南三陸への想いと防災支援を事業に――リバイブ&サバイブが描く地域おこしと多言語防災のかたち
合同会社リバイブ&サバイブ CEO コーガー 大雅氏
合同会社リバイブ&サバイブは、「リバイブ」で地域おこし、「サバイブ」で防災に取り組む事業を展開しています。宮城県南三陸を舞台にした日英のボランティアトラベルプログラムと、宿泊施設向けの防災SaaS事業を軸に、地域課題と災害対応という二つのテーマに向き合っているのが特徴です。
どちらの事業も、自身の原体験や問題意識から立ち上がったものだといいます。本記事では、事業の原点、経営の軸、組織づくり、今後の展望について伺いました。
南三陸での原体験から生まれた二つの事業
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
「リバイブ」「サバイブ」という社名の通り、私たちは地域おこしと防災の二軸で事業を展開しています。
地域おこしでは、宮城県南三陸を中心に、日英対応のボランティアトラベルプログラムを提供しています。NPOや自治体と連携し、教育機関ごとに内容をカスタマイズしながら、実体験を通じた学びの機会を創出しています。
――防災SaaS事業とはどのような取り組みですか。
防災の領域では、宿泊施設向けに防災SaaS(災害対応支援プラットフォーム)を展開しています。
本サービスは、災害時に「誰でも・即座に・正しく行動できる状態」を実現する情報インフラです。
具体的には、施設ごとに最適化した防災マニュアルを設計し、NFCタグを通じてスマートフォンから即時アクセス可能な仕組みを構築しています。テキスト・音声・動画を組み合わせることで直感的な避難行動を支援し、多言語にも対応しています。
これにより、紙マニュアルでは対応が難しかった初動の遅れや理解不足を解消し、宿泊者・スタッフ双方の対応精度を向上させます。
また、人的対応に依存しない安全体制の構築やオペレーション負荷の軽減を実現し、ホテルのリスク低減とコスト削減に貢献します。
――どのような想いで今の事業を始められたのでしょうか。
原点にあるのは、中学2年生の頃から続く南三陸との関わりです。東日本大震災をきっかけにボランティアで訪れ、当初は何も理解できていなかったものの、実際に現地へ行き、被災者や語り部、NPO法人の方々と対話を重ねる中で、自分の視点が180度大きく変わりました。
その経験を機に、中学生の頃から継続的に南三陸と関わり、高校、大学と進む中で使えるリソースも増え、より大きな形で取り組みたいと考えるようになったことが、現在の事業につながっています。
――御社ならではの強みはどこにありますか。
カスタマイズ型の防災マニュアルを制作している点が大きな差別化になっています。建物ごとに実際に現地を確認し、防災士や消防士がチームに入りながら、日本語と英語の両方でマニュアルを作成していることが強みです。
加えて、NFCタグを活用することで、55カ国語に対応できる点も特徴です。英語、韓国語、中国語をはじめ、多様な言語で必要な防災情報を読んだり聞いたりできるため、インバウンド対応の観点でも強みだと感じています。
経営の道に進んだ背景と、判断の軸
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
やはり南三陸での経験があります。現地で過ごす中で、人口減少や、地域の名産物が十分に売れていないこと、外国人がほとんど来ないことなど、さまざまな課題を実感しました。
そうした中で、自分自身が何かしらのモデルをつくり、地域に人を呼び込める仕組みをつくりたいと考えるようになりました。そこから、海外の方々やインターナショナルスクール、日本語学校の生徒なども参加できるプログラムづくりをはじめました。
一方、防災事業の立ち上げにも明確な問題意識がありました。コアメンバーで周囲の外国人を中心にアンケートを取ったところ、防災知識や南海トラフ、東日本大震災について十分に知られていない実態が見えてきたんです。日本在住の外国人であっても理解が進んでいない現状を見て、ニーズがあると確信し、地域おこしと防災の二つを並行して進めるに至りました。
――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。
経営において大切にしているのは、「誰と進めるか」という点です。ただ売上だけを追うのではなく、地域おこしや復興など、自分たちのコンセプトや想いに共感してくれる相手と一緒に取り組みたいと思っています。
主体性を引き出す組織づくりと人材観
――組織運営で意識していることを教えてください。
現在は、4人のコアメンバーに加え、6人の契約のメンバー、そして10人のインターンのような体制で運営しています。組織運営でまず重視しているのは、定期的なコミュニケーションです。短時間でも必ずミーティングを行い、タスクチェックと管理を徹底しています。もともと仕組みがなく、タスク漏れや情報共有不足が課題になっていたので、まずは定例で確認する体制を整えました。
もう一つ意識しているのが、年齢や立場に関係なく意見を言える環境づくりです。自身が最年長で、他の幹部メンバーは年下であるため、最初は意見を言いづらい空気もありました。そこで、「反論してもOK」「全てに共感しなくていい」と最初にはっきり伝え、自分の意見を持つ重要性を伝えました。その結果、この1年で各メンバーが主体的に意見を出せるようになり、意思決定もよりスムーズになったと感じています。
防災事業の拡大と、新たな挑戦
――今後、取り組んでいきたい挑戦について教えてください。
今後の展望として、大きく二つの軸で事業拡大を進めていきたいと考えています。
一つ目は、防災事業のスケールです。現在はホテルを主なターゲットとしていますが、今後はリゾート施設、シェアハウス、民泊、不動産管理会社などへの展開も視野に入れています。
その背景には、海外でのビジネスコンテストにおいて優勝した経験があります。そこで、ホテルに限らず幅広い領域への展開可能性について高い評価をいただき、事業の拡張性に対する確信を得ました。まずは日本国内での導入を進め、その後は東南アジアやスリランカなど、自然災害リスクの高い地域への展開も目指しています。
二つ目は、SNS領域での展開です。現在、海外向けコンテンツに強みを持つパートナーと連携し、アニメーションプロジェクトを進めています。将来的には、防災サービスの導入企業に対して、サービス提供に加え、SNSでの発信支援やブランディング支援まで含めた付加価値の提供を目指しています。
自分を整える時間
――休日のリフレッシュ方法を教えてください
一つはスポーツです。5歳から中学2年生の頃までサッカーを続けていて、プロサッカー選手を目指していた時期もあります。今でもサッカー、バスケットボール、卓球など幅広く楽しみ、友人とフットサルをしたり、大会に出たりすることが気分転換になっています。
もう一つは、哲学に触れる時間です。高校時代に道徳や倫理の授業を通じて哲学に関心を持ち、本を読んで心に残った言葉を記録し、朝などに読み返す習慣があるといいます。哲学的な思考に触れることでマインドセットを整え、自分自身をリセットする時間にもなっているなと感じます。