環境負荷を抑えた水処理技術で社会課題に挑む――非薬剤型スケール対策の最前線
株式会社TMK28 COO 横内 孝雄氏
株式会社TMK28は、クーリングタワーやチラー及び各種配管での水処理におけるスケールやサビの問題に対し、薬剤に依存しない独自のアプローチで解決を図る装置を提供しています。長年にわたり現場で培ってきた経験と、水質分析に基づく精緻な制御技術を強みに、工場設備やインフラ分野など幅広い領域で実績を積み重ねてきました。本記事では、専務取締役の横内孝雄氏に、事業の特徴やこれまでの歩み、今後の展望について伺いました。
環境配慮と実効性を両立する水処理技術
――現在の事業内容について教えてください。
弊社では、水中で発生するスケールやサビの付着を抑制・除去する装置の製造・提供を行っています。電磁波を活用した仕組みにより、水中のイオン状態に働きかけ、スケール化を防ぐ技術です。
特に特徴的なのは、お客様ごとに異なる水質を詳細に分析し、その結果に応じて最適な調整を行う点にあります。これにより、効果の発現が早く、安定した性能を実現しています。
――他社との違いはどのような点にありますか。
一般的にも電磁波を活用した方式は存在しますが、多くは一律の設定で運用されています。
一方で弊社は、水質分析によって原因物質を特定し、ピンポイントで作用させる設計を行っています。そのため、同じ装置でも導入先ごとに最適化され、より高い効果が期待できます。これまでの経験値の蓄積により、導入前に効果予測を提示できる点も強みです。
30年にわたる現場経験が生んだ事業
――この事業に携わるようになった経緯を教えてください。
もともとはOAやIT関連の事業に携わっていましたが、約30年前に環境分野への新規事業として、水処理装置の開発が始まりました。その後、環境事業部長として長年関わり、ダムや道路インフラなどの現場で実績を積み重ねてきました。
その後、会社の方針転換により事業が継続されないことになりましたが、既存顧客からメンテナンスや更新の要望が多く寄せられたため、自ら会社を立ち上げて事業を継続することを決断しました。現在も多くの設備が稼働しており、継続的なサポートを行っています。
――これまでの経験で培われた強みは何でしょうか。
長年にわたり多様な現場で水質と向き合ってきたことで、問題の本質を見極める力が養われました。水は一見同じように見えても、使用環境や原水によって性質が大きく異なります。その違いを理解し、最適な対策を講じることができる点が強みです。
非薬剤という選択がもたらす価値
――御社の理念や大切にしている考えを教えてください。
創業当初は薬剤処理が主流の時代でしたが、環境問題への関心が高まる中で、薬剤を使わない方法へのニーズが増えてきました。弊社の装置は既存設備をそのまま活かしながら導入できるため、大規模な改修を行うことなく延命が可能です。
設備更新には多大なコストと時間がかかりますが、それを抑えながら安定稼働を実現できる点に価値があります。環境負荷の低減とコスト削減の両立を目指すことが、弊社の根底にある考えです。
新たな課題への挑戦と技術開発
――今後の取り組みについて教えてください。
近年は気温上昇の影響により、水中の微生物やバイオフィルムの発生が増加しています。従来の技術だけでは対応しきれないケースも出てきており、新たな対策が求められています。
現在は、低濃度オゾンとマイクロファインバブルを組み合わせた新しい装置の開発を進めています。これにより、有機物や菌への対応力を高め、安全性と清浄性の向上を目指しています。
――現在感じている課題はありますか。
最大の課題は、この技術がまだ十分に認知されていないことです。現場では深刻な問題を抱えているにもかかわらず、適切な対策を知らないまま苦労されているケースが多くあります。これまでの成功事例や水質分析データを活用しながら、より多くの方に知っていただく必要があると感じています。
人と環境にやさしい選択肢を広げるために
――今後どのような方と一緒に働きたいとお考えですか。
環境問題や非薬剤技術に関心を持ち、この分野に挑戦したいという意欲のある方とご一緒できればと考えています。年齢に関係なく、経験を活かして協力していただける方も歓迎しています。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
設備の維持管理には多くのコストと労力がかかりますが、必ずしも従来の方法に頼る必要はありません。薬剤を使わずとも、効果的に問題を解決できる手段があります。無駄なコストをかけず、より効率的な運用を実現するための選択肢として、ぜひ一度検討していただきたいと考えています。