「せんせいとみんなが安心して混ざり合う未来」をつくる──まなびぱれっとが描く学びのかたち
一般社団法人まなびぱれっと 代表 小泉 志信氏
学校と社会、先生と外の世界。そのあいだにある距離を、どうすれば自然に縮めていけるのか。一般社団法人まなびぱれっとは、「せんせいとみんなが安心して混ざり合う未来」をミッションに掲げ、教育に関わる人たちが日常的につながり合う場づくりに取り組んでいます。本記事では、小泉志信代表が語る、起業ありきではなく、目の前の誰かを大切にする姿勢から生まれた経営のかたちについて伺いました。
目次
先生と社会が自然につながるためのミッションと、三つの事業のかたち
――現在の事業内容と、会社として大切にしている考え方を教えてください。
私たちは「せんせいとみんなが安心して混ざり合う未来をつくる」というミッションを掲げ、今年で5期目になります。事業は大きく三つあり、教員1年目のサポートや教員志望の学生、地域で教育を考える若者を支援する「支える事業部」、コミュニティマネジメントやコーチング、学校現場にまだ浸透していない学びを届ける「学ぶ事業部」、企業連携や学校のやりたいを形にする「自己実現」の事業です。
――ビジョンについては、どのように考えていますか。
明確なゴールを定めるよりも、人が日常的に混ざり合う状態をつくることを大切にしています。その先にどんな未来が生まれるかは、関わる人たちと一緒につくっていきたいと考えています。
起業ありきではなかった選択──合理性と人の幸せを軸にした経営への道
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
強い起業願望があったわけではありません。学生団体を運営する中で、メンバーが教員になると関われる場所がなくなることに不安を感じていました。教員は学校に入ると外との接点が減る。そこに関わり続けられる場が必要だと考え、合理的に選んだ形が起業だったという感覚です。
――経営判断の軸にしている価値観は何でしょうか。
人として筋が通っているかどうかです。数字も大切ですが、目先の利益や分かりやすい話に飛びつくと、うまくいかないことが多い。人の道を外れていないかを常に意識しています。
――ターニングポイントとなった出来事はありましたか。
2期目に、立ち上げた事業の多くを整理しました。みんなの意見を聞いてから決めるやり方では組織が動かないと気づき、決めることが自分の役割だと腹をくくりました。オーナーシップを現場に委ねる形に変えたことが大きな転換点でした。
教えすぎない組織づくりと、オーナーシップを委ねる関係性
――組織の特徴について教えてください.
関わり方が多様な組織です。本業を持ちながら参加する人も多く、人生を豊かにする場として関わっているメンバーが中心です。関与の仕方を含めると、人数は100人弱になります。
――メンバーが主体的に動くための工夫はありますか。
やり方を教えすぎないことです。マニュアルを渡すのではなく、自分たちでプロダクトをつくってもらい、必要に応じて伴走します。主導権を委ねることで、自然と責任感が生まれると考えています。
――コミュニケーションで意識していることは何でしょうか。
隙間時間があれば誰かと連絡を取ることです。雑談の中から方向性や信頼関係が生まれることも多いと感じています。
混ざり合う拠点づくりと、地域に広がる学びの循環構想
――今後の展望について教えてください。
若手教員や教育に関心のある学生が集える拠点づくりに取り組みたいと考えています。また、地域で教育を語り合うコミュニティを育て、各地で学びが循環する仕組みを形にしていきたいです。
――現在、特に向き合っている課題は何でしょうか。
持続可能性です。仕組みを整えすぎると、関わる人の主体性が下がってしまう。そのバランスを意識しながら試行錯誤しています。
人との対話が原動力──影響を受けた言葉と、これからの自分
――影響を受けた人物や出来事を教えてください。
元大空小学校の校長先生である木村泰子さんです。22歳のときに参加した合宿で「次の教育を任せた」と声をかけていただいたことが、今も強く心に残っています。
――リフレッシュ方法についても教えてください。
人と会って話すことです。仲間や社外の経営者との対話は、経営者としての孤独を和らげてくれます。これからも人と人が安心して混ざり合える関係性を大切にしながら、目の前にいる誰かの「やりたい」に寄り添い、学びが自然に広がっていく場をつくり続けていきたいと考えています。