スタート地点は関係ない――挑戦できる環境をつくる人材経営のかたち
株式会社メディックスエイト 代表取締役 福原 麻那氏
株式会社メディックスエイトは、「仕事を通して人と企業に幸せの架け橋を」という想いのもと、営業アウトソーシングを主軸に人材紹介、セールスマーケティング、金融教育・共済代理事業を展開する総合人材サービス企業です。代表の福原氏は、自身のキャリア経験を原点に「誰もが挑戦できる環境づくり」を掲げてきました。本記事では、創業の背景や独自の組織体制、そして金融教育型学童という次なる構想について伺います。
目次
営業に特化した総合人材サービスの全体像
――現在の事業内容と主力事業について教えてください。
当社は、人材総合コンサルティング会社という立ち位置で事業を展開しています。
主力はセールスプロセスアウトソーシング事業、いわゆる営業に特化したアウトソーシングです。一般的なビジネスプロセスアウトソーシングの中でも、当社はセールス領域に特化して支援を行っています。
そのSPO事業を軸に、人材紹介事業、セールスマーケティング事業、そして金融教育や共済代理を含む事業の4つを展開しています。
営業支援を中心に据えながら、企業の成長を多角的に支える体制を整えています。
――ホームページに記載されている金融教育事業ですが、無料で提供されているのですか?
金融教育事業では、経営者や法人、個人の方を対象に「お金とは何か」という基礎からお伝えしています。単に稼ぐ力だけではなく、稼ぎを守る力、さらに自分が動けなくなっても収入が途絶えない仕組みづくりまでを支援するものです。
無料の内容もありますが、コンサルティングとして有料で行う部分もあります。
また、共済保険の代理店としての役割も担っており、そこから生まれる収益も事業の一部になっています。
会社員時代の葛藤が生んだ創業の原点
――起業を決意された背景にはどのような経験がありましたか?
きっかけは会社員時代の経験です。私は結婚が早く、高校卒業後すぐに結婚と出産を経験しました。多くの方が大学を卒業して就職するサイクルとは異なり、社会人として働き始めたのは24歳と、比較的遅いスタートだったんです。
最初は人材紹介会社で営業を担当しました。売上を上げれば評価やポジションにつながると思っていましたが、実際は年功序列の文化が強く、契約を取っても役職は入社順という仕組みでした。インセンティブはあっても、欲しいポジションが得られるわけではなかったんです。
私はお金を多く稼ぎたいというより、自分の存在意義を認められたいという気持ちの方が強かった。どれだけ努力しても、環境によっては望む場所に届かない現実を学びました。
その後、マーケティング会社へ転職し、個人や法人のビジネスの本質に向き合う中で、スタート地点が違っても挑戦できる場があればいいと考えるようになりました。転職ではなく、そういう会社を自分でつくろうと思ったことが、起業を決意した理由です。
――社名「メディックスエイト」に込めた想いを教えてください。
もともとはママに特化した求人媒体をつくりたいという構想がありました。形にはなりませんでしたが、人のキャリアや信念を育てる場をつくりたいという想いは変わっていません。
「メディア」「クリエイト」「無限大」を掛け合わせた造語がメディックスエイトです。可能性に挑戦し続ける場でありたいという願いを込めています。
未経験でも挑戦できる環境づくりという強み
――御社の強みはどこにあるとお考えですか?
私自身の視点に加えて、社内の1on1を通じてメンバーから聞いている声も踏まえると、大きく3つあると考えています。
まず1つ目は、年齢や性別、学歴に関係なく、本気で挑戦したい人を受け入れ、プッシュアップできる環境があることです。未経験だから難しいと線を引くのではなく、「変わりたい」「チャレンジしたい」という意思があれば、その受け口になれる体制を整えています。
2つ目は、金融教育を行っている会社だからこそ、働く人自身がお金の受け取り方を選べる設計にしている点です。単に雇用するのではなく、人生設計まで含めて考えられる環境を用意しています。
3つ目は、社内で事業や企画を立ち上げられる制度です。やってみたいことがあれば、転職せずとも会社の中で挑戦できる。挑戦の機会を内側に用意していることが、当社の特徴だと思っています。
――なぜ「誰でもチャレンジできる会社」を目指しているのでしょうか?
会社員時代に感じた「挑戦の機会が限られている」という違和感が背景にあります。環境や過去の経験で可能性が決まってしまうのは違うと感じました。
だからこそ、挑戦したい人の受け皿になりたい。その想いが、制度や組織づくりに反映されています。
“ハイブリッド社員”という独自の働き方
――現在の組織体制について教えてください。
現在は約30名体制で、そのうち正社員は5名ほどです。その他は業務委託に近い形ですが、当社では「ハイブリッド社員」と呼んでいます。
――「ハイブリッド社員」とはどのような働き方なのでしょうか?
当社では、正社員と個人事業主の“良いとこ取り”をした働き方を「ハイブリッド社員」と呼んでいます。現在はこのハイブリッド社員が大半を占めています。
金融教育を行っている環境もあり、お金の受け取り方を本人が選べる仕組みにしているのが特徴です。個人事業主というと成果報酬型で不安定というイメージを持たれがちですが、当社では正社員のように固定休や有休を設けています。
一方で、個人事業主のように経費計上ができる仕組みも取り入れています。安定と柔軟性を両立させた形で、働き方そのものを設計している点は、当社独自の取り組みだと考えています。
キャリアを共に設計する伴走型マネジメント
――メンバーのモチベーションを高めるために意識していることは何ですか?
まず、その人の目的やゴール、キャリアビジョンを一緒に設計します。数ある会社の中で当社を選び、時間を共にしてくれている以上、その人の人生を預かっているという責任があるからです。
私から「これをやろう」と決めるのではなく、「どうしたいんだっけ?」と確認しながら、理想に近づく道筋を整えています。
――キャリアビジョンの設計で大切にしている姿勢を教えてください。
仕事をしていると、やる気に引っ張られて立ち止まりたくなる瞬間があります。そういう時こそ、目的やゴールが定まっていると「このために今ステップを登っている」と捉え直せます。
止まってしまうと階段が増えてしまうから、歩き続けた方がいい。そう伝えながら、伴走者として確認を重ね、キャリアを一緒につくっています。
金融教育型学童という“第2章”構想
――今後実現したい事業構想について教えてください。
私がメインで取り組んでいる金融教育事業の延長線上に、メディックスエイトの“第2章”として実現したい構想があります。それが、金融教育型の学童を無償で提供することです。
対象は小学生で、放課後の学童の時間をより有効活用できないかと考えました。宿題や遊びも大切ですが、それに加えて「生きる知恵」を学べる場にしたい。語学やAI、プログラミング、金融経済といった分野を、習い事のような形で学童内で学べる環境を整えたいと考えています。
経済格差が学習や情報の格差につながっている現状があります。習い事に通えるかどうかは、子ども自身の問題ではありません。
だからこそ、家庭の経済状況に左右されずに学べる場所をつくりたい。その最終形態として、5年以降を目安に、第2章として動き出せたらと考えています。
――なぜ無償での提供を目指しているのでしょうか?
無償といっても、裏側では収益が動く仕組みを考えています。金融教育コンサルティングや共済代理事業から生まれる収益を活用し、持続可能な形で運営する構想です。
収益があるからこそ、ボランティアのような形で提供できる。その仕組みづくりまで含めて設計しています。
100名体制と100年先も続く人材会社への展望
――今後の組織拡大や目標について教えてください。
2029年で当社は10周年を迎えます。それまでに100名体制を目指したいと考えています。その100名で、100年先も残っていけるような人材会社でありたいというのが目標です。
人材業界は横のつながりも大きく、同業他社の存在によって支えられている側面もあります。だからこそ、クライアント様から「任せてよかった」と言っていただける支援を続けていきたい。
メンバーの質を評価していただける状態を積み重ねていきたいと考えています。
――営業支援事業の今後の進化についてどのように考えていますか?
会社として、資産として残る価値を持ちたいと思っています。単発の支援にとどまらず、サービスそのものが会社の中に蓄積されていく状態が理想です。
営業支援の領域でも、今後5年以内に形として残せるものを実現したいと考えています。会社の中に価値が積み上がっていく仕組みをつくることが、次のテーマです。
経営者としての素顔とリフレッシュの時間
――3児のママでもある福原さんですが、休日のリフレッシュ方法や趣味について教えてください。
旅が一番のリフレッシュです。家族で出かけることも多いですね。グルメも好きで、お酒とお寿司は楽しみのひとつです。最近は石川県に行ってみたいと思っています。