空き家再生に命を吹き込む――“不動産オタク”が挑む、誰も損しない街づくり

株式会社めりーほーむ 代表取締役 川村 隼太氏

空き家問題が全国的な課題となる中、兵庫県川西市を拠点に、築古物件や事故物件、全焼した建物まで再生し、新たな価値を生み出しているのが株式会社めりーほーむです。不動産資産運営会社「エデュガルエステート」と連携しながら、“誰も損しない取引”を徹底し、地域に根差した空き家再生に取り組んでいます。今回は代表の川村隼太氏に、会社設立の背景や事業への思い、今後の展望について伺いました。

不動産への情熱から始まった空き家再生事業

――御社を立ち上げた経緯について教えてください。

京都教育大学を卒業後、東建コーポレーションで組織運営や不動産の知識を学びました。その頃から自分でも不動産を購入し始め、学校法人大原学園の職員に転職した後も、本業の傍ら副業として不動産賃貸業を続け、規模を拡大していきました。

もともとは副業として始めた事業でしたが、「ここまで規模を拡大できたからには、本業にした方が良い」と考え、2016年に資産運用法人であるエデュガルエステートを設立しました。その後、学校を退職(卒サラ)して、2018年に宅建業を行う株式会社めりーほーむを立ち上げ、本格的に不動産業へ進出しました。

最初から経営者になりたかったわけではありません。私は“経営者志向”というより、ただの“不動産オタク”なんです。不動産を収集することが純粋に好きで、気に入った物件を増やしていきたい。そのために利益を出し、さらに次の物件を取得していく。そんな感覚でここまでやってきました。

「誰も損しない取引」を徹底する強み

――現在の事業の特徴や強みについて教えてください。

めりーほーむの特徴は、お客様が「リピートしたくなる取引」だけを行っていることです。

通常の不動産会社は、利益を出すために多少無理な営業をするケースもあります。しかし当社には、家賃収入を母体とするエデュガルエステートがあるため、無理に利益を追いかける必要がありません。そのため、お客様にとって本当にメリットのある案件だけを扱えます。

買主が「買って良かった」、売主が「この会社に任せて良かった」と思える、損をさせない取引しか行わない。そこは徹底しています。

特に力を入れているのが、空き家再生です。築古物件や事故物件、火災物件など、他社が扱わないような不動産を再生し、もう一度住める家として蘇らせています。

空き家問題に真正面から向き合ってきたことで、多くの反響もいただきました。神戸市内で多数の空き家を再生した実績から、神戸市長室に呼んでいただき、市役所職員向けにノウハウを共有したこともあります。

また、雑誌『プレジデント』やテレビ朝日『サンデーステーション』、CBCテレビ『チャント!』など、さまざまなメディアにも取り上げていただきました。2021年に出演した『楽待』のYouTube動画は、現在も60万回以上再生されています。

――空き家再生を支える体制についても教えてください。

どんな空き家でも対応できるよう、リフォーム会社、屋根業者、鍵屋、水道業者など、多くの専門業者とチームを組んでいます。

床が抜けているような物件でも、全焼した建物でも、「再生できない」とは考えません。もう一度命を吹き込み、安心して住める住宅として世の中に戻していく。それが私たちの使命だと思っています。

「三方よし」ではなく、“全員よし”を目指す理念

――会社として大切にしている理念やビジョンを教えてください。

株式会社めりーほーむでは、「幸せな気持ちで毎日くつろげる住まいに命を吹き込む」という考えを大切にしています。

誰も見向きもしない廃墟でも、再生すれば誰かの住まいになります。その価値を信じているからこそ、私たちは空き家再生を続けています。

そして何より重要なのが、「みんなにとって良い取引でなければやらない」という姿勢です。

売主、買主、入居者、リフォーム会社、そこで関わる私たち自身。その全員が納得できる形でなければ意味がありません。

例えば、生活保護受給者やシングルマザー、高齢者など、一般的な賃貸では入居を断られやすい方にも住まいを提供しています。そのためには、家賃を抑えた物件にする必要がありますし、オーナーにも適切な利回りを確保してもらわなければいけません。

全員が幸せになれる価格で成立する案件だけを扱う。それが当社のスタンスです。

利益だけを追うなら、もっと高値で売買する方法もあります。ただ、それでは誰かが苦しくなる。私たちは、そういう取引はしたくありません。

不動産を愛する社員たちとつくる組織

――組織運営や社員との関係で大切にしていることはありますか。

うちの社員やスタッフは、経理も含めてほとんど全員が不動産を持っています。

別に何十棟も持つ必要はありません。一戸でも二戸でも、自分で不動産を所有することで、社長である私や、クライアントであるオーナー様の気持ちが分かるようになるのです。

「なぜ社長がこの判断をするのか」「なぜ空室募集を急ぐのか」――そういった感覚を、自分ごととして理解してもらえる組織にしたいと思っています。

採用も、一般的な求人はほとんど行っていません。紹介やご縁で入社してくれるケースが多いですね。

例えば、以前管理会社で当社物件を担当していた方が退職すると聞き、声をかけて入社してもらったこともありますし、『楽待』のYouTubeを見た当時の大学生が、インターンを経て新卒入社し、大家として成長しながら勤めている例もあります。

規模拡大を急ぐより、「同じ価値観を共有できる人」と働くことを重視しています。

地域に根差しながら次のステージへ

――今後の展望について教えてください。

今は“安定期・成熟期”に入ってきた感覚があります。地元・川西市の市役所のほぼ向かいに自社ビルを購入したり、隣町の大阪府池田市に新築マンションを建設したり、地元のサッカーチームのトップスポンサーを経験したりと、地域貢献もできるようになってきました。

今後の目標としては、「家賃収入5億円」「純資産5億円」の“5・5”を一つの目安にしています。現在も姫路で当社最大規模の大きな収益マンションを購入するなど、年間家賃収入もますます増えています。

ただ、やること自体を大きく変えるつもりはありません。今やっている空き家再生や大家コミュニティ支援の延長線上で、非営利活動など、公共性の高い活動のできる範囲を広げていきたいと考えています。

一方で、課題もあります。不動産価格やリフォーム費用は年々上昇しており、「みんなが幸せになれる案件」は以前より減っています。

それでも、空き家問題は今後さらに深刻化していくはずです。だからこそ、私たちの役割はまだまだあると思っています。

家族や友人との時間が何よりのリフレッシュ

――休日の過ごし方やリフレッシュ方法について教えてください。

家族や友人旅行によく行きますね。娘も二人いて、遊びに連れて行ったり、ちょっとリッチなホテルに泊まらせてあげたり、テーマパークへ連れて行ったりしています。USJには過去5年で100回連れて行きました(笑)。妻は公立の教職員を続けているので、平日や学校行事への参加など、私の方が娘たちと過ごす時間は多いかもしれません。

マリオット(旧マリオット・ボンヴォイ)系列のホテルもよく利用しています。仕事で貯まったポイントを使って、自身のリフレッシュだけでなく、家族に良い空間や時間を過ごしてもらえるのは嬉しいですね。

経営も不動産も本気ですが、友人や家族との時間も同じくらい大切にしています。だからこそ、仕事も頑張れるんだと思います。

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