“食べること”で命を支える――ペットと人が共に楽しむ食のかたちを広げたい

株式会社MANMA BUONO KYOTO JAPAN 代表取締役 西川友保氏

ペットの健康寿命を延ばすために「食」の在り方を問い続ける株式会社MANMA BUONO KYOTO JAPAN。犬や猫の食事に対する従来の常識に疑問を投げかけ、人と同じように“美味しく・楽しく”食べることの大切さを提案しています。その背景には、自身の体験から得た強い問題意識がありました。本記事では、西川友保氏に、事業の原点やこだわり、そして今後の挑戦について詳しく伺いました。

原体験から生まれた事業――「なぜ」を追い続けた先に

――現在の事業内容について教えてください。

現在は犬や猫の食事に関するサービスを中心に展開しています。基本的にはそれに特化しており、それ以外の事業は行っていません。

――この事業を始めた背景について教えてください。

原点は、過去に飼っていた猫を亡くした経験にあります。活動をしていた中で一匹の猫を迎え、その子が亡くなった際に、獣医師から「ドライフード中心の食事が疾患の原因になることがある」と聞いたことがきっかけでした。

それまでドライフードだけを与えるのが正しいと信じていたため、その話に強い違和感を覚えました。なぜそうなるのか理解できず、自分で調べ始めたのです。そこで初めて、ペットにも栄養学があり、体系的に研究されていることを知りました。

特に印象的だったのは、「最も重要なのは水分である」という考え方です。従来の五大栄養素よりも上位に位置づけられるほど、水分は重要だとされています。この認識の違いが、自分の中で大きな転換点になりました。

水分不足が招くリスク――ドライフードとの向き合い方

――食事において重要視されているポイントは何でしょうか。

大きくは「水分摂取」です。一般的にはドライフードを与え、別で水を用意する形が主流ですが、特に猫は水をあまり飲まない傾向があります。そのため体内の水分が不足しやすく、栄養の循環や老廃物の排出がうまくいかなくなる可能性があります。

動物は汗をかかないため、排出は主に尿や便に依存しています。水分が不足すると、この排出機能にも影響が出てしまいます。その結果、内臓疾患などさまざまな不調につながることがあると考えています。

ドライフード自体は栄養面で優れており、寿命が延びた要因の一つでもあります。ただ、それだけに頼るのではなく、水分を含んだ食事を組み合わせることが重要です。人間でいうとエナジーバーのようなもので、それだけを食べ続ける状態は理想的とは言えません。

「ヒューマングレード」という価値観

――他社にはない強みについて教えてください。

私たちの強みは、人間が食べても美味しいと感じる品質、いわゆるヒューマングレードにこだわっている点です。従来のペットフードは、人間が食べられなくなった食材の活用という側面もありました。

もちろん現在は規制もありますが、根本的な構造は大きく変わっていない部分もあります。その中で、ペットにも本来あるべき食事を提供したいと考えています。

美味しさはアミノ酸によって感じられます。動物も同様に、美味しいと感じるものを自然と選びます。必要な栄養を無理に摂取させるのではなく、「美味しいから食べる」という自然な形が理想です。

また、特別なことをしているわけではありません。人間の食事から調味料を除いたものをベースにする、いわば離乳食のような考え方です。このシンプルな原則を伝えていくこと自体が価値だと考えています。

啓発活動としての取り組み――「知る」ことの重要性

――現在行っている具体的な取り組みを教えてください。

料理教室を開催し、実際に犬のご飯を作りながら食事の考え方を伝えています。どのように調理すればよいのか、どんな食材が適しているのかを実践的に学べる場です。今後はオンラインでの展開も予定しています。

現状では、多くの方がドライフード中心の食事を選択しています。そのこと自体を否定するのではなく、そこに少し水分を加える工夫をするだけでも大きく変わります。すべてを変える必要はなく、できる範囲で取り入れていただくことが大切です。

私たちの商品も「これを使わなければならない」というものではありません。日々の食事に少し加えることで、より良いバランスを実現するためのサポートです。

病気と向き合う食事への新たな挑戦

――今後取り組みたいことについて教えてください。

これまでは健康な状態を維持するための食事提案が中心でしたが、今後は病気になった後の食事にも力を入れていきたいと考えています。

実際に病気をきっかけに食事を見直すケースは多いですが、その際に提供される療法食の質や味には課題があると感じています。人間の医療では食事の質も向上していますが、ペットの分野ではまだ十分ではありません。

病気の状態に配慮しながらも、美味しく食べられる食事を提供することで、ペットと飼い主双方の負担を軽減したいと考えています。健康な時と病気の時、両方に寄り添える存在でありたいです。

個人としての価値観と働き方

――組織や人材についてのお考えを教えてください。

現時点では採用は考えていません。これからの時代、安定した雇用という形は減っていくと感じています。それよりも、それぞれが自分の強みで生きていくことが重要だと考えています。

一緒に取り組むのであれば、個人として自立し、自分の力で価値を生み出せる方が望ましいです。単に所属するのではなく、それぞれが主体的に動く関係性が理想です。

食を通じて命と向き合う

――ペットフードを通じて実現したいことは何でしょうか。

私がやりたいのは、自分自身が体験してきたこと、そして調べて知ったことを世の中に伝えていくことです。ドライフードだけが正しいと思っている方はまだ多く、食事に対する考え方が広く知られていないのが現状だと感じています。

どちらか一方に偏るのではなく、ドライフードの良さも理解しながら、そこに水分を取り入れる工夫をする。そのようなバランスの考え方を広めていきたいと思っています。

また、ペットの食事は難しいものではなく、人間の食事と同じように考えることができます。調味料を控えたものを与えるなど、少しの工夫でより良い食事に変えることができます。

すべてを完璧にやる必要はありません。できる範囲で取り入れていただき、ペットと一緒に食事を楽しむ。その積み重ねが健康につながると考えています。

今後も「食」を通じて、ペットと飼い主がより良い関係を築けるようなきっかけを届けていきたいと思っています。

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