相続不動産の課題に正面から向き合い、法務と実務をつなぐ

CENTURY21 株式会社中央プロパティー 代表取締役 松原 昌洙 氏

相続不動産は、売買の話だけでは終わりません。相続人同士の意見の違い、登記の未了、借地権の負担、空き家化など、複数の問題が同時に起きやすい領域です。代表の松原氏はこうした相続不動産の課題に特化し、相談の初期段階から解決までを一気通貫で支援する体制をつくってきました。事業の柱は、不動産エージェント事業(売買仲介)、不動産開発事業、総合建設業の3つ。その中でも、取り扱い案件のほぼすべてが、相続不動産としている松原氏に、法務・不動産実務への向き合い方、各案件に対する姿勢などについて伺いました。

相続不動産に特化した総合建設業として——。常駐弁護士と連携した支援を提供

——現在の事業内容と、会社の強みを教えてください。

事業は大きく3つあります。1つ目は売買に特化した不動産エージェント事業、2つ目は不動産開発事業、3つ目は総合建設業です。実務上は、相続不動産に関わる案件が中心です。

相続不動産は、相続人が複数いることが多く、売りたい方と売りたくない方、住み続けたい方と現金化したい方など、意思が一致しないことが珍しくありません。

不動産は現金のように物理的に分けられないため、協議が止まると手続きも止まり、結果として放置につながります。私は、こうした停滞を解くために、相談段階から法務を含めて整理することを重視しています。

最大の強みは、社内に常駐の弁護士がいることです。顧問契約だけではなく、日常的に同じ組織内で法律専門家と連携できるため、複雑な権利関係が絡む案件でも、初動から論点を外しにくくなります。

相続不動産では、遺産分割、共有持分、登記、借地権、過去の書面の扱いなど、法律論点が同時多発的に出ます。ここを最初に外すと、その後の時間と負担が大きくなります。だからこそ、法律・実務・不動産の三位一体で進める体制を最初から組んでいます。

また、司法書士や税理士など、必要な専門家と連携しながら進めています。相談者の方にとっては、窓口が分かれすぎると話が進みにくくなります。私たちは、入口から出口までを一気通貫で設計し、途中で迷わない導線をつくることを大切にしています。単に「買って売る」ではなく、「相続で止まった不動産を動く状態に戻す」ことが、私たちの仕事です。

——特に、どのような案件に強みがありますか。

相続人が複数いて意思がまとまらない案件、共有状態が長く続いている案件、借地権や空き家の問題を抱える案件などに強みがあります。相続不動産は、当事者の関係性が良好でも、いざ協議になると感情が表面化し、想定以上に難しくなることがあります。親の介護負担、過去の金銭関係、居住の継続希望など、法的な論点だけでは整理しきれない要素が必ず入ってきます。

そのため、最初に「どこが法的論点で、どこが関係調整の論点か」を分けて整理することを意識しています。法的にできることと、当事者として納得しやすい落としどころは、必ずしも一致しません。

そこを丁寧に分解して提案することが、結果として早い解決につながります。場合によっては、共有物分割請求など、訴訟に至る可能性も見据えた準備が必要です。だからこそ、弁護士が初期から同席する体制にしています。

相続を機に決裂するご家族を間近で見てきた——。キャリアと経営者としての原点とは

——この事業を始めたきっかけは何ですか。

前職でも不動産会社に在籍し、用地系のデベロッパー会社で営業に携わっていました。その頃から、相続トラブルによって不動産の整理が進まない現場を数多く見てきました。もともと仲が悪かったわけではないご家族でも、不動産の相続をきっかけに関係が決裂してしまう場面は実際にあります。その現実を繰り返し見たことが、私の原点です。

相続は、多くの方にとって人生で何度も経験することではありません。だからこそ、準備の必要性が分かっていても、具体的な対策に踏み込めないまま相続発生を迎えてしまうことがあります。

遺言書や家族信託は有効な予防策ですが、十分に普及しているとは言えません。私は、この「予防が進みにくい現実」と「発生後の困難」の両方を前提に、起きた問題を現実的に解く仕事が必要だと考えました。そこで、相続不動産に特化した現在の形をつくりました。

——経営判断で大切にしていることは何ですか。

最も重視しているのは、働く社員・スタッフが満たされていることです。労働環境、労働対価、やりがいの3つが揃っていないなら、会社が存続する意味はないと思っています。

また、私は個人の属人的なスーパープレーだけに依存しない体制を意識しています。複数名のメンバーで一つの事業を進めていくので、環境的なところも視野に入れている部分です。

各部署すべての朝会議への参加。現場との距離感を縮めるための姿勢

——社員とのコミュニケーションで実践していることはありますか。

私は、各部署のすべての朝会議に毎日参加しています。全体会議だけでなく、部署ごとの会議に入ることで、全員の顔を見ながらやり取りすることを続けています。現在の人数規模は40〜50名ですが、現場との距離を空けないことを重視しています。

この取り組みの目的は、現場の声を直接聞くことです。日々の業務報告だけでなく、「なぜこの仕事をやるのか」「何のためにやるのか」といった話が出る場をつくりたいと考えています。

相続トラブルから目を逸らさない——。整理を確実に進める力を発揮するために。

——今後の展望について教えてください。

現在は東京23区に特化して事業を展開しています。今後は、エリア拡大と支店展開を進めていきたいと考えています。一般的に不動産会社は、人口規模の大きい都市を優先して展開を検討しますが、私が重視しているのは、相続不動産トラブルが実際に発生しているかどうかです。相続の問題は都市部だけでなく地方にも存在します。地域が違っても、相続で不動産が止まる構造は共通しています。

私が目指しているのは、相続不動産のトラブルに対して、目をそらさず、解決まで伴走する体制を広げることです。予防策として遺言や家族信託の重要性を伝えることは続けますが、現実には相続発生後に問題が表面化するケースが多いのも事実です。

だからこそ、発生後の整理を実務として確実に進める力が必要です。相続登記の未了、所有者不明、空き家化、借地権の負担など、放置すれば社会全体に影響が出る課題に対し、現場で解決を積み重ねていきます。

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