人類の文明レイヤーを引き上げるために──ANPAN Japanが描く次世代プラットフォームの構想
ANPAN Japan合同会社 代表CEO 前田 瑞氏
ANPAN Japan合同会社は、ソーシャルメディアコマースを中核としたスーパーアプリの開発をはじめ、次世代デバイスやオンライン学習プラットフォームなど、スケールの大きな構想に挑み続けるテクノロジーカンパニーです。創業から約7年、エンジニアを中心とした少数精鋭の組織で世界を舞台に事業を展開してきた前田瑞代表。その思想の原点と、これから目指す未来について話を伺いました。
目次
事業の現在地とANPANが掲げる思想
――現在の事業内容と、会社としての軸を教えてください。
一つ目の柱は、「ANPAN」というソーシャルメディアコマースを中核としたスーパーアプリの開発です。SNSとECを融合させ、決済やゲーム、メッセンジャーなど複数の機能を一つに集約しています。特徴は、広告収益がプラットフォーム側だけでなく、ユーザーにも還元される仕組みを組み込んでいる点です。
二つ目として、スマートフォンに代わる可能性のある新しいデバイスの開発にも取り組んでいます。超音波や触覚技術(ハプティクス)に加え、脳波を活用したブレイン・インターフェースの研究も視野に入れ、人の状態や意図そのものを扱う新しいコミュニケーションの形を構想しています。
単なる入力・操作デバイスにとどまらず、感覚や思考、コンディションといった人間の内側にある情報を共有・拡張できるインターフェースとして、視覚や聴覚を超えた体験価値の創出を目指しています。
11歳の原体験から始まった起業の道
――経営を志したきっかけを教えてください。
11歳の頃に観たNHK大河ドラマ『龍馬伝』が原体験です。香川照之さんが演じた岩崎弥太郎の生き方に強い影響を受け、小さな場所から世界を変えようとする姿に「時代は変えられる」というインスピレーションを得ました。
――これまでのキャリアで印象に残っている出来事はありますか。
インドの新卒人材で、Googleなどから内定を得ていた方が、当社で働きたいと選んでくれたことです。ビジョンや挑戦そのものに共感してもらえたと感じ、経営者として強く印象に残っています。
国境に縛られないエンジニア主導の組織体制
――現在の組織体制について教えてください。
弊社は、固定的な人数や組織規模に重きを置くのではなく、プロジェクトごとに最適な人材が集まる体制を採っています。インドや東欧を中心に、すべての大陸出身のエンジニアが関わるグローバルな開発体制を構築しており、国や拠点に縛られない柔軟なチーム編成が特徴です。
営業機能よりも技術開発を中核に据え、思想やビジョンを共有できるエンジニアが主体となってプロダクトを前に進めています。
――組織運営において感じている課題はありますか。
大きなビジョンには共感してもらいやすく、エンジニアは集まりやすい一方で、バックオフィスや経営層の採用は簡単ではありません。今後の成長を見据えると、その点は課題だと考えています。
世界展開を見据えたANPANの次なる挑戦
――今後の事業展望について教えてください。
構想しているプロダクトは時間も資金も必要なため、現在は海外のソブリン・ウェルス・ファンドなどと資金調達の交渉を進めています。
ANPANという名称には「All Nations People And Networks(すべての国と人々を結ぶネットワーク)」という意味が込められています。世界中の人々やストーリーが集まる場をつくり、人類の文明レベルを次の段階へ引き上げる存在でありたいと考えています。
――現在直面している課題は何でしょうか。
世界展開を前提とする以上、各国の法規制に対応する必要があります。また、ビジネスの規模が大きいため、資金調達には時間と慎重さが求められています。
読書と映画に支えられた思考習慣、そして読者へのメッセージ
――仕事以外で大切にしている習慣はありますか。
ここ数年は、読書と映画鑑賞を続けています。年間で本も映画も100以上に触れています。特定のジャンルに偏らず、視野を広げるために幅広くインプットすることを意識しています。経営や事業構想を考える上でも欠かせない時間です。
――最後に、これから起業を考えている方や経営者の方へメッセージをお願いします。
とりあえずやってみることが大切だと思います。壁にぶつかってからが、本当の意味でのスタートです。私自身、資金調達や経営の中で数多くの困難を経験してきましたが、その一つひとつが今の判断や覚悟につながっています。挑戦し続ける限り、視界は少しずつ拓けていく。その先にしか見えない景色があるからこそ、これからも歩みを止めずに進んでいきたいと考えています。