や個人事業主向けの映像制作、テレビ番組制作、さらに映像制作スキルを教える講師業まで幅広く手がけている会社です。
テレビ番組制作の現場で長く経験を積んできた小笠原氏に、法人化の背景や事業への考え、会社のあり方、そして今後の展望についてお話を伺いました。
目次
映像の価値を下げないために築いてきた、株式会社いのししの事業軸
――現在の事業内容と、会社として大切にしている考えを教えてください。
基本的な事業は映像制作です。企業向けの映像制作を中心に、個人事業主の方からの依頼にも対応していますし、YouTube関連の制作も含まれます。また、テレビ番組の制作にも引き続き携わっています。それに加えて、映像制作のスキルを人に教える仕事も行っています。映像制作を始めたばかりの方や、現場で悩みを抱えている方に対して、個別に相談を受けながら教える形です。
会社として意識しているのは、安っぽい映像を作らないという点です。YouTubeだけを前提とした軽い映像ではなく、テレビ番組制作の現場で培ってきた感覚やクオリティを活かし、見た目や構成まで含めて、きちんとした映像を届けたいと考えています。
一緒に仕事をしているスタッフも、テレビ番組や映像制作の経験が豊富な人が多く、そうした経験値が制作の土台になっています。
現場で培った経験を、自分の名前で活かすために選んだ独立
――起業されたきっかけを教えてください。
制作会社を退職したあと、一時期アメリカに行っていました。帰国後、改めて制作会社での働き方を振り返ったときに、拘束時間の長さや仕事の進め方について、もう少し効率的に、自分の裁量で仕事ができないかと考えるようになりました。
また、もともとは日テレ系の仕事が中心でしたが、他局の仕事にも関わりたいという思いがあり、フリーランスとして独立しました。その後、仕事を続ける中で、クライアントから「法人の方が発注しやすい」という声をもらうようになり、法人化を決めました。
もう一つの理由は、自分一人の名前ではなく、会社として仕事を受けていくことで、将来的には一人社長ではない形の制作会社にしていけるのではないかと考えたことです。
――独立後に感じた変化はありますか。
会社員として会う場合と、自分のビジョンや考えを前面に出して会う場合とでは、同じ相手でも会話の深さが違います。その場限りのやり取りではなく、将来につながる話や、新しい発想が生まれる機会が増えたことは、独立して強く実感している変化です。
教える人が少ない業界で、人を育てる役割も担う理由
――映像制作を教える取り組みについて教えてください。
映像制作のスキルを教える人は、業界の中でも意外と少ないと感じています。映像を作れる人は多いですが、教えることに興味がない人が多いのが実情です。
その結果、十分に教えてもらえないまま現場で困っている人をよく見かけます。そうした人たちをサポートしたいという思いから、個人レッスンのような形で教える仕事を始めました。
ただ、単発で問題を解決して終わる関係には限界も感じていました。もう少し長い期間で関わり、成長を見届けられる形を模索した結果、オンラインサロンという形にたどり着きました。
現在は大人向けのサロンですが、今後は中高生向けの取り組みも視野に入れ、将来の映像制作者を育てることにも挑戦していきたいと考えています。
映像制作が二極化する時代に、残る会社であるために
――今後の展望について教えてください。
法人化したことで、番組制作以外の映像制作、特に企業のプロモーション映像の受注を増やしていきたいと考えています。
映像制作の業界は、低価格で簡単に作る映像と、時間とコストをかけて作る映像に二極化していくと思っています。安価なものは、今後AIに置き換わっていくでしょう。
一方で、映像そのものの需要は今後も増えていくと感じています。企業だけでなく、学校や医療の現場など、さまざまな分野で映像が必要とされる場面は増えています。だからこそ、きちんとしたスキルを持ち、価値のある映像を作れる会社として残っていきたいと考えています。
仕事と距離を取る時間が、次の発想につながる
――プライベートでのリフレッシュ方法を教えてください。
趣味は読書と旅行です。読書は小説とビジネス書が半々くらいで、ビジネス書は経営に関するものを読むことが多いです。
旅行は温泉が好きで、各地の温泉に行くことで気持ちを切り替えています。