地域に根ざし、人と人をつなぐ場をつくる――多様性で支えるダンススタジオのかたち
Dance Studio MARISOL 代表 池戸 亨氏
地域に密着しながら、幅広い世代に向けたダンスレッスンやスタジオ運営を行うDance Studio MARISOL。子どもから高齢者、さらには妊婦まで、多様な人々が集うこの場所は、単なるダンススタジオにとどまらず、地域コミュニティのハブとしての役割も果たしています。今回は代表の池戸亨氏に、スタジオ運営の背景やこだわり、今後の展望について伺いました。
目次
地域密着で広がる「ゆりかごから墓場まで」の場づくり
――現在の事業内容やコンセプトについて教えてください。
コンセプトとして掲げているのは「地域密着」です。立地的に、都内や横浜のように広域から人が集まる場所ではないため、地域に根ざした運営が重要だと考えています。周辺はファミリー層が多く、そうした方々に寄り添う形でスタジオを展開してきました。
特徴としては、「ゆりかごから墓場まで」という言い方をしているのですが、年齢やライフステージを問わず通える環境を整えている点です。子ども向けのクラスはもちろん、大人向け、さらには妊婦の方が参加できるクラスまで用意しています。現在では70歳を超えた方も通っており、幅広い世代がそれぞれのペースで利用しています。
――スタジオの利用方法にはどのような特徴がありますか。
レッスンだけでなく、スタジオレンタルとしても活用されています。インストラクターの方が練習場所として利用したり、近隣の大学のダンスサークルの学生が活動拠点として使ったりと、さまざまなニーズに応えています。周辺には小学校や大学も多く、若い世代の受け皿として機能している点も特徴です。
「ないならつくる」から始まったスタジオ運営
――スタジオを立ち上げたきっかけを教えてください。
スタジオを始めたのは約20年前ですが、当時はさまざまなジャンルに対応した総合的なダンススタジオが周囲になかったんです。社交ダンスなど特定ジャンルに特化した場所はあっても、幅広い層に向けた施設は少なかった。そこで「ないならつくろう」と思ったのがきっかけです。
また、ライブハウスのような場所も少なかったため、スタジオを使ってイベントやライブも行っています。ただし周囲に住宅があるため、音量や時間帯には配慮しながら、できる範囲で運営しています。
――これまでのご経歴について教えてください。
もともとは音楽業界にいました。レコード会社やマネジメント、海外アーティストの来日ツアーの企画など、いわゆるプロモーターのような仕事をしていました。その中でダンス業界の方々ともつながりができ、徐々に関わるようになりました。
その後、この地域に来たことをきっかけに、これまでの経験や人脈を活かしてスタジオを運営していこうと考えました。当時は今ほどオンラインやSNSが普及していなかったこともあり、都内に通い続けるよりも、自分で拠点をつくる方が現実的だと感じたのも理由の一つです。
継続の鍵は「総合力」と「人とのつながり」
――長く続けてこられた理由はどこにあると考えていますか。
一つは「総合的であること」です。特定のジャンルに特化するスタイルは強みもありますが、何かのきっかけで崩れる脆さもあると感じています。そのため、レッスン、レンタル、イベントなど複数の柱を持ち、それぞれを強化していくことを意識しています。
もう一つは、人との関わりを大切にしている点です。スタジオ運営は無人化にすることもできますが、あえて対面でのコミュニケーションを重視しています。利用者と直接関わることで関係性が深まり、それが継続につながっていると感じています。
――業界の変化や影響についてはいかがですか。
この業界は景気の影響を受けやすいと感じています。余裕があってこそ参加できる側面もあるため、経済状況によって利用者の動きは変わります。コロナ禍では大きな影響はなかったものの、現在のような不安定な社会状況の方が厳しさを感じることもあります。
興味から広がる新たな挑戦と可能性
――今後の展望について教えてください。
明確なゴールを定めているわけではありませんが、興味を持ったことに積極的に関わっていきたいと考えています。現在はスタジオ運営とは別に、キャリア支援やコンサルティングの活動にも取り組んでいます。
また、最近では障がいのあるお子さん向けのダンスレッスンも検討しています。これは特別に企画したものではなく、人とのつながりの中から自然に生まれた取り組みです。ダンスが支援の一つの形になるのではないかと感じています。
さらに、地元の活性化にも関心があります。出身地(愛知県)の状況を見ていると、地域に対して何かできることがあるのではないかと考えるようになりました。スタジオとは直接関係がなくても、新しい柱として形にしていければと思っています。
地域とともに、つながりを広げていく
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
地域密着で取り組んでいるスタジオとして、まずは多くの方に知っていただきたいという思いがあります。そして業種を問わず、同じように地域で頑張っている全国世界各国の経営者の方々とつながっていきたいと考えています。
特定の商品を販売するビジネスではないからこそ、人とのつながりが重要です。今回のような機会を通じて、新たな出会いや関係が生まれれば嬉しいです。これからも地域に根ざしながら、多様な形で人と人をつなぐ場をつくっていきたいと思います。