職人が主役の建築を取り戻す――フェニックス建設が描く“再生する住まい”のかたち

フェニックス建設株式会社 代表取締役 植野 敏氏

住宅リフォームを中心に、九州エリアで幅広い建築工事を手がけるフェニックス建設株式会社。長崎県を拠点としながら、福岡や佐賀といった近隣地域にも対応し、住宅から店舗、銀行の改装工事まで多様な案件を担っています。特徴的なのは、「大工型工務店」という独自のスタイル。職人自らが現場管理まで担う体制により、高品質な施工と効率的な運営を実現しています。本記事では、代表取締役の植野敏氏に、事業の強みや創業の背景、そして今後の展望について伺いました。

職人が主導する「大工型工務店」という独自のスタイル

――現在の事業内容について教えてください。

住宅リフォームや総合リノベーション工事をメインに、長崎県内を中心に九州エリアで事業を展開しています。最近では非住宅の案件も増えており、店舗工事や銀行の改装工事、ハウスメーカーやデベロッパー、地場のサブゼネコンからの依頼にも対応しています。住宅・非住宅を問わず、建築工事全般に携われる体制を整えており、BtoB・BtoCの両方に対応している点が特徴です。

――御社ならではの強みについて教えてください。

最大の特徴は「大工型工務店」であることです。外注に依存せず、自社の大工が中心となって施工を行っています。私自身も現場に出ており、月の半分ほどは実際に作業をしています。さらに、当社では大工に一級建築施工管理技士の資格を取得させており、施工だけでなく現場管理まで一貫して担う体制を構築しています。

一般的な建築業界では、営業・設計・現場監督・職人と多くの人が関わりますが、その分だけ情報伝達のズレが生じやすくなります。いわゆる「伝言ゲーム」のような状態になり、お客様の意図が正確に現場へ伝わらないことがあるのです。その結果、やり直しや品質低下につながるケースも少なくありません。

当社では、打ち合わせから施工、管理まで一貫して担当します。VRやCADを活用した設計も含め、すべてを一貫して完結させることで「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、品質の高い建物づくりを実現しています。

貧しさと挫折を原動力に――起業への道

――経営者になられたきっかけを教えてください。

家庭の事情もあり、小学生の頃から新聞配達をするなど、幼い頃から働いてきました。高校は定時制に進み、昼間は大工として現場で働きながら学業を続けていました。その後、貯めたお金と家族の支援で建築の専門学校へ進学しましたが、当時は就職氷河期で、なかなか就職先が見つからなかったのです。

現場での経験は積んでいたものの、「社会から必要とされていないのではないか」と感じるようになりました。そこで、自分が必要とされる場所を自分でつくろうと考え、兄とともに会社を立ち上げたのが原点です。

“再生”をテーマにした住まいづくりへの挑戦

――今後の展望について教えてください。

社名の「フェニックス」は“不死鳥”を意味しています。日本では住宅は建てた瞬間が最も価値が高く、その後は年数とともに価値が下がるのが一般的です。しかし海外では、適切に手入れをすれば築年数に関係なく価値を維持・向上させる考え方が根付いています。

当社では、手を入れるべきところとそうでないところを見極めながら、住宅の価値を再生していくことをテーマとしています。単なるリフォームではなく、「価値を蘇らせる」ことを目指しているのです。今後は住宅だけでなく非住宅にもこの考え方を広げていきたいと考えています。

――現在の課題についてはどのようにお考えですか。

「作り手」が弱くなっていることが大きな課題です。かつては大工が現場の中心であり、設計や管理も担っていましたが、現在は営業や設計が主導する構造になっています。その結果、現場の力が十分に発揮されにくくなっていると感じています。

当社では、職人が主体となる体制を取り戻すことを目指しています。そのためにも人材の確保と育成、そして将来的には工事の内製化をさらに進めていくことが重要だと考えています。

多彩な価値観とエネルギーが生む経営スタイル

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

趣味は非常に多く、バイクや車、音楽、ゴルフ、キャンプなど幅広く楽しんでいます。バイクはクラシックモデルを中心に複数所有しており、乗るだけでなく整備やカスタムをする時間も大切にしています。また、デザインも好きで、ステッカー制作なども趣味で行っています。

加えて、デイトレードも日常的に行っています。為替取引を中心に取り組んでおり、日々記録を取りながら分析と改善を繰り返しています。建設業は資金繰りの面で課題が出やすい業種ですが、投資によって得た資金を事業に活用することで、経営の安定にもつながっています。

――社会にどのような影響を与えていきたいとお考えですか。

「必要とされ続ける存在でありたい」という思いが根底にあります。会社としても個人としても、社会から求められる存在であり続けたい。そのために、命を燃やし尽くすように情熱を持って生きていきたいと考えています。

将来的には財団を設立し、教育の機会に恵まれない子どもたちを支援するなど、社会貢献にも力を入れていきたいと思っています。これまでも災害支援や寄付活動を行ってきましたが、より大きな形で社会に還元していくことが目標です。

――これから起業を目指す方や経営者の方へメッセージをお願いします。

起業や経営にゴールはありません。小さな目標は達成できても、大きな夢は簡単には叶わないものです。だからこそ、常にスタートラインに立ち続ける意識が大切だと思います。

自分の成果をすべて自分の手柄だと思った瞬間に、社会は厳しくなる。だからこそ謙虚であり続けること。そして他人と比較するのではなく、昨日の自分に負けないように努力し続けることが重要です。

大きな夢を持つことは決して恥ずかしいことではありません。たとえ笑われたとしても、その夢に向かって挑戦し続けること自体に価値があると考えています。

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