地方創生の次なる一手――「ロンジェビティ」で切り拓く産業支援の新たな形
株式会社増山達也 代表取締役 増山 達也氏
人口減少が進み、日本の産業構造が大きく揺らぐ中で、従来の枠組みでは解決できない課題が顕在化しています。そうした課題に対し、「ロンジェビティ(健康寿命の延伸)」という切り口から新たな産業支援モデルの構築に挑むのが株式会社増山達也です。金融・外資・コンサルティングと多様なキャリアを経て起業した増山達也氏に、事業の全体像と背景、そして今後の展望について伺いました。
産業支援の課題を再定義する事業の強み
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
これまで金融機関や外資系企業、コンサルティングファームなどでキャリアを積み、特に直近では地域創生や産業支援の領域に長く関わってきました。その中で見えてきたのは、日本全国に存在する産業支援の仕組みが分断されており、企業側にとって非常に分かりづらい構造になっているという課題です。
国や自治体、商工会議所、金融機関など、それぞれが個別に支援を行っていますが、支援を受ける中小企業からすると「どこに相談すればいいのか分からない」という状態が続いています。
そこで現在は、株式会社増山達也とリバイタライズという2社を軸に、これらの支援を横断的につなぐ「ワンストップ型のプラットフォーム」を構築しています。民間主導で、課題ごとに最適な人材や支援を組み合わせ、企業の成長を支援する仕組みです。
――他社にはない強みはどのような点にありますか。
最大の特徴は、人材ネットワークです。現在、世界中で約2000名規模のプロデューサーと呼ばれる人材ネットワークを形成しています。それぞれが経営者や専門家として実績を持ち、プロジェクトごとに最適なチームを組成できる点が強みです。
従来のような固定的な組織ではなく、課題に応じて柔軟に連携できるため、スピード感と実効性の高い支援が可能になっています。
「ロンジェビティ」を軸にした新たな地域モデル
――現在注力されている取り組みについて教えてください。
現在、静岡県をモデルケースとして「ロンジェビティ(健康寿命の延伸)」をテーマにした産業プラットフォームを構築しています。静岡県は男女ともに健康寿命が日本一であり、この強みを産業として展開できる可能性があります。
健康寿命が1年延びることで莫大な経済価値が生まれるとされており、この価値を可視化し、ビジネスとして成立させることで、雇用創出や賃金向上につなげていく構想です。
――具体的にはどのような取り組みが進んでいるのでしょうか。
例えば、医療ツーリズムや健康体験ツアーの企画があります。静岡の食や生活習慣を体験しながら、血液検査などで自身の身体状態を可視化し、継続的に健康状態の変化を追っていく仕組みです。
また、食品や医療、観光などさまざまな業界と連携し、健康寿命の延伸に寄与する商品やサービスの開発も進めています。
このテーマは非常に汎用性が高く、自動車や宇宙開発など一見関係のない分野とも結びつきます。すべての産業が「人の健康」と無関係ではないため、産業横断型の新しいエコシステムを構築できる点が大きな特徴です。
キャリアの集大成としての起業
――起業に至った背景を教えてください。
コンサルティングファームで国の施策に関わり、産業支援の仕組みづくりを進めてきましたが、トップダウンのアプローチには限界があると感じました。制度として整備しても、実際にはうまく機能しないケースが多かったのです。
そこで、民間主導でボトムアップ型の仕組みを構築する必要があると考え、起業に至りました。
――経営判断の軸となっている価値観は何でしょうか。
日本の人口減少という不可避の課題に対して、どのように価値を生み出していくかという視点です。ロンジェビティはその一つの解決策になり得ると考えています。単なる事業成功ではなく、日本全体の価値向上につながるかどうかを常に意識しています。
――組織運営で大切にしていることは何ですか。
コミュニケーションです。特に、納得感と共感を得ることを重視しています。
リバイタライズのネットワークには、それぞれ強い専門性と実績を持つ経営者が集まっています。そのため、指示で動かすのではなく、目的や本質を共有し、理解してもらうことが重要になります。
――どのような人材と一緒に働きたいと考えていますか。
単にスキルが高いだけでなく、共通の価値観を持てる人です。誰でも参加できる組織ではなく、面談を通じて「一緒にやりたい」と思える人とネットワークを広げています。
個人の力には限界がありますが、志を同じくする人が集まることで、大きな価値を生み出せると考えています。
今後の展望と社会へのインパクト
――今後取り組んでいきたいことを教えてください。
静岡県で構築しているモデルを他地域にも展開していきたいと考えています。ロンジェビティというテーマを軸に、それぞれの地域特性を活かした産業創出が可能です。
最終的には、日本全体の新たな成長戦略として確立していきたいですね。
――社会にどのような影響を与えたいとお考えですか。
健康寿命が延びることで、働き方や生き方そのものが変わります。人生100年どころか、それ以上を前提とした社会において、誰もが活躍できる環境をつくることが重要です。
その中で、新しい産業や雇用を生み出し、結果として日本全体の価値を高めていくことができればと考えています。
日本の価値を高めるために
――経営の中で譲れない想いを教えてください。
お金を稼ぐこと自体は重要ですが、それが目的化してしまうことは避けたいと考えています。事業を通じて価値を生み出し、その結果として収益がついてくるという順番を大切にしています。
最終的には、日本という国全体の価値を高めることにつながる取り組みでありたいですね。
――仕事とプライベートの向き合い方について教えてください。
仕事とプライベートを明確に分けるタイプではありません。日常のすべてが仕事にもつながり、同時に人生を豊かにする要素でもあります。
自分にとって価値があると感じることに時間を使い、その積み重ねが事業にもつながっていくと考えています。