子どもが自分を愛せる社会へ――制度や支援の“網目”を補う

株式会社OhMyFamily 代表 加治木 基洋氏

株式会社OhMyFamilyは、「家族の幸せ」を軸に、子育ての悩みに専門家が伴走する相談サービス「チルディッシュ」を展開する企業です。既存の制度や支援の“網目”からこぼれやすい家庭の不安や孤独に寄り添い、予防的にモヤモヤを解消していく取り組みを行っています。本記事では、代表の加治木基洋氏に、事業に込めた思いやビジョンなどについて伺いました。

見えにくい“グレーゾーン”を支える伴走サービス

――現在の事業内容について教えてください。

現在は、「チルディッシュ」という子育てのあらゆる悩みに専門家バディが相談に乗るサービスにフォーカスしています。感謝を伝えるビデオレターの事業もあったのですが、そちらはほかの方に引き継ぎました。

――どのような家庭に、届けたいと考えていますか。

既存の制度や支援の狭間、いわゆる“グレーゾーン”と言われるような、存在が見えにくいけれどしんどさを抱えていて、頼り先がない家庭のセーフティーネットでありたいと思っています。

行政や国の制度、民間のサービス、NPOやボランティアなどさまざまありますが、構造的に手が届きづらかったり、後回しにせざるを得なかったりする領域があると感じているんです。しんどさが大きすぎないからこそ見えにくい面もありますし、時間・お金・住んでいる場所などの制約で既存支援とミスマッチが起き、網目からこぼれてしまうこともあります。そこを予防的に解消していくことが、家族や子育てを取り巻く問題の根っこに向き合うことだと思っています。

目指すのは「みんな家族」

――会社として大切にしている理念や、ビジョン・ミッションを教えてください。

20歳のときに最初の法人を立ち上げ、今のOhMyFamilyは2つ目の法人ですが、一貫しているテーマは「家族の幸せ」です。背景には、私自身が家庭に居心地の悪さを感じていたことがあります。

理想の家族像は今も探求し続けているところですが、現時点では「みんな家族」というイメージを持っています。ウェットではなく、ゆるやかに頼り合い・支え合い・助け合いが普通に根付いている状態が理想です。「みんな家族」を理念に、ビジョンを「最終ゴール」、ミッションを「それを実現するために乗り越える山」に設定しています。

ビジョンとして描いているのは、「どの家庭に生まれても子どもが幸せであってほしい」という願いです。ここで言う幸せとは、「自分や自分の人生を愛せる状態」を指しており、子どもだけでなく、親や周りの人にも幸せになってほしいと思っています。

ミッションは、「子育てや家族の形をアップデートしていく」ことです。現代の家族は閉ざされやすく、分断されやすい状態にあります。家族の構成員が少なくなる一方で、責任は親に集中し、さらに周囲を頼ることが「申し訳ない」「恥ずかしい」と感じられたり、社会からは「子育ては家族がやるもの」「特に母親がやれて普通」という圧力があったりします。困ったときに「家族の問題だよね」で片付けられてしまうと、状況はさらに悪化してしまうでしょう。だからこそ、「家族の問題は家族だけのものにしない」という方向を目指しています。

――今の価値観を持つようになったきっかけは何ですか。

大学受験の少し前に、ある方と出会ったことです。

私は父が厳しい家庭で育ったため、それまでは「怒られたくない」という感覚が強かったんです。自分の価値がデフォルトであると思えず、「勝ち取らないといけないもの」だと感じていました。しかし、その方との対話をきっかけに、「自分は今幸せなんだろうか」「どう生きたいんだろうか」という問いが初めて生まれました。

一つでも多くのご家庭に届けるために「仲間」を増やす

――事業面での課題と、その乗り越え方を教えてください。

一番の課題は、想いのこもったお金をもっと集めていくということです。

当社では、3カ月ほど前から寄付集めを始めました。マンスリーと単発の、2種類の方法があります。

株式会社が寄付を集めることにアレルギー反応が出る方もいるかもしれませんが、私は寄付を「実現したい未来への投票行為」や「一緒に未来をつくる仲間となる意思表明」と捉えています。寄付者は“応援する人”ではなく、一緒にやっていく仲間なんです。そのため、寄付者を満たすためのリターンは設計せず、ビジョン・ミッションの実現に近づくリターンを設計しています。

今はこの形に合意していただける方が約20名ほど参加して下さっていますが、来年には100名にまで増やしたいと思っています。

――これからの1年、特に力を入れたいことは何でしょうか。

次の1年は、サービスの質を磨き込む期間にしたいです。当社のサービスによって「助かった」と思っていただけるのは入り口で、本当の勝負どころは「助けられた人が次に困っている人を助ける側に回る」ところにあると考えています。困っている人がいたら手を差し伸べたいと思える「感情の変容」と、実際に動ける「行動変容」が実装できれば、助け合いが広がっていくのではないでしょうか。

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