変わり者の発想で切り拓く建設の未来――大和工務店が描く「働く建物」と成長戦略
株式会社大和工務店 代表取締役 大﨑 和彦氏
株式会社大和工務店は、RC構造に特化した賃貸マンション投資物件を中心に、総合建設業として独自の強みを築いてきました。職人として釘一本から現場に立ち、専門工事業から総合建設業へと事業を発展させてきた大﨑和彦氏。その根底には、既存の常識にとらわれない「変わり者」の発想と、人とのつながりを重んじる理念があります。本記事では、事業の強み、経営者としての歩み、組織づくり、そして今後の展望について伺いました。
RC構造と自社施工が生む独自の競争力
――現在取り組まれている事業の特徴や、他社にはない強みを教えてください。
当社はRC構造に特化した賃貸マンション投資物件を手がけています。RC構造は耐用年数が47年と長く、長期保有や投資物件としての優位性があります。防音性や耐震性にも優れ、資産価値の面でも強みがあります。
特徴は、自社施工を軸にしていることです。資材センターを持ち、加工、搬入、運搬、重機保有までできる限り自社で対応し、リースや多重下請けに頼らない体制を整えています。その結果、コストを抑えながら品質を確保し、価格競争力も生まれています。特に狭小地や高難度の案件など、他社が敬遠しやすい案件にも対応できる点は、当社ならではの強みです。
また、「働く建物」という考え方も特徴です。建物そのものが収益を生み、所有者にとって資産として働く。その意味だけでなく、職人、現場監督、関わる全員の仕事の結晶が建物であるという想いも込めています。
――理念やビジョンにはどのような想いがありますか。
「型枠業務を通して未来を創造する会社」「人のつながりが仕事の輪になる」という理念を掲げています。技術だけでなく、人とのつながりが仕事を生み、その輪が未来につながるという考えです。
創業の原点が職人であることへの誇りも強く持っています。一級型枠施工技能士という資格をあえて名刺に記載しているのも、原点を忘れないためです。どれだけ事業が広がっても、土台は現場にあるという考えが経営にも通じています。
釘一本から総合建設業へ――経営者としての歩み
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
釘一本から始めたのが原点です。学歴では勝負できないなら、自分で道を切り拓くしかない。その考えから経営を志しました。
大きな転機は、周囲がやっていなかったことに挑戦してきたことです。CADを取り入れたこともそうですし、片枠工事だけでなく、関連する工程まで自社で担うように広げていったこともそうです。周囲からは「変わり者」と言われましたが、その発想が結果として仕事を広げることにつながりました。
効率化や工程管理を追求し、「全部できる」体制をつくったことで、専門工事業から総合建設業へと自然に広がっていきました。振り返ると、変わったことを考えることが経営の原動力だったと思います。
――経営判断の軸になっている価値観は何でしょうか。
人が嫌がることでも価値があるなら挑戦することです。もう一つは準備です。仕事を取ってから動くのではなく、先に準備する。その考えで資材センターや設備投資も進めてきました。
それから、お客様にとって何が効率的かを考えることです。工程を守り、品質を守り、相手が喜ぶ形をつくる。その積み重ねが信頼につながると考えています。
人を育てる軸は「聞く耳」と信頼関係
――社内コミュニケーションで大事にしていることは何ですか。
まず、働く人への還元です。待遇面を大事にし、その上で教育をする。与えるものを与えた上で関係性を築くことが重要だと考えています。
コミュニケーションは仕事だけではありません。趣味の話も含めて、その人自身を理解することも意識しています。相手の好きなことや長所を伸ばすことで、仕事にも前向きさが生まれる。そうした関係づくりを大事にしています。
また、挨拶は徹底しています。現場では近隣との関係も含め、基本的な姿勢が信頼につながるからです。
――採用や育成で重視することはありますか。
一番は「聞く耳を持てるか」です。
経験よりも、まず吸収できるかどうかが重要だと思っています。聞く耳があれば教えられるし、失敗してもフォローできる。でも自己流だけで進められると修正が難しくなる。
挨拶ができることも同じです。基本を大切にし、素直に吸収できる人と働きたいと考えています。
10億から100億へ――次なる成長への挑戦
――今後取り組みたい挑戦や展望を教えてください。
今は10億規模ですが、3年で20億、その先50億、さらに100億を目指しています。
そのために進めているのが、協力会社との連携強化です。協力会社を外部ではなく、社員のように機能する関係性で捉え、リモートやチャットツールも活用しながら連携を高めています。少人数でも大きな売上をつくれる体制を構築してきました。
発想としては、従来の人員拡大型ではなく、ネットワーク型で成長するモデルです。これはこれまでの「変わり者」の発想の延長でもあります。
また、「働く建物」という提案価値をさらに広げていきたいと考えています。建物を建てるだけでなく、資産価値や収益性まで含めて提案できる会社として発展させていきたいです。
――最後に、これから目指す姿をお聞かせください。
建設業は、発想次第でまだ変えられる業界だと思っています。常識にとらわれず、変わった発想でも価値があるなら挑戦する。その姿勢はこれからも変わりません。
釘一本から始めてここまで来たからこそ、まだ先があると思っています。人とのつながりを大切にしながら、「働く建物」という考えを広げ、建設の新しい価値をつくっていきたいと考えています。