風船で人と想いをつなぐ――株式会社BALLOON TOKYOが描く“推し活”ビジネスの可能性と挑戦
株式会社BALLOON TOKYO 代表取締役社長 瀬口 美乃氏
株式会社BALLOON TOKYOは、風船という身近な存在を通じて新たな価値を創出する企業です。2020年に事業を立ち上げ、社名変更を経て現在の形となり、装飾事業やグッズ制作など多角的に展開しています。特に「推しごとバルーン」という独自のサービスを軸に、ファンと対象者をつなぐ新しいコミュニケーションの形を提案している点が特徴です。本記事では、代表取締役社長の瀬口 美乃氏に、事業の成り立ちや強み、組織運営、そして今後の展望について伺いました。
風船が生み出す新しい価値と“推し活”という発想
――現在の事業内容について教えてください。
現在は、「一瞬を、一生の、想い出に。」をコンセプトに、風船を通じて人の想いを形にする事業を展開しています。空間装飾やイベント演出をはじめ、お祝いバルーンや推し活バルーンの制作、スポーツチームや映画・アニメなどのIPと連携したグッズ開発まで幅広く手掛けています。2020年に風船事業を立ち上げ、社名変更を経て現在は「株式会社BALLOON TOKYO」として活動しています。
――事業の強みや特徴はどのような点にありますか。
当社の大きな特徴は「推しごとバルーン」や「お祝いバルーン」です。きっかけはBリーグの広島ドラゴンフライズさんとのコラボレーションでした。コロナ禍でファンの方が選手に直接会えない中、「応援する気持ちをもっと形にできないか」と考え、メッセージを風船に載せて選手へ届ける仕組みを考案しました。実際に届けられた様子を写真などで確認できることで、「自分の想いがちゃんと届いた」と実感していただけることが大きな特徴です。現在ではスポーツだけでなく、映画や舞台、アニメなどさまざまなコンテンツへ広がり、応援したい、お祝いしたいという気持ちを形にするサービスとして展開しています。
――理念やビジョンについて教えてください。
私たちが大切にしている理念は、「一瞬を、一生の、想い出に。」です。風船は、ただ飾るためのものではなく、お祝いしたい気持ちや応援したい気持ち、人と人との想いを形にできるツールだと考えています。その一瞬のトキメキが、一生心に残る想い出になってほしい。それが私たちのものづくりの原点です。そのためにも、風船に関する専門知識や技術を次の世代へつなぎ、未経験の方でも成長できる環境づくりに力を入れていきたいと思っています。また、今後は商品開発から製造まで自社で取り組める体制を整え、これまでにない新しい価値や文化を生み出していきたいと考えています。
芸能活動と起業を結びつけた原点
――起業されたきっかけを教えてください。
12歳から芸能の仕事をしてきた中で、20歳を迎える頃に将来の働き方を改めて考えるようになりました。アルバイトや就職と芸能活動の両立は難しいと感じ、自分でビジネスを立ち上げる道を選びました。芸能の仕事にもプラスになる形で事業を構築したいという思いから、起業に至りました。
――どのようにして現在の事業にたどり着いたのでしょうか。
起業を志してからは、数年間にわたり、さまざまな経営者の方々のもとで経営や事業づくりについて学びました。事業戦略だけでなく、人との向き合い方や挑戦を続ける姿勢など、多くのことを吸収させていただいた経験が、今の自分の土台になっています。当初は下着やアクセサリーなど、さまざまな商材を検討していましたが、自分の好きなことや得意なこと、芸能やエンターテインメントの経験を生かせるものを考えた結果、風船に可能性を感じました。
――新しい挑戦に向き合う際に大切にしている考え方はありますか。
新しい挑戦に向き合う際には、「その先に何があるのか」というワクワクを大切にしています。簡単には越えられない壁もありますし、日々さまざまな判断が求められ、大変なことも多いですが、その先にある未来を想像すると「挑戦してみたい」という気持ちのほうが自然と大きくなります。一方で、一緒に働く仲間や、支えてくださる方、お客様など、自分と関わってくださる大切な人たちを守りながら前に進むことが、何より大切だと感じています。だからこそ、勢いだけで挑戦するのではなく、「みんなで笑顔になれる未来につながるか」という視点を持って判断するようにしています。これからも、難しさよりも可能性に目を向けながら、ワクワクできる挑戦を続けていきたいです。
信頼関係を土台にした組織づくり
――社内のコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。
現在は、社員である私を中心に、業務委託メンバーをはじめ、さまざまなメンバーと協力しながら事業を進めています。長い付き合いのあるメンバーも多く、それぞれの強みを生かしながらチームをつくっています。その中で、最も大切にしているのは、「人を大切にすること」です。相手を思いやることはもちろんですが、遠慮しすぎず、思ったことはきちんと伝え合える関係であることも大切だと考えています。立場に関係なく意見を出し合い、お互いを尊重しながら本音で話せる環境があるからこそ、より良いアイデアが生まれ、チームとして成長できると感じています。その土台として、日々の挨拶や報連相といった基本的なコミュニケーションも大切にしています。
――どのような人材と一緒に働きたいと考えていますか。
年齢や経験に関係なく、一緒に会社をつくっていける方と働きたいと思っています。また、困難な状況でも前向きに考え、周りを思いやりながら行動できる人と、一緒に挑戦していきたいです。まだ成長途中の会社だからこそ、決められた仕事をこなすだけではなく、主体的に物事を考え、会社づくりに関わってくださる方と出会えたら嬉しいです。
世界一の風船屋を目指して――次なる挑戦
――今後の展望について教えてください。
社内で掲げている目標は「世界一の風船屋になること」です。その実現に向けて、現在は自社工場の設立を目指しています。企画・開発・製造までを一貫して行える体制をつくることで、これまで以上に自由な発想でものづくりに挑戦し、お客様へ新しい価値を届けられる会社になりたいと考えています。また、会社として成長するだけではなく、技術やノウハウを次の世代へ受け継ぎ、人を育てることも大切な使命だと思っています。
――現在取り組んでいる課題とその対策について教えてください。
現在、一番大きな課題は、自社工場の設立に向けた資金調達です。数億円規模の投資が必要になるため、簡単に実現できるものではありません。その一方で、この挑戦は資金を集めることだけが目的ではなく、「こんな未来を一緒につくりたい」と共感してくださる方を増やしていくことも大切だと考えています。今年のはじめにはクラウドファンディングにも挑戦し、多くの方に応援していただきました。その経験を通して、資金調達だけではなく、想いを伝え、共感の輪を広げることの大切さを実感しました。今後は事業投資型クラウドファンディングなども視野に入れながら、自社工場の実現に向けて一歩ずつ挑戦を続けていきたいと考えています。
影響を受けた経験と日々のリフレッシュ
――影響を受けた人物や出来事について教えてください。
昨年、舞台のお仕事をきっかけにご縁をいただいた、インパルスの堤下敦さんと、キングコングの西野亮廣さんからは、大きな刺激を受けています。お二人とも第一線で活躍されながら、現状にとどまらず、新しい挑戦を続けていらっしゃいます。その姿を近くで拝見し、挑戦することへの向き合い方や、人を巻き込みながら形にしていく力など、多くのことを学ばせていただいています。こうした環境にいられることへの感謝を忘れず、吸収したことを自分の会社や仕事にも生かしていきたいです。
――休日の過ごし方について教えてください。
仕事が趣味みたいなものなので、休日というものはほとんどないかもしれません。事業のことを考えている時間が一番楽しいですが、そんな中でも、スキマ時間ができたら麻雀をしたり、女子プロレスを観戦したりしています。