「バニラを通じて、人と自然が共生する里山を次世代へ」——環境コンサルタントがマダガスカルの現場に見出した、正直な経営の在り方

合同会社Co・En Corporation 代表取締役 武末克久氏

マダガスカル産の芳醇なバニラビーンズ。その甘い香りの裏側に、生産者の暮らしや広大な森の物語があることを、私たちはどれほど知っているでしょうか。合同会社Co・En Corporationの武末克久氏は、かつて環境コンサルタントとして大手企業のSDGs経営を支援する立場にありました。しかし、理論だけでは届かない「現場」の重要性を痛感し、自らマダガスカルの地へ。現在は、現地の生産者と直接繋がり、環境に配慮した高品質なバニラを日本へ届けています。「正直であること」を経営の根幹に据え、日本とマダガスカルの里山を守ろうとする武末氏の歩みと、その先にある夢を伺いました。

環境コンサルタントから「バニラ」の現場へ。距離を縮めることで生まれる共生の形

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

前職では生物多様性の専門家として、大手企業がどうすれば自然に優しい経営ができるかを支援していました。多くの企業を分析する中で辿り着いたのが「原材料調達」という大きな壁です。食品メーカーにとって、農業や現地の現場こそが最も自然にインパクトを与える場所。しかし、作り手の顔が見えないほど、消費者や企業との距離が遠くなっているのが現状でした。

「人と人の距離を縮めなければ、自然を大切にする気持ちは湧かない」——そう確信したことがきっかけです。たまたま出会ったマダガスカルのバニラ農園は、日本の里山のように美しい場所でした。この素晴らしい場所とストーリーを、バニラという商品を通して日本のお客さんに届けたい。立場を変えて、自ら「現場」から正しい商材を提案する側に回ろうと決め、2020年に法人を設立しました。

――こだわりや強みはどのような点にありますか。

大きく4つの柱を設けています。一つ目は「圧倒的な質」。ビジネスとして選ばれるためには、まず質が良くなければなりません。二つ目は「環境」。マダガスカルの森を守り、育てる「アグロフォレストリー」という農法で育てられたバニラであること。三つ目は「生産者との直接の繋がり」。輸出業者を介さず、僕自身が現地へ足を運び、生産者の顔が見える状態で調達しています。そして四つ目が「食品安全」です。加工工場ではHACCPの認証を取得するなど、日本のメーカー様が安心して使える管理体制を整えています。

現在は卸をメインに、自社でも150社ほど、卸先経由も含めれば400社ほどに届いています。価格面では現地が高騰した際も生産者を買い支えるために維持するなど、単なるコスト重視ではない、運命共同体としてのサプライチェーンを築いています。

「正直であること」を信条に。

――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。

一番は「正直であること」です。卸売業の世界では、持っている情報が自分の優位性に直結しがちです。どこからいくらで仕入れたかといった情報は隠したくなるものですが、僕は極力正直に開示するようにしています。トレーサビリティを謳う以上、情報を管理する側が不透明であってはならない。何か問題が起きた時も隠さず、正直に伝えることが信頼の根幹だと思っています。

もう一つは「ギブ・アンド・ギブ・アンド・ギブ」の精神です。テイクを求めず、まず相手にどれだけ貢献できるかを考える。バニラを売る場面だけでなく、何かを頼まれた時に「相手の役に立っているか」を常に問い続けるようにしています。

日本とマダガスカルの里山を繋ぎ、2030年へ向けた「影響力」の拡大

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

2030年までに売上規模を現在の10倍以上に拡大したいという目標はありますが、それは単なる数字のためではありません。一番の目的はブランディング、つまり「影響力」を持つことです。「バニラといえば、アグロフォレストリーといえばCo・En Corporation」と言われる立ち位置を築き、私たちの価値観を世の中に広めていきたい。

その一環として、現在は千葉県鴨川市に拠点を構え、日本の「里山」を守る実践も始めています。マダガスカルの農園も日本の里山も、人間が適切に手を入れることで維持される自然です。マダガスカルで得た知見を日本の里山に活かし、逆に日本での経験をマダガスカルの生産者に伝える。この双方向の循環を作ることが、僕たちが究極的に実現したい「人間と自然が共生する場所作り」に直結します。

また、今後は組織としても、僕がいなくなった後もこの価値観を継承してくれる若い世代と一緒に働ける環境を作りたいですね。

家族との時間ーオンとオフを繋ぐ「自然」というスイッチ

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

小学1年生の子供がいるので、子供と一緒に過ごす時間は何より大切にしています。また、仕事とも重なりますが、東京と千葉の拠点を往復しながら山に登ったり、自然の中に身を置くことが僕にとっての最大のスイッチオフになります。

年に一度はマダガスカルへ行きますが、現地で美しい風景や生産者の姿に触れると、原点に帰るような感覚になります。仕事ではありますが、自分をリセットし、モチベーションを高めてくれる貴重な時間ですね。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。