哲学と経営で社会を変える――MVMMマネジメントが描く「哲学が資産になる社会」

合同会社MVMMマネジメント 代表 冨嶺 克幸氏

合同会社MVMMマネジメントは、日本の哲学をベースにした経営コンサルティングや人材育成を手がける企業です。これまでの事業を土台に、現在は「tabi to manabi」という新たな事業へと展開し、日本の精神性を国内外に発信する取り組みも進めています。本記事では、代表の冨嶺克幸氏に、事業の特徴や背景にある想い、今後の展望などについて伺いました。

日本の哲学を起点にした経営支援

――現在の事業内容について教えてください。

現在は「tabi to manabi」という事業を軸に、経営コンサルティングと日本の哲学の発信の2つを中心に展開しています。もともとMVMMマネジメントで行っていた経営コンサルティングも継続していますが、今はその内容自体をアップデートしているイメージです。

具体的には、日本の哲学をベースにした事業設計や人材育成、そして経営の伴走支援を行っています。従来のコンサルティングが売上や利益、時間の自由といった個人の成果にフォーカスしがちななかで、私たちは経営の本来の役割である「世の中の問題を解決すること」や「理想の社会をつくること」に立ち返ることを重視しています。

コロナ以降、フリーランスや個人事業主として起業する人が増え、個人の自由や収入を優先する流れが強くなっていると感じています。ただ、その方向だけでは社会全体の課題は解決されず、むしろ格差が広がる可能性もあるでしょう。だからこそ、社会に対してどのような価値を提供するのかという視点を持った経営者を増やしたいと考えています。

――発信事業についても教えてください。

当社がもう一つの柱としているのは、日本の哲学を世界に発信するYouTubeチャンネルの運営です。登録者は現在1万5000人ほどですが、このチャンネルを軸に、日本の精神性を体感できるワークショップやツアーなども展開しています。

違和感から始まった経営への道

――この事業に至った背景を教えてください。

幼少期から、社会の構造に対して違和感を持っていました。本来大切にしたいはずの家族関係がうまくいかなかったり、世の中の出来事を見ていても「本当にこの人たちはそれを望んでいるのか」と感じたりすることが多かったんです。「そうせざるを得ない社会の仕組みがあるのではないか」とずっと考えてきました。

23歳で起業したのも、そうした違和感が根底にあります。会社員として関わるよりも、経営者として社会に関わるほうが影響力が大きいと考えました。当時は大手の食品メーカーで営業をしていて、数字としての成果は出していましたが、自分のなかでどこか満たされない感覚があったんです。

そうしたなかで、自分の想いや価値観を貫いて生きるのか、それとも現実に合わせていくのかを考えたときに、やはり「自分の信念を形にしたい」と思い、起業を選択しました。

――日本の哲学にたどり着いた流れもお聞かせください。

起業後、多くの経営者と関わるなかで、売上や利益、自由といった個人の欲求を満たすための手段として経営が使われているケースが多いと感じました。それ自体を否定するわけではありませんが、それだけでは社会はよくならないのではないかという違和感がありました。

そこでビジネスの前提を見直していくと、多くが西洋的な価値観に基づいていることに気づいたんです。西洋では個人主義をベースに「いかに個人が成功するか、所有するか」という思想が強い一方で、日本は調和や助け合いを大切にしながら、個人としての強さも持ち合わせている文化があります。

その違いを深く探っていく流れで、侘び寂びや禅、縁起といった日本独自の精神性に行き着きました。この哲学をベースにすれば、個人の利益ではなく、自然と社会や未来のために行動する経営ができると考えています。

本質を追求し、価値を資産として残す

――経営判断の軸について教えてください。

一つ大きな軸としているのは、「それが資産として残るかどうか」です。例えばコンテンツであれば、ただ消費されるものではなく、10年、20年経っても価値が残るものになっているかを重視しています。

サービスにおいても同様で、その場限りの成果ではなく、その人自身の意思や価値観が反映され、未来に継承される事業になっているかを見ています。表面的な価値ではなく、本質的な価値をどれだけ言語化し、形にできているかが重要だと考えています。

――譲れない価値観はありますか。

私が大切にしているのは、「妥協せず考え続け、工夫し続けること」です。

経営において、利益はもちろん重要です。一方で、経営の本質は社会や顧客が抱える課題を解決することにあると考えています。そのため、収益性だけを追求したり、理想だけを優先したりするのではなく、その両方を高い水準で実現する方法を模索し続けることが重要です。

事業を設計する際も、「“想い”か“利益”か」という二者択一ではなく、どちらも満たせる形を目指します。簡単に答えを出すのではなく、最後まで考え抜き、工夫を重ねながら最適な形を見つけてその実現に伴走していく――その姿勢こそが、私自身の譲れない価値観です。

チームでつくる事業のかたち

――組織運営について教えてください。

現在は業務委託のメンバーとチームを組んでおり、メインメンバーが5人、関係者を含めると8人ほどの体制です。

業務委託という形ではありますが、単なる役割分担ではなく、「一緒に事業をつくっている」という感覚を大事にしています。そのために重視しているのが、メンバー一人ひとりのやる気を引き出すことです。

責任範囲だけをこなす関係ではなく、それぞれが主体的に関わり、事業に対して当事者意識を持てるようなコミュニケーションを心がけています。明確な役割を示しながらも、「この事業を一緒につくっている」という意識を共有することが重要だと考えています。

――働き方についてはいかがですか。

普段はオンラインでのやり取りが中心ですが、サービス提供やYouTubeの撮影の際には現地に集まります。関西と関東にメンバーが分かれているため、必要なタイミングで集まりながら進めています。

特にYouTubeは、コンテンツの企画から英訳、撮影、編集までチームで行っており、プロのクリエイターも関わっています。そうしたプロジェクトを通じて、チームとしての一体感も生まれています。

哲学が資産となる未来へ

――最後に、今後の展望について教えてください。

今掲げているビジョンは、「哲学が資産になる社会」です。その実現に向けて取り組んでいるのが、『哲学ジャーナル』というプロダクトの開発です。

これは、一冊を書き終えるころには自分自身の哲学が確立されるようなジャーナルで、いわば自分のバイブルをつくるようなものです。日々の思考を書き出すだけでなく、日本の哲学に基づいた問いに向き合うことで、価値観そのものが変化していく設計にしています。

完成した哲学を個人の中に留めるのではなく、それをシェアし合い、誰かの価値観が別の誰かの役に立つ――その価値が何らかの形で還元される仕組みをつくることで、哲学そのものが資産として機能する社会を実現したいと考えています。

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