美容を通じて人をハッピーに。日本の知恵を生かし、長く愛されるものづくりへ
福美人株式会社 代表取締役社長 向井 麻由美 氏
福美人株式会社は、雑誌やメディアの記事制作を支える事務所として2006年に創業。美容に関わる編集者、ライター、スタイリスト、カメラマンなどが集まり、美容ページや雑誌制作を手がける中で、化粧品に関する知見や生活者の声を蓄積していきました。現在は、日本の和のハーブを生かしたスキンケアブランドを軸に、敏感肌や肌トラブルに悩む人へ向けた商品づくりに取り組む向井氏。今回の取材では、経営者の道に進んだきっかけや経営における価値観、リフレッシュ方法等について伺いました。
目次
美容を通じて、人をハッピーにする会社へ
——会社の成り立ちと、現在の事業について教えてください。
もともとは、雑誌やメディアの記事制作をお手伝いする会社として始まりました。美容関係のページや雑誌を作る仕事が中心で、編集者やライター、スタイリスト、カメラマンなど、フリーで働く人たちが一つの事務所として集まったのが出発点です。
美容の現場では、たくさんの化粧品に触れ、発表会や取材にも足を運びます。雑誌で取り上げられる商品だけでなく、本当はとても良いものなのに、広告やさまざまな事情で日の目を見にくい化粧品もありました。そうした商品を紹介するために、ショッピングサイトを立ち上げたことが、現在の事業につながっています。
その中で、自分たちでも「こういうものがあったらいいよね」と考え、形にしたのが、現在の主力商品である「福美水」です。最初は一つの商品として企画したものでしたが、リピートしてくださるお客様が増え、他のアイテムも欲しいという声もいただくようになりました。そこから、自社商品にも力を入れていくようになりました。
——福美人の理念や、大切にしている考え方は何ですか。
会社名の福美人には、幸福の「福」と、「美しい人」という意味があり、「美容を通じて人をハッピーにすること」を大切にしています。
今はスキンケアや香水ブランドを展開していますが、考えている美容の範囲はスキンケアだけではありません。メイクアップや健康、内面の美しさも含めて、広い意味での「美」に関わるものを守備範囲と考えています。
それによって、少しでも気分が上がったり、幸せを感じたりしていただけるものを届けていきたいです。
美容の現場で培った「見る目」を、ものづくりに生かす
——他社にはない強みは、どのようなところにありますか。
出発点がメディアや雑誌の現場なので、とにかく情報をたくさん持っていることが強みです。雑誌の記事を一つ作るにも、100商品、200商品を実際に見て、その中から10個に絞るようなことをしてきましたので、化粧品を見る目が養われたと思っています。
実際、エステやハーブの専門家、美容皮膚科の先生、化粧品会社の研究者など、多くの方に取材してきました。美容に関する知見が蓄積されていたので、化粧品づくりにおいても、単にリサーチやマーケティングから考えるというより、自分たちの中にある情報や実感から「こういうものが必要ではないか」と発想しています。
今でも試作は常に行っています。アイデアはたくさんあり、20商品ほど同時に試作しているような状態です。また、コンサルティングの仕事も並行しており、美容業界に新規参入したい企業や、仕入れた化粧品の魅力をどう伝えたらよいか悩んでいる企業に対して、商品の特徴や伝え方を整理するお手伝いもしています。自社商品を作るだけでなく、美容に関する広い情報をもとにアドバイスできることも、私たちらしさだと思います。
——経営者になられたきっかけを教えてください。
最初は金融系の会社に就職しました。当時は就職が厳しい時代で、とにかく入れるところに入るしかないという状況でした。化粧品会社も受けていましたが、先に金融業界で仕事が決まり、そこで8年ほど働きました。
ただ、その間も美容が好きだという想いは変わらず、30歳くらいになった時、このままではまずいと思い、美容に関わる仕事へ進むことを決めました。
前職では、経営企画部門にいた時期があり、会社の経営者や役員と仕事をする機会がありました。会社がどう動くのか、経営者の一言でどれだけ会社が変わるのかを目の当たりにして、経営の大変さと面白さを感じました。その頃から、次に仕事をするなら、雇われるだけではなく、自分で決めて、自分で運営していきたいという想いがありました。
福美人に関わるようになってからも、最初は社員ではなくフリーの立場でした。その後、役員として責任を持って関わることになり、経理やお金の管理などにも携わるようになりました。
私は、前社長から会社を引き継ぐ形で経営を担うことになったのですが、すでに会社の内側をある程度見ていたので、「経営者になるぞ」と身構えたというより、手がけていたことの延長線として運営していく感覚でした。
売上だけではなく、長く続く価値を判断軸にする
——経営判断で大切にしていることは何ですか。
会社を続けていく中で、「この会社をどうしていきたいのか」と立ち戻るようになりました。会社も関わる取引先や社員を幸せにしていく場所。会社も商品も、人々を幸せにし、それが100年、200年と長く続くものにしたいと思いました。短期的な売上や目先の良さよりも、本当に世の中に受け入れられ、喜ばれる存在であれば、長く続くはずだという想いが強くあります。
判断の基準としては、お客様にとって良いこと、自分たちの会社にとって良いこと、そして社会的に見ても良いこと。この三つがそろっていれば、判断を大きく間違えることはないと思っています。
日本の和の成分を、国内から海外へ届けていく
——今後、挑戦していきたいことを教えてください。
取材を重ねる中で実感してきたのは、日本人には日本の地のものが合っているということです。食べ物もそうですが、肌につけるものも同じだと思っています。昔から長く使われてきたものには、数字で表せなくても、時間が証明してきた価値があります。
身近にある薬草や木、草にも、実は素晴らしい役割があります。遠くのハーブばかりに目が向きがちですが、目の前にあるもので、自分たちの肌や体をケアできるということを伝えていきたいです。
福美水においては、ブランドとして15年ほど国内で販売してきましたが、これからは海外のお客様にも日本の良さを知っていただきたいです。
日本の伝統に触れる時間が、新しい発想につながる
——仕事以外で、リフレッシュや学びにつながっている時間はありますか。
ゴルフをすることもありますが、新しいものに触れること、反対に日本の昔ながらの伝統に触れる時間です。日本の和のもの、昔から続いているものに注目しています。華道や俳句もしますし、特に茶道は新商品のコンセプトともつながっています。
お茶のお点前一つを見ても、「なぜこういうことをするのだろう」と思うことがあります。そこを紐解いていくと、面白い発見がたくさんあります。昔から続いているものには、理由や意味がありますし、まだ今の人たちに伝わっていないこともたくさんあると感じます。
日本人にも、海外の方にも、もっと知ってもらいたいと思うものが多くあります。そうした時間は、自分にとってリフレッシュになるだけでなく、新しいアイデアにもつながっています。日本の良さを、これからの商品づくりや発信にも生かしていきたいです。