エアー式ピッチングマシンで野球の未来を支える――SGB久保貴史氏が届けたい安全な練習環境

株式会社SGB 代表取締役 久保貴史氏

株式会社SGBは、グローブやバットなどを扱う野球用品店です。加えて、エアー式ピッチングマシン「TOPGUN」の販売代理店として、野球の練習現場に新たな選択肢を届けています。本記事では、代表取締役の久保貴史氏に、事業の強みや顧客との向き合い方、今後の展望について伺いました。

エアー式ピッチングマシンを身近に届ける強み

――御社の業界内での強みを教えてください。

当社は、グローブやバットを販売する野球用品店です。それに加えて、エアー式ピッチングマシン「TOPGUN」の販売代理店をしています。

TOPGUNの販売代理店は複数あるようですが、実際にマシンを自社で保有し、直接貸し出しまでできるのは、当社だけだと聞いています。メーカーは福岡にあるため、デモ機を取り寄せることはできても、気軽に試す機会をつくるのは簡単ではありません。当社の場合は手元にマシンがあるので、空いていればすぐに持っていくことができます。

群馬県内の高校野球部への貸し出しのほか、YouTuberが主催するイベントやテレビ番組の撮影協力でマシンを持ち込んだこともあります。イベントなどにも、こちらの判断で対応できる点は大きな強みだと思います。

――営業では、どのようにマシンを提案されていますか。

学校に直接出向き、野球部の先生とお話しします。初回は無料で2週間ほど貸し出し、実際に使ってもらいます。その後、部員にアンケートを書いてもらい、反応が良ければ先生や、資金面に関わるOB会、後援会などの方にお話しする流れです。

ただ、すぐに「買いましょう」とはなかなかなりません。高校野球は常に予算があるわけではなく、企業の設備投資のように直接利益を生むものでもありません。学校では現金一括払いになることも多く、ローンが組めないというハードルもあります。だからこそ、次にピッチングマシンを買い替えるとき、まず議題に挙げてもらえるように働きかけています。

安全性と練習効率を両立するエアー式の価値

――エアー式ピッチングマシンの利点はどのような点にありますか。

まずは安全性です。従来のアーム式やドラム式、ロータリー式のマシンは、高速で動くアームやローラーが露出しています。触れれば怪我につながる可能性があります。一方、エアー式は高速稼働する部分が露出していないため、不意に触れて怪我をするリスクが低い点が特徴です。

また、長い筒状の構造からボールが出るため、吹き矢のようなイメージでコントロールがぶれにくい。10球中6球がストライクに入るマシンと、9球から10球がストライクになるマシンでは、練習効率が違います。コントロールの良さは、練習の質にも安全性にもつながります。

さらに、ドラム式ではローラーとの摩擦でボールが傷みやすく、ホイール交換にも費用がかかります。スリーローターマシンでは交換費用が約30万円になることもあり、部活動の予算では簡単に出せない金額です。TOPGUNの場合、交換部品は2万円弱で済むため、導入後の維持費を抑えられます。長いスパンで使えば、初期費用だけでは見えないコストパフォーマンスの良さが出てくると考えています。

――価格面では、導入時のハードルもあるのでしょうか。

そうですね。初期投資の部分は大きなハードルです。一般的なピッチングマシンのイメージは100万円から150万円ほどで、グレードの高いものでも200万円を超える程度という認識があると思います。

ただ、硬式野球ではコントロールの悪いマシンが怪我のリスクにつながります。高校3年生が夏の大会直前に怪我をして出られなくなれば、小学生の頃から積み重ねてきた時間が水の泡になってしまうかもしれません。高校野球のその瞬間は、二度と戻ってきません。

今いる部員、これから入ってくる部員たちの青春を守るために、他のマシンとの差額が本当に高いのか。そう考えると、決して高すぎるものではないと思っています。

自身の経験から生まれた練習環境への思い

――久保さんご自身も、野球環境に課題を感じた経験があったのでしょうか。

中学校では野球部、高校では軟式野球部に所属していましたが、どちらもピッチングマシンがない環境でした。中学生以上になると変化球が使えるようになりますが、変化球を打つ練習は、変化球を投げられる人がいなければできません。仮に投げられても、バッティング練習で何百球も投げるのは現実的ではありません。

速いボールを打つ練習も同じです。速いボールを投げられる人がいなければ、満足のいく練習はできませんでした。地域にはバッティングセンターもなく、小学生の頃に「バッティングセンターをつくりたい」と思ったことがあります。

売らない提案も信頼につながる

――お客様とのコミュニケーションで大切にしていることは何ですか。

年明けから春先にかけて、中学校や高校に上がるタイミングでグローブを買いに来るお客様が多いです。ただ、親御さんが野球に詳しくないケースもあります。たとえば、硬式を始めるから硬式用のグローブを見に来たとしても、入学直後はまだポジションが決まっていないことがあります。

内野用を買ったあとに外野手になれば、また外野手用が必要になります。だから、どのポジションになるかわからないお子さんには、「今慌てて買わなくてもいいと思いますよ」と伝えます。お店としてはその場で買っていただける方がありがたいですが、親御さんの負担もあります。買わない方がいいものは、今は買わない方がいいと伝えるようにしています。

野球用品は、以前に比べて価格が上がっています。高額なものを買ったのに、すぐ買い替えなければならないのは大変です。無駄な買い物にならないように提案することが、結果的に信頼につながると思っています。

エアー式をピッチングマシンの新たな常識へ

――今後の展望を教えてください。

理想を言えば、TOPGUNというピッチングマシンを、今よりもっと普及させていきたいです。まずは、ピッチングマシンにはアーム式、ドラム式、エアー式という3つの選択肢があると知っていただきたい。その上で、性能を理解してもらえれば、エアー式が一番いいと感じてもらえる可能性は十分にあると思っています。

テレビなどで取り上げられることもありますが、300キロのボールを元プロ野球選手が打てるのか、といったエンタメの企画で使われることが多いです。そのため、撮影用の高級なおもちゃのように見られてしまうこともあります。でも本来は、ちゃんと野球の練習ができるピッチングマシンです。

300キロのボールを扱う企画が成立するのは、それだけコントロール性能があるからです。万が一の事故が起きないという確証があるから撮影も引き受けられる。その性能を、練習現場でも理解していただきたいです。

将来的には、ピッチングマシンの常識が変わり、「エアー式でしょう」と言われるようになったらうれしいですね。そのために、一台でも多く、野球の練習や指導の現場に届けていきたいと思っています。

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