資産運用とM&A支援で経営者に伴走――ウェルスコンダクターズが描く“売り手本位”のウェルスマネジメント

株式会社ウェルスコンダクターズ 代表取締役 大枝 晃氏

株式会社ウェルスコンダクターズは、富裕層向けのウェルスマネジメント事業を展開するIFA事業者です。スイス系プライベートバンク出身者による高度な資産運用支援を強みに、近年ではSell-side(売り手側)に特化したM&A支援も主要サービスの一つとして展開しています。本記事では、代表の大枝晃氏に、事業の特徴や独立の背景、経営に対する考え方、今後の展望などについて詳しく伺いました。

外資系プライベートバンクの知見を活かしたウェルスマネジメント

――現在の事業内容について教えてください。

当社は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として金融商品仲介業を行っており、お客様の資産状況や目的に応じて、運用ポートフォリオの設計や資産保全に加え、相続・資産承継対策、戦略的な税金対策などを行っています。

私は2022年4月まで、スイスに本拠を置き、ウェルスマネジメント分野で世界最大規模を誇るUBS銀行で、プライベートバンカーとして富裕層のお客様の資産運用に携わってまいりました。その経験を基盤として当社を設立し、現在は楽天証券・東海東京証券・Jトラストグローバル証券と提携しながら、お客様の資産運用をサポートしています。

主なお客様は個人の富裕層で、特に会社売却を経験された経営者の方が中心です。また、当社の特徴の一つとして、投資銀行の現役バンカーや、ベンチャーキャピタル・プライベートエクイティファンドの現役ファンドマネージャーといった同業のプロフェッショナルからも資産をお預かりするケースが多く、資産運用に関する専門性を業界内からも高くご評価いただいていると自負しております。

お客様が長年にわたり築き上げてこられた大切な資産を、どのように守り、どのように繁栄させ、そして次世代へ承継していくか――そうした長期的な視点からのご相談を数多くいただいております。 

――御社ならではの強みはどのような点にありますか。

二つ目は、近年特に注力している売り手に特化した M&Aアドバイザリー「M&A Guardian」です。これは、会社売却を検討されている経営者の方々に向けて、売り手側の立場に立ってご提供するセカンドオピニオン・サービスです。

これまで多くの会社売却経験者を担当するなかで、「もっと高く売れたのではないか」「売却後に買い手企業との関係がうまくいかなかった」といったお声を数多く伺ってきました。現在のM&A市場は活況ではあるものの、構造上、買い手側が優位になりやすい側面があることは否めません。だからこそ、売却プロセスの初期段階から売り手の立場で並走し、条件交渉のみならず売却後の資産運用までを見通したアドバイスができる存在が必要だと考え、このサービスを立ち上げました。

“お客様本位”を追求した先にあった独立

――経営の道に進まれた背景を教えてください。

新卒で大手証券会社に入社し、その後UBS銀行東京支店へ転職、一貫してウェルスマネジメント業務に携わってまいりました。

証券会社時代は、厳しいノルマや会社都合による担当変更など、組織の仕組みに葛藤を感じる場面も少なくありませんでした。そうした経験のなかで、ウェルスマネジメントバンカーとして長期的にお客様に寄り添いたいという想いが次第に強くなり、「本当の意味でお客様本位の仕事ができる環境とは何か」を真剣に考えるようになりました。

UBS銀行では世界トップクラスのウェルスマネジメントを経験し、自分の理想に極めて近い環境でお客様に向き合うことができました。それでもなお、金融機関の一員である以上、特定商品の販売目標や業績ノルマから完全に自由になることはできません。本当の意味でお客様と利害を一致させ、中立的な立場で長期にわたり伴走するには、自ら独立した組織を立ち上げる以外に道はない――そう確信し、IFAという選択をしました。

また、個人事業ではなく会社として立ち上げたのは、ウェルスマネジメントに特化した高品質なサービスを、組織として継続的に提供したいという想いがあったからです。証券会社との連携基盤を整えつつ、ウェルスマネジメントに特化したサービス体制を構築し、外資系プライベートバンクで培った手法を国内IFAという土壌のうえで実現する――その環境づくりを一歩ずつ進めてきました。 

――お客様との接点はどのように広がっているのでしょうか。

これまでは、ほぼすべてが既存のお客様からのご紹介です。会社を売却された経営者の方の周囲には、同じように会社売却を検討されている方が多くいらっしゃいます。「会社売却の相談をするなら一度話を聞いた方がいい」「売却後の資産運用も合わせて相談した方がいい」といった形で、経営者コミュニティの中から自然とご紹介いただく流れができていきました。

会社売却後は、突然大きな資産を保有することになり、運用について不安を感じられるケースも少なくありません。そうした方々に対して、売却前後を通じて長期的にサポートしていくことが、当社の重要な役割だと考えています。

現在は5名体制ですが、規模を追わず、メンバー一人ひとりが高い専門性を持ち、お客様一社一社・お一人おひとりと長期的に深く向き合う体制を維持しています。 

ゴルフと料理が生む交流の時間

――休日のリフレッシュ方法について教えてください。

経営者仲間やお客様とゴルフに行くことが多く、自然の中で過ごす時間が良いリフレッシュになっています。

また、料理も好きで、特にとんかつにはこだわりがあります。食べ歩きをしながら研究を重ね、知人のレストランを借りて、自分が揚げたとんかつを振る舞う会を開くこともあります。そこから経営者同士の交流が生まれることも少なくありません。

金融も、結局は人と人との信頼関係で成り立つ仕事です。だからこそ、こうした趣味や交流の時間も大切にしながら、お客様に長く寄り添っていきたいと思っています。

M&A支援を軸に、さらなる事業拡大へ

――今後の展望について教えてください。

ウェルスマネジメント事業については、IFA×ウェルスマネジメントとして幅広いサービスを提供できる体制が整ってきました。今後はその基盤をさらに強化しながら、「M&A Guardian」を軸とした売却支援にも力を入れていきたいと考えています。

実際、この取り組みを始めてから、会社売却後のお客様に資産をお預けいただく流れが着実に広がってきました。その成果として、楽天証券のIFAアワードにおいて、アセットグロース部門で2025年度上期に全国1位、2025年度下期にも全国3位を獲得することができました。 

――新たに取り組んでいることはありますか。

これまでは紹介を中心に事業を拡大してきましたが、今後はSNS運用やYouTube、自社メディアなども積極的に活用していく予定です。現在はまだ試行錯誤の段階ですが、ウェルスマネジメントというサービスの価値を、より多くの皆様にお届けしていきたいと考えています。

また、中小企業庁とも意見交換を行っており、M&A市場における売り手保護や情報提供のあり方についても協力していきたいと思っています。売り手側の知識不足によって不利益を被るケースは決して少なくなく、その改善に少しでも貢献できればと考えています。

会社売却は、多くの経営者にとって人生で一度きりの重大な決断です。その瞬間に、本当に売り手の立場で意見をくれる伴走者がいるかどうかで、結果は大きく変わります。私たちはこれからも、ウェルスマネジメントとM&A支援の両輪で、経営者の方々の人生に長く寄り添う存在であり続けたいと考えています。 

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