民間から教育格差に挑む学びの新提案

Wakury Academia合同会社 代表 鈴木由希氏

Wakury Academia合同会社は、英語やプログラミング、探究学習、VRなどを組み合わせ、子どもたちがワクワクしながら学びに触れられる場所「ワクリィメタギルド次世代学習スタジオ」を運営しています。代表の鈴木由希氏は、英語を長く教えてきた経験と、自身が親になって感じた教育環境への課題意識をきっかけに、民間から教育を変えていきたいという思いで事業を立ち上げました。今回は、同社の事業内容や教育への思い、今後の展望について伺いました。 

ワクワクを起点とした学び

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社では、「ワクリィメタギルド次世代学習スタジオ」を運営しています。従来型の学習塾とは異なる、“体験から学びにつながる空間”を意識しています。

私が立ち上げたかったのは、他にはないコンセプトを組み込んだ学習空間です。英語、プログラミング、探究学習、VRなどを、それぞれ別々に学ぶのではなく、一つの場所で横断的に学べる環境をつくっています。子どもの「好き」が自然につながっていく設計が、ワクリィの特徴です。

――業界内での強みはどのような点にありますか。

特に大切にしているのは、「ワクワク」を原点にすることです。

「ワクリィ」という名前は、“ワクワク”を語源にした造語です。子どもたちが目を輝かせながら学べる場所にしたいという思いを込めています。

今の子どもたちは、YouTubeなど様々なメディアに囲まれ、多くの選択肢の中で生きています。だからこそ、自分が何に興味を持つのか、その入口を見つけることが難しくなっているとも感じます。

ゲームやVR、ボードゲームなどを取り入れることで、まずは「面白い」「やってみたい」という気持ちを引き出し、そこから学びにつなげていきたいと考えています。

また、英語、プログラミング、探究、VRを、別々に学ぶのではなく、一つの場所で横断的に学べることも大きな特徴です。子どもたちの興味や好奇心が、自然と次の学びにつながっていく環境を大切にしています。


教育格差への違和感

――経営者になられた経緯を教えてください。

もともと私は英語を長く教えていました。大手英会話教室のフランチャイズで教室を開いていた時期もあり、教える内容そのものはとても良いものだったと思っています。

ただ、自身が親となり、また親御さんたちと関わる中で、習い事や教育に関して、都心と地方との間に格差があることを強く感じるようになりました。

都心では、STEAM教育(Science・Technology・Engineering・Art・Mathematics)や探究学習など、文部科学省が推進する新しい学びを知っている親御さんが多くいます。しかし、都心から離れると、まだ知られていないことも多いと感じています。また、価格面でも大きな差があります。

私は、子どもたちの教育は平等であってほしいと思っています。

英語は今、社会的に必要なものとして広く認識されていますが、プログラミングや探究学習も、本来は同じように必要な学びだと感じています。しかし現状では、それらがすべての子どもたちに平等に届いているとは言えません。

教育業界全体を変えることは簡単ではなく、時間もかかります。だからこそ、まずは自分にできることを民間から形にしていきたいと思いました。

多くの人が気軽に通える価格帯で、様々な学びを総合的に提供できる場所をつくりたい。その思いから、この事業を立ち上げました。

また、自分が親になり、子どもが小学校に通うようになった時、小学校教育が思っていた以上に変わっていないことにも衝撃を受けました。社会はここまでデジタル化しているのに、学校現場はまだ大きく変わっていない部分がある。その時、「誰かに変えてほしい」と思いました。でも、変化を待つだけでは何も始まらないと感じ、自分自身が動こうと思ったことも、大きなきっかけです。

――仕事をする上で大切にしている思いは何でしょうか。

一番大切にしているのは、子どもたちに「失敗を恐れなくていい環境」を提供することです。

何かに挑戦したいけれど、あと一歩が踏み出せないことはあると思います。その一歩を踏み出せるかどうかは、環境による部分が大きいと感じています。

失敗してもいい。失敗は決して悪いものではなく、成長につながるものです。失敗した時も、頭の中では新しいつながりが生まれていて、すべてが次につながっています。

子どもたちには、失敗を前向きに捉えられる力を育んでほしいと思っています。

大人になっても、失敗に対する気持ちは同じだと思います。だからこそ、子どもの頃から失敗に対してポジティブな考え方を持てるよう支えていきたいです。

――組織運営で意識していることを教えてください。

現在は、代表である私自身が中心となり、企画から指導、発信まで一貫して行っています。

英語、プログラミング、VR、探究学習、情報発信など幅広く取り組んでいるため大変な部分もありますが、その分、理念や方向性がぶれない状態で形をつくれていると感じています。

――人材採用をする上で、理想の人材像はありますか。

同じマインドを持っている人が理想です。

子どもたちのために何ができるかを本気で考えられる人、子どもたちの可能性を信じられる人と、一緒に取り組んでいきたいと思っています。

地域から教育を変える

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

大きな目標としては、ワクリィメタギルドとして、上尾から新しい学びの形を発信していくことです。

まだ発展途中ではありますが、地域の中で「ここにしかない学び」として認知される存在を目指しています。

また、英語タイピングについては、将来的に学校や学童への導入も目指しています。

英語タイピングは、子どもたちが楽しみながら自然と英語に触れられる、とても可能性のある学びです。継続することで、英語への抵抗感が減り、語彙やリスニングへの意識にも良い影響があると感じています。

まずは民間学童などへの導入を通じて、実際に子どもたちや親御さんに体験していただき、どのような変化や効果があるのかを積み重ねていきたいと考えています。

さらに、部活動改革の流れの中で、ワクリィメタギルドとして地域の教育活動に関われる可能性も模索しています。

VR探究や探究学習は、小学生だけでなく中学生にとっても大きな価値があると感じています。

子どもたちが「これ好きかも」と感じるワクワクを、そのまま学びの力へ変えていくこと。それが、ワクリィメタギルドの目指す教育です。

「子どもたちの“好き”が、未来を動かす力になる。」

ワクリィメタギルドは、そんな学びを地域から育てていきたいと考えています。

――現在、課題はございますか?

課題は多くありますが、まずは親世代の方々にどう周知していくか、そして集客をどう入塾につなげていくかです。

知って来てくださった方には、現在高い確率で入会していただいています。だからこそ、まずは「知ってもらうこと」が大きな課題です。

また、フリースクールについても、必要としているご家庭に安心して利用していただけるよう、地域の方々への周知や理解をさらに広げていきたいと考えています。

学校以外にも子どもたちが安心して過ごせる居場所や学びの選択肢があることを、もっと自然に地域へ届けていきたいです。そのために、今後は地域の学校や教育関係者との連携も少しずつ深めていけたらと思っています。

また、一人で運営しているため、やりたいことに対して進む速度が遅くなる部分もありますが、効率よく進めながら、少しずつ実績を積み重ねていきたいと考えています。

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

趣味は海釣りです。船に乗って魚を釣りに行くのが好きで、最近はカワハギを釣りました。以前より行ける時間は減っていますが、とても良いリフレッシュになっています。

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