素材から販売までを自ら手がける、タオルづくりへの挑戦
丸栄タオル株式会社 代表取締役会長 村上 誠司 氏
丸栄タオル株式会社は、今治でタオル工場を営み、20年前から東京をはじめとする直営店での販売にも取り組んできた会社です。現在は10店舗の直営店を持ち、ものづくりから販売までを自社で担う体制を築いています。大量に安いものをつくるのではなく、世界でも最高峰の素材を使い、糸づくりを数値で細かく指示しながら、自社のプライベートブランドを展開してきました。タオルを単なる日用品としてではなく、生活の中に心地よさをもたらすものとして捉え、ウェアリングを含めたライフスタイルの提案に取り組んでいます。
目次
素材から販売まで、自社でつくり上げるタオルづくり
——現在取り組まれている事業の内容について教えてください。
丸栄タオル株式会社は、今治でタオル工場を営んでいる会社です。昭和33年からタオル工場を営んでおり、20年前からは東京をはじめ、現在10店舗の直営店で販売しています。ものづくりだけでなく、販売まで自社で行っている会社です。
直営店を10店舗持っていることは、今治のタオル業界の中でも多い方だと思っています。1店舗を持っている会社はありますが、10店舗というのはなかなかありません。その点は、当社の特徴の一つです。
——他社にはない強みは、どのようなところにありますか。
当社は、大量に安いものをつくるということは一切していません。自分たちが目指しているのは、世界に一つしかない最高峰のものをつくることです。そのために大切になるのが素材です。
素材そのもの、つまりコットンから考えています。米綿であればスーピマコットン、エジプトであればギザ綿、インドであればスビンというように、最高峰の超長綿を使います。長い繊維を持つ綿は、希少価値が高く、非常に高級な綿です。
それを海外の紡績に直接持ち込み、番手や撚り、上撚り・下撚りなどもすべて数字で指示します。そうして紡績した糸を、これまでコンテナで直接入れて、商品化してきました。
当社がつくっているプライベートブランドは、他の企業が真似しようと思っても簡単にはできないものです。それが丸栄タオルのノウハウであり、ブランディングの一番大事なコンセプトになっています。
タオルで暮らしを包む、ライフスタイルの提案
——理念やビジョンには、どのような思いが込められていますか。
タオルは、常に生活の中にあります。ただ、決して主役になるものではありません。キッチンには調理器具や食器が、お風呂場ではバスルームが主役です。しかし、そのどちらのシーンにもタオルが必要です。トイレや洗面、ベッドルームにもタオルは関わっています。
タオルのパジャマやタオルケット、ピローケースなど、タオルで包まれると、人間の体や皮膚は非常に快適に感じます。心地よい空間ができるのです。
私自身が着ているシャツもタオルです。これから夏場になると、それなしには過ごせないくらい気持ちがいいものです。そうした意味で、タオルは生活の中にあるものとして、ライフスタイルを提案できる存在だと考えています。
タオルだけでなく、ウェアリングを含めて提案していることも、当社の特徴です。他のタオル屋さんがやっていないことに取り組みながら、ライフスタイルという観点で商品をつくっています。
下請けから自社販売へ、自分たちで届ける形を目指して
——経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
会社は父が昭和33年に立ち上げた会社です。私が入ったときは、地元の工場の下請けをしている状況でした。ただ、当時からこれではいけないという気持ちがありました。
百貨店も経験しましたが、それも人任せになってしまうところがあり、やはり自分で売るしかないと考えるようになりました。ものは自分たちでつくり、原綿も仕入れ、海外の最高峰の綿を使い、紡績で糸をつくり、それを織って、自分たちで販売していく。そうした形にしていきたいと思っていました。
素材から販売まで、すべてを自分たちで行うところまで持っていくことは、私の夢でもありました。20年前から直営店を出して取り組んできました。父が立ち上げた会社を大きくしてきたという思いがあります。まだ道半ばですが、これからのビジョンもあり、今も進行中です。
——経営判断をする際に、軸にしている考え方はありますか。
判断は、すべて自分でしています。常に0.3秒でジャッジしているような感覚です。経営では、いろいろな場面で判断が必要になります。自分で考え、自分で決めて進めてきました。これまでの会社の変化も、そうした判断を積み重ねてきた結果であると思っています。
報告・連絡・相談を重ね、情報を共有する組織へ
——社内のコミュニケーションで大事にしていることを教えてください。
会社では、報告、連絡、相談を大切にしています。とにかく風通しがいい会社にしたいと考えています。各セクションにはiPhoneを置いていて、みんながLINEでつながっています。情報共有をしましょうということを、毎日の朝のミーティングでも伝えています。
ただ、言えば全員がすぐに分かってくれるわけではありません。だからこそ、毎日言い続けています。思い通りにならないのが当たり前だと思いながら、毎日取り組んでいます。
——一緒に働きたいと感じる人は、どのような方ですか。
やる気がある方です。それしかないと思っています。仕事をしていくうえでは、やる気を持って取り組めることが大切です。会社としても、ものづくりから販売までを自分たちで行っているので、それぞれの現場で前向きに取り組める人と一緒に働きたいと考えています。
現在は、息子も代表取締役社長として関わっています。代表が2人いる形です。会社のこれからを考えるうえでも、やる気を持った人とともに進めていきたいです。
真面目なものづくりを掲げ、これからも進み続ける
——経営の中で、これだけは譲れないという思いはありますか。
ものづくりで言えば、真面目なものづくりです。それを最前線に掲げています。きちんとお客様に通用するものをつくることは、当たり前のことです。真面目なものづくりは譲れません。商品をつくる以上、そこは大切にしています。
——今後の展望について、どのように考えていますか。
会社はまだ道半ばです。これからのビジョンもあります。父が立ち上げた会社をここまで大きくしてきましたが、これで終わりではありません。素材を選び、糸をつくり、織り、商品にし、自分たちで販売していく。その形をさらに進めながら、丸栄タオルとしてのものづくりを続けていきたいと考えています。
休みの日も動きながら、新しいことに触れる時間を持つ
——お休みの日は、どのように過ごされていますか。
休日は、食事に行ったり、ドライブや、旅行に行ったりしています。65歳を過ぎてからは、ギターも習い始めました。少しずつ上達して前はできなかったことができるようになると、うれしく感じます。
しかし、休みはあってないようなものかもしれません。
休日を楽しんでいるときでも、仕事のアイデアが浮かんだり、お客様のことを考えたりします。仕事と暮らしが自然につながっているので、完全に切り替わるというより、日々の中で仕事と遊びとを楽しんでいます。日々の中で仕事と向き合い続けている感覚です。