一人ひとりの本質に向き合い、人間力を磨く場を広げていく
株式会社TRUE LIFE MISSION 代表取締役 安達 由紀代 氏
コンサルティングを軸に、コーチングや企業研修を手がける安達由紀代氏。
日本銀行での実務経験に裏打ちされた組織論と、長年探究してきた「自分軸に一致した精神性」や「人の個性を活かす本質的な関わり」を融合させた独自のメソッドが、多くのリーダーから支持されている。4,800回を超えるセッションを通じて見えてきた「人の本質的な変容」や「人間性への回帰」というテーマは、効率や成果が優先されがちな現代において、クライアントの深い内省を促し、組織と個人の在り方に新たな視点をもたらしている。 今回の取材では、事業の原点から、彼女が目指す「人間力が開花する未来」まで詳しく話を伺った。
目次
クライアントファーストで、型にはまらない「変容」を支援
——現在の事業内容について教えてください。
現在はコーチング、企業研修、コンサルティングを中心に活動しています。コーチングで最も大切にしているのは「クライアントの可能性を最大限に引き出すこと」です。 これまでに4,800回以上のセッションを重ねてきましたが、その中で気づいたのは、コーチングの手法だけでは突破できない壁があるということです。そんな時は、深い傾聴を通して、その方にとって最も適した対話を大切にしています。必要に応じて、メンタリングや私自身の経験をお伝えすることもあります。 一般的な型に当てはめるのではなく、その方の課題に合わせて関わり方を柔軟に変えていく。この「個」に寄り添ったアプローチが、クライアントの「本質的な変化」を起こす最大の強みだと自負しています。
日本銀行でのキャリアと、ご縁が導いた「コーチング」への道
——事業において特に大切にしていることは何ですか。
何より「クライアントファースト」であることです。 例えば、企業の目標や結果を優先するあまり、“人そのもの”が置き去りになってはいけません。勿論、企業におけるクライアントの成長や満足度も大切ですが、まずは一人の人間として真摯に向き合う。その姿勢が信頼を生み、結果としてそれが組織貢献につながっているのだと思います。 実際、積極的な営業活動をしているわけではありませんが、ホームページをご覧になった方からお問い合わせをいただいたり、ご紹介を通じてご縁をいただいております。
——現在のお仕事に進まれたきっかけは?
もともとは日本銀行という、非常に現実的で厳格な組織で働いていました。
転機となったのは2008年頃、精神世界を探究している方との出会いです。その学びを深めていく中で、2019年に「まずはコーチングから始めてみては」と背中を押していただいたことが現在の活動につながっています。
新たな挑戦への不安や周囲の声に振り回されるのではなく、 流れの中で「これだ」と感じたことに行動を一致させることで、不思議なほど自然に、必要な師や仲間との出会いが重なりました。自ら緻密に計画を立てて突き進んだというよりは、目の前の流れやご縁に素直に従ってきた結果、今の道が開けた感覚ですね。
——日銀での経験は、どう活かされていますか?
当時の上司のマネジメントや私自身の失敗・成功体験は、特に管理職の方々にとって「実体験に基づく話」として非常に説得力があるとの声をいただいております。また、多くのリーダーの葛藤に寄り添ってきた経験は、著書『困った部下は声かけで変わる』のベースにもなっています。現場で起きている“生の変化”こそが、私の活動の原動力です。
AI時代だからこそ求められる「人間性への回帰」
——今後、挑戦していきたいことはありますか。
今後は企業研修や講演の機会を広げていきたいと考えています。
AIが発達し、多くの業務が自動化される時代だからこそ、人間にしかできないことの価値はむしろ高まるはずです。
相手を理解する力。
本質を見抜く力。
創造性を発揮する力。
そして、人と人をつなぐ力。
私はそれらを総称して「人間力」と呼んでいます。
効率や成果だけを追い求めるのではなく、一人ひとりが本来持つ感性や可能性を活かしながら共創していく社会。その実現に少しでも貢献していきたいと思っています。
——オンラインと対面の使い分けについては?
もちろん、オンラインでも十分にコミュニケーションは取れますし、利便性もあるため、大いに活用しています。
ただ、私はやはり“ライブ感”を重視しています。対面でしか伝わらない空気感や密度があり、その場で得た気づきを深く定着させる力があると感じています。
オンラインにはオンラインの良さがありますが、対面には人と人が同じ場を共有することで生まれるエネルギーや感覚があります。だからこそ、クライアントのご希望や状況に応じて両方を大切にしていきたいと思っています。
執着を手放し、対等な関係性から組織を変える
——日々、多くの課題に向き合ってストレスはありませんか?
実は、あまり疲れないのです(笑)。相手をコントロールしようとせず、その人の中にあるものを尊重し、信頼してお任せしているからかもしれません。「変えなければ」という執着を手放すことが、自分自身の健やかさにも繋がっています。
——リフレッシュの方法は?
お花を飾ることですね。特に白いユリ、カサブランカが好きです。あとは自然の中に身を置いたり、海外旅行で感性を刺激したり。そうして自分を整えることで、「自分を小さく見積もらない」状態を保つようにしています。
——最後に、読者へメッセージをお願いします。
経営者や管理職の方々とお話しする中で感じるのは、皆さんが組織と人の間で真剣に葛藤しながら、日々最善を尽くされているということです。
だからこそ、相手を変えようとする前に、「理解しようとすること」が大切なのではないかと思います。
部下だから、上司だからという立場を超えて、一人の人間として向き合う。
その視点が、組織のコミュニケーションを変え、信頼関係を育み、自律的な組織づくりにつながっていくはずです。
誰もが本来持っている力を発揮できる社会へ。
その実現に向けて、これからも誠実に伴走していきたいと思っています。