「声で世界をつなぐ」──老舗には真似できないコストと品質のバランスで、海外コンテンツを日本へ届ける新時代の架け橋
株式会社Japanese Voice Over Service 代表取締役 日下 純氏
インターネットやスマートフォンの普及により、私たちは日々多くの動画や音声コンテンツに触れています。しかし、その多くは外国語で、日本では十分に届いていないのが現状です。そんな海外コンテンツを日本向けにローカライズし、高品質な吹き替えやナレーションを提供しているのが、株式会社Japanese Voice Over Serviceです。
代表の日下純氏は、長年ラジオ業界で培った経験を活かし、日本市場の可能性に着目。現在は100名以上の契約声優・翻訳家とともに、YouTubeやショートドラマ、企業VPなど幅広い分野の日本語化を手がけています。AI時代の中でも、「人だからこそ生み出せる自然な声」に価値を見出し、日本と世界を“声”でつなぐ挑戦を続けています。
目次
世界3位の市場「日本」へ届ける。徹底したコストと品質のバランスが生む3者一両得のビジネスモデル
――現在の事業内容や特徴や強みについて教えてください。
私たちは、海外の動画・音声コンテンツを日本語化するローカライゼーションや、吹き替え・ナレーション制作を行っています。英語をはじめ、さまざまな外国語に対応しています。
強みは、高品質でありながら手軽に利用できる「コストと品質のバランス」です。日本は世界有数の動画市場である一方、言語の壁によって海外の優れたコンテンツが届きにくい環境にあります。私たちは、海外クリエイターや企業が日本市場へスムーズに参入できるよう支援し、世界と日本を“声”でつないでいます。
私たちは、「クライアント」「声優・翻訳家」「消費者」の3者すべてに利益がある仕組みを大切にしています。
クライアントには、日本市場へ手軽に参入できる機会を提供し、声優や翻訳家には継続的な仕事と活躍の場を創出しています。そして消費者には、海外の多彩なコンテンツを自然な日本語で届け、新しい情報やエンターテインメントを楽しんでもらえる環境を提供しています。
「仲間が増えていく夢」を描く経営の面白さ
――経営者になられた経緯を教えてください。
長年ラジオ業界で音声コンテンツ制作に携わり、海外クリエイターとの交流を通じて「コンテンツを日本語化したい」という需要に応える形で事業を開始しました。自分でビジネスを形にしていく面白さを日々実感しています。社会のニーズを捉え、人や仲間と協力しながら価値を生み出すプロセスは冒険のようで、多様な関係性の中で事業が広がっていくことに大きなやりがいがあります。個人事業主の方にも、仲間を増やしながら事業を広げる挑戦を勧めたいと考えています。
個人に寄り添う業務委託のコミュニケーションと、「プライオリティ」を最大化する採用の軸
――円滑に仕事を回すために意識されているコミュニケーションのコツはありますか
業務委託は無機質な発注関係になりがちだからこそ、一斉連絡ではなく「その人に向けた言葉」で伝えることを大切にしています。相手の状況や個性に合わせて依頼し、一対一の対等な関係として誠実に向き合うことで、信頼関係が生まれると考えています。
声優や翻訳家に求めるのは、実力や誠実さに加え、「当社の仕事をどれだけ優先して向き合ってくれるか」です。長期的な良い関係には、報酬だけでなく、本人のキャリアや目指す方向性と仕事の価値が合っていることが重要だと考えています。そのため、スタッフが「この仕事を最優先でやりたい」と思える環境づくりを大切にしています。
AIが到達できない「違和感のない声」の価値
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
現在、私たちの案件で多いのは、アジア圏のショートドラマ、YouTube動画、企業のVPなどですが、今後はもっと社会的意義の大きい「教育系コンテンツ」や「最先端の技術を伝える動画・チャンネル」の日本語ローカライゼーションを強く育てていきたいと考えています。また、今後の未来を語る上で避けて通れないのが「AI」の存在です。音声の吹き替えや翻訳は、一見するとAIに最も早く駆逐されそうなジャンルであり、実際に昨今の自動翻訳やAI音声の進化スピードには凄まじいものがあります。ビジネスを始めた当初は、私も「数年後にはAIに仕事が奪われるかもしれない」という危機感を持っていました。
AI音声は自然に聞こえる一方で、長時間視聴すると不自然な抑揚や感情の薄さに違和感を覚え、視聴者の離脱につながることがあります。
私たちは、細かな翻訳のニュアンスや感情表現など、人間だからこそ生み出せる自然なクオリティに価値があると考えています。だからこそ、AIには再現できない“人の声”の魅力を磨き、その必要性をより多くの企業へ伝えていきたいと考えています。
声で世界を繋ぐー
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
私の日々の純粋な楽しみであり、人生のライフワークとなっているのが、個人として行っている「気象予報士」としての活動です。
「世界の暮らしと気候」をテーマにした研究や情報発信をライフワークとして続けています。そして、数ヶ月に一度、世界の珍しい気候の土地へ赴く「現地極地取材」を行っているのですが、その旅行の計画を立て、調べている時間が、私にとって何より最高の脳のリフレッシュになっています。
実は、まさに今年の夏、アメリカのカリフォルニア州にある「デスバレー」への取材計画を立てており、既に航空券の手配も完了しています。デスバレーは過去に56.7℃という、世界最高気温として公式に認められた記録を持つ、文字通り世界一暑い場所です。
――最後に今後の経営において「絶対にぶらしたくない思い」があれば教えてください。
私が今後の経営、そして未来の事業展開において絶対にぶらしたくない核となる心情は、「声で世界を繋ぐ」ということ、そして「日本語を操る表現者(声優・翻訳家・制作者)にとって、確固たる『利益の創出の場』であり続ける」ということです。