ホワイトハッカー育成で地域から日本を守る――Trive Secure Labが描くサイバーセキュリティの未来
株式会社Trive Secure Lab 代表取締役 増田剛洋氏
サイバー攻撃の高度化が進む現代において、企業や自治体が自らの情報資産を守る重要性はますます高まっています。株式会社Trive Secure Labは、サイバーセキュリティ分野において「人材育成」を軸に事業を展開する企業です。広島を拠点に、ホワイトハッカーの育成を通じて日本全体のセキュリティ強化を目指す同社。本記事では、代表取締役の増田剛洋氏に、事業の特徴や強み、今後の展望について伺いました。
サイバーセキュリティを支える「人材育成」という軸
――現在の事業内容について教えてください。
サイバーセキュリティに関する上流から下流まで幅広く対応していますが、現在特に力を入れているのは人材育成です。セキュリティツールの導入やシステム構築も可能ですが、軸足はあくまで人材育成に置いています。企業や自治体、医療機関、教育機関など幅広い分野に対して、サイバーセキュリティ人材の育成を行っています。
――具体的なサービス内容を教えてください。
主に二つの柱があります。一つは「CYBER SAMURAI PROGRAM」というホワイトハッカー育成のための集合教育です。もう一つは、海外の団体と連携した人材育成ツールの提供で、こちらはサブスクリプション型のサービスとして展開しています。ツールには実践的なカリキュラムが組み込まれており、継続的にスキルを高めることができます。
――御社の強みはどのような点にありますか。
ホワイトハッカーの育成を明確に掲げている企業は多くありません。当社はその点を明確に打ち出し、実践的な教育プログラムと継続的な学習環境を提供しています。また、単なる知識習得ではなく、実際に現場で活用できるスキルを身につけることを重視している点も特徴です。
広島から全国へ――地方発のセキュリティモデル
――事業の背景やビジョンについて教えてください。
当社は、ITコンサルティングを行う親会社の新規事業として立ち上がりました。サイバーセキュリティ分野の重要性が高まる中で、専門的な事業として切り出された形です。
拠点を広島に置いているのは、地方から日本全体を守るモデルをつくりたいという思いがあるためです。広島からホワイトハッカーを育成し、日本全国に送り出していく。それが当社のビジョンです。
――組織体制について教えてください。
現在は6名の小規模な組織です。まだ若い会社ですが、その分柔軟に事業を展開できる強みがあります。
――今後の展望についてお聞かせください。
まずは広島を起点に実績を積みながら、日本全国へ展開していきたいと考えています。将来的には「セキュリティのことならTrive Secure Labに聞けば解決できる」と言われる存在になりたいですね。また、地方発のセキュリティ企業として、地域から新たな産業を生み出すことにも挑戦していきたいと考えています。
「自分たちで守る」意識を広げるために
――現在直面している課題は何でしょうか。
サイバーセキュリティの重要性は理解されつつありますが、「専門的で難しいもの」「外部に任せるもの」という認識がまだ強いと感じています。本来は自分たちで守る意識が重要ですが、その価値をどう伝えていくかが課題です。
――その課題にどのように取り組んでいますか。
マーケティングやプロモーションに力を入れています。専門のアドバイザーとともに、どの領域に価値を届けるべきかを分析し、ターゲットを絞った上でアプローチしています。自治体や関連団体との連携、既存のネットワークの活用などを通じて、着実に広げている段階です。
――教育プログラムの特徴について教えてください。
当社のプログラムは、初心者でも取り組めるようハードルを下げている点が特徴です。基礎から学びつつ、実践的な演習を通じてスキルを習得できます。また、ツールには競い合う仕組みもあり、継続的に学び続けるモチベーションを維持できるよう工夫しています。最短で1ヶ月程度で基礎を学べますが、実務レベルに到達するには半年から1年程度の継続的な学習が必要です。
サイバー空間から日本を守る存在へ
――今後、社会にどのような価値を提供していきたいですか。
サイバーセキュリティという分野を通じて、日本全体の情報資産を守ることに貢献したいと考えています。AIの進化によりサイバー攻撃はますます高度化しており、従来以上に対策が求められています。その中で、実践的なスキルを持つ人材を育成し、各組織が自律的に防御できる体制をつくることが重要です。
――最後に、経営者やこれから起業する方へのメッセージをお願いします。
事業を進める中で、マーケットに合わせて方向性を変える場面は必ずあります。しかし、その中でも自分の信念や哲学はぶらさないことが重要です。事業の形が変わっても、「なぜこの会社を立ち上げたのか」という原点に立ち返ることが、最終的な判断軸になります。変化に対応しながらも、軸を持ち続けることが大切だと思います。