特定非営利活動法人太陽の村が目指す“すべての子どもに笑顔を”――自然体験と居場所支援で広がる新たな挑戦
特定非営利活動法人太陽の村 理事長 吉川 さやか氏
特定非営利活動法人太陽の村は、放課後等デイサービスをはじめ、不登校支援や自然体験活動など、子どもたちの居場所づくりに取り組む法人です。現在は6事業所を展開し、地域に根差した支援を続けています。さらに近年は、より多くの子どもたちを支えるため、フランチャイズ展開やオンラインフリースクールなど新たな挑戦にも力を入れています。今回は代表の吉川さやか氏に、事業への想いや組織づくり、今後の展望について伺いました。
自然体験を通じて子どもの居場所をつくる
――現在取り組まれている事業の特徴や、他社にはない強みを教えてください。
「晴れの日は、外遊び100%」。当法人の特徴は、自然体験を重視している点です。もともと自然体験教室からスタートした背景があり、放課後等デイサービスでも外遊びや野外活動を積極的に取り入れています。室内で過ごす事業所も多いですが、私たちは外での活動を通じて子どもたちの成長を支えていくことを大切にしています。
保護者の方の中には、「子どもを自然の中で遊ばせたいけれど、なかなか連れて行けない」という悩みを抱える方も少なくありません。そうしたニーズに応えることも、私たちの役割の一つです。
また、現在は6つの放課後等デイサービスの事業所を展開しています。長年地域で活動を続ける中で、キャンセル待ちが出る事業所も増えてきました。
創業時から不登校支援の必要性を強く感じており、不登校の子どもたちに向けて、午前中から利用できる居場所づくりにも力を入れています。「フリースクール型放課後デイ」では、学校に行けない子どもたちが安心して過ごせる環境を整え、地域の中で支援を行っています。
より多くの子どもたちに支援を届けるため、直営店だけではなくフランチャイズ展開に取り組んでいます。NPO法人ではフランチャイズ事業を行えないため、2025年6月に株式会社てぃんがーらを立ち上げました。
“太陽”と“てぃんがーら”に込めた想い
――理念やビジョンには、どのような想いが込められているのでしょうか。
法人名にある「太陽」には、“すべての子どもを分け隔てなく照らしたい”という想いを込めています。
「すべての子どもに笑顔を」という理念の通り、困っている子どもたちを支え、安心できる居場所をつくりたい。そんな想いが根底にあるんです。
また、フランチャイズ事業を行う株式会社てぃんがーらの名前は、沖縄の言葉で“天の川”を意味しています。
私は旅行が趣味で、沖縄の久米島を訪れた際に見た天の川と流れ星がとても印象に残りました。その時、「もっと頑張ろう」と自分自身を奮い立たせるような感覚があり、その想いを込めて名前を付けました。
福祉業界未経験から始まった挑戦
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともと福祉業界とはまったく異なる仕事をしていました。以前はパソコンのレンタル会社に勤めていて、福祉とは無縁だったんです。
そんな中、「NPOを立ち上げるので手伝ってほしい」と声をかけられたことが、今につながるきっかけでした。最初はパンフレット制作を手伝う程度の予定でしたが、出資にも関わることになり、そのまま法人運営へ深く携わるようになりました。
正直なところ、最初から強い理念を持って始めたわけではありません。活動を続ける中で、不登校や発達障がいの子どもたちが抱える現実を知っていったという感覚です。
今では、不登校や生きづらさを抱える子どもたちの増加に強い危機感を持っています。地域だけでなく、全国的に支援を広げていかなければならないという想いで取り組んでいます。
“ありがとう”を大切にする経営
――経営判断の軸になっている価値観は何でしょうか。
私が大切にしているのは「感謝」です。
当法人では毎月所長会議を行っており、会議の最後には「ありがとうの回収」という取り組みをしています。利用者の方や保護者の方などから言われた「ありがとう」を、事業所ごとに発表してもらい、共有する時間です。
私は、お金や売上を最優先にするのではなく、「誰かの役に立ちたい」という気持ちを大事にしたいと思っています。そうした積み重ねの結果として、信頼や売上につながっていくのではないかと考えています。
悪口を言わない組織づくり
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
組織運営では、横のつながりをとても大切にしています。社内ではグループごとに連絡を取り合える仕組みを整備し、各事業所や専門職同士がスムーズにコミュニケーションを取れる環境をつくっています。
また、採用や育成で重視しているのは「人柄」です。特に、「会社の悪口を言わない」「同僚の悪口を言わない」「保護者の悪口を言わない」、この3つを大切にしています。
改善提案がある場合は、陰で不満を言うのではなく、表に出して共有してほしいです。改善提案をしてくれた職員には、評価制度の中で還元も行っています。
過去には、一人の不満が職場全体の空気を悪くし、離職につながりかけた経験もありました。その経験から、組織の雰囲気づくりをより重要視するようになりました。
また、法人内には新人職員のための基本の「き」、支援内容、事務マニュアルなど分野別に幅広くまとめた「羅針盤」という組織マニュアルがあり、職員による認識のばらつきを防いでいます。羅針盤により、新人職員でも安心して働ける環境づくりにつながっていると思います。
研修制度にも力を入れている点も特徴的です。新しく入った職員は週1回・3カ月間、他事業所において学ぶ仕組みを導入しています。専門職同士の研修会も定期的に実施し、法改正や支援内容について情報共有を行っています。
全国へ広がる支援を目指して
――今後の展望について教えてください。
今後は、オンラインフリースクールにも取り組みたいです。
近年、オンライン型のフリースクールが増えている中で、自宅からでも支援につながれる環境づくりが必要だと感じています。
また、株式会社てぃんがーらによるフランチャイズ事業も本格的に始動しています。今年度中には神奈川県内で3店舗の展開を目指しており、将来的には全国各地へ広げていきたいです。
さらに、花粉症の漢方サプリメントの販売にも取り組んでおり、現在はオンライン販売体制の整備を進めています。
――経営の軸になっていることは何でしょうか。
経営の中で譲れないものとして大切にしているのが、“健全なお金の流れ”です。
過去に自分の無知から大変な経験をしたこともあり、お金の流れはしっかり管理し、利益が出たら職員へ還元することを大切にしています。
――最後に、リフレッシュ方法を教えてください。
休日は海や温泉、旅行、ドライブなど、外へ出かけてリフレッシュすることが多いです。自然の中で過ごす時間は、自分自身を整える大切な時間になっています。