空き家に新たな価値を――社会に埋もれた資産を再生する不動産ビジネスの挑戦
株式会社Myla 代表取締役 石射正曜氏
千葉県流山市に拠点を構える株式会社Mylaは、空き家や築古物件といった「訳あり不動産」に新たな価値を見出し、再生・流通させる事業を展開しています。「空き家のお悩み解き放ち隊」という自社コンテンツを軸に、従来の売買仲介にとどまらない多角的な提案を行う同社。その背景には、日本の住宅文化や社会構造に対する問題意識があります。本記事では、石射正曜氏に事業の特徴や起業の経緯、今後の展望について伺いました。
空き家問題に向き合う独自の不動産事業
――現在の事業内容と特徴について教えてください。
当社は千葉県流山市を拠点に、不動産の仕入れ業務を中心に展開しています。「空き家のお悩み解き放ち隊」という自社サイトを通じて、空き家や築古物件などの相談を受け、買い取りや仲介を行っています。特に、事故物件や再建築不可物件、借地権付きの不動産など、一般的に扱いが難しいとされる物件も積極的に取り扱っている点が特徴です。
――他社にはない強みはどのような点にありますか。
単に売却や買い取りを提案するのではなく、所有者の思いを汲み取りながら最適な活用方法を考える点です。場合によってはリフォームして賃貸に出す、あるいは店舗や事務所、福祉用途として活用するなど、多角的な視点で提案を行っています。地域のニーズを踏まえたマッチングを意識し、建物の価値を最大限に引き出すコーディネートを行っています。
「路傍の花」に価値を見出す理念
――理念やビジョンに込めた思いを教えてください。
戦後の経済成長の中で、新しいものが生まれる一方で、価値がないと見なされてきたものが数多く存在しています。不動産に限らず、そうした「道端に追いやられた存在」にもう一度光を当て、価値を再発見し、社会に流通させていくことが当社のミッションです。いわば「路傍の花」を見つけ、再び咲かせるようなイメージです。
原体験から生まれた起業への想い
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
福島県白河市で、築150年以上の古民家に住んでいた経験が大きく影響しています。人口減少とともに空き家が増えていく街の風景を見て、社会として非効率であり、美しさを欠いていると感じていました。その状況をビジネスとして改善できないかと考えたのが出発点です。
大学時代から構想はありましたが、まずは商社に就職し、投資や不動産関連の実務を経験しました。その中で、使われていない社会資産の多さを実感し、不動産分野での再生ビジネスに可能性を見出しました。その後、不動産会社で実務を学び、起業に至りました。
――経営判断の軸となる価値観は何でしょうか。
「三方よし」の考え方を大切にしています。相談者、取引相手、そして社会全体、それぞれにとって最適な着地点を見つけることを重視しています。不動産業は単なる売買ではなく、関係者の満足度を高めながら最適解を導くコーディネート業だと考えています。
地域と人をつなぐ組織づくり
――組織運営で意識していることを教えてください。
現在はまだ小規模な体制ですが、スタッフは、地元流山市在住の女性で、宅建資格を持つ未経験者を採用しています。地域への理解と貢献意識を重視しており、その点は期待通りに機能していると感じています。
また、外部とのコミュニケーションではデジタル対応を積極的に取り入れています。効率的かつ柔軟なやり取りを意識しています。
――どのような人と働きたいと考えていますか。
ミッションやビジョンに共感していただける方が前提です。その上で、組織への貢献意識を持ち、自身の役割を理解した上でパフォーマンスを発揮できる方と一緒に働きたいと考えています。
住文化を見直す新たな挑戦
――今後の展望について教えてください。
日本の住文化を見直す取り組みとして、中古戸建てやマンションの買い取りとリフォーム事業を計画しています。単なる再販ではなく、価値を再定義し、ブランドとして発信していきたいと考えています。そのためにも、適切な物件の仕入れを強化していく方針です。
――現在の課題についてはどのように捉えていますか。
不動産は個人の資産であると同時に、公共性の高い存在でもあります。管理されていない空き家や物件は地域全体の価値に影響を及ぼします。そのため、所有者の意識改革が重要だと考えています。すぐに解決できる問題ではありませんが、長期的に働きかけていく必要があります。
「邪悪になるな」という経営哲学
――経営において大切にしている信条を教えてください。
「邪悪になるな」という考え方を大切にしています。公共性を欠く判断は極力避けるという姿勢です。不動産という社会的影響の大きい分野に関わる以上、常に社会全体への影響を意識した意思決定を行いたいと考えています。
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
子どもと一緒に美術館や博物館に出かけたり、散歩をしたりする時間がリフレッシュになっています。日常から少し離れ、頭を切り替える大切な時間です。