当たり前を積み重ね、エンジニアが正当に評価される業界へ――テクニケーションシードが描く成長戦略
株式会社テクニケーションシード 代表取締役 西田 拳氏
2019年の設立以来、急成長を続ける株式会社テクニケーションシード。SES事業を軸に事業を拡大し、現在は700名を超える組織へと成長しています。その背景には、エンジニアを大切にする仕組みづくりと、「当たり前のレベルを上げる」という明確な価値観がありました。本記事では、代表の西田氏に、事業の特徴や経営の原点、今後の展望について伺いました。
当たり前を高める成長戦略
――現在の事業内容や、他社にはない強みについて教えてください。
当社はSES事業を中心に、システム開発や技術支援を行っています。
良いサービスを提供するためには、優秀なエンジニアが欠かせません。そのため当社では、エンジニアを定量的に評価する仕組みを整え、一人ひとりの成長や成果が正当な評価につながる環境づくりに力を入れています。
現在は700名を超える社員が在籍しており、大規模な案件にも対応できる体制を構築しています。一般的には他社の技術者を集めてチームを組成するケースもありますが、当社ではできる限り自社社員でチームを編成しています。
そのため、品質を維持しながら若手人材の育成も行うことができ、お客様への支援と人材育成を両立できることが大きな強みです。
――会社として大切にしているビジョンについて教えてください。
当社のビジョンは「当たり前のレベルを上げる」です。
例えば、一流のレストランではホスピタリティの基準が高く、それがサービスの質の違いにつながっています。同じようにシステム開発においても、使いやすいシステムを提供することはもちろん、導入後の運用まで含めてサービスだと捉えています。
そのため、「信用」「全体最適」「自責」「ポジティブ」「長期的利益」といった価値観を大切にし、当たり前のことを徹底しています。
――急成長の背景にある事業戦略について教えてください。
できるだけ商流を浅くすることを重視しています。
SES業界では、多重請負構造によって経験の浅いエンジニアが良い案件に参画しにくいケースがあります。当社では、自社のリーダー層がお客様から信頼を獲得し、そのプロジェクトに若手社員も加わることで、案件拡大と人材育成を両立しています。
また、この考え方はM&A戦略にも共通しています。子会社化すると再委託の関係が生まれるため、当社では合併という形を選択しています。一つの組織として運営することで、商流を浅く保ちながら、お客様への支援と人材育成の両立につなげています。
業界の課題を変える挑戦
――経営者になられたきっかけを教えてください。
大学卒業後は就職活動をせず、リユース業で起業しました。4年間事業を続けた後、個人の力だけでは限界があると感じ、一度会社員として経験を積もうと考えてSES企業へ入社しました。
実際に業界に入ってみると、多重請負構造やエンジニアへの還元率の低さなど、さまざまな課題が見えてきました。また、社員から「どうすれば給与が上がるのか」と聞かれても、明確な基準を示せないことにも違和感を覚えていました。
頑張りがどのように評価につながるのかが見えにくい環境では、働く人も将来を描きづらい。だったら、自分自身が働きたいと思える会社をつくろうと思ったんです。
もともとの経営経験に加え、会社員として営業や組織運営も経験したことで、業界の課題を解決できるイメージが持てるようになりました。
その想いを形にしたのがテクニケーションです。
――経営者として大切にしている考え方はありますか。
他の人と同じことをしないことです。
大手企業と真正面から同じ土俵で戦っても勝つのは簡単ではありません。そのため、他社がまだ取り組んでいないことや、周囲から見ると「本当に意味があるのだろうか」と思われるようなことにも積極的に挑戦してきました。
周囲の意見をそのまま受け入れるのではなく、自分なりに価値があると判断したことには挑戦してみる。その積み重ねが他社との差別化につながり、結果として会社の成長にも結び付いています。
任せる経営と人材育成
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
組織が大きくなっても、風通しの良さは大切にしています。
私自身が細かく指示を出すのではなく、各部門の責任者やリーダーに任せるようにしています。実際に、私がいなくても組織は回る状態になっています。
一人ひとりが主体性を持ち、自律的に成長できる組織をさらに広げていきたいと思っています。
――どのような人材と一緒に働きたいと考えていますか。
若い世代であれば、今の状況をもっと良くしたいという前向きな気持ちを持っている方です。
一方で、経験を積んだ方には、自分が培ってきた知識や経験を次の世代に伝えていきたいという、いわゆるギブの精神を持っていてほしいと思います。キャリアとして一定の経験を積んだからこそ、今度は育成という形で組織に貢献してもらえると大きな力になります。
前向きに変化を求める方、そして周囲のために力を使える方。そういう方とはぜひ一緒に働きたいです。
所得向上の好循環を広げる
――今後の展望について教えてください。
創業当初は、自分や身近な仲間がより良い環境で働けることを目指していました。しかし、組織は700名を超え、さらに合併も進んでいます。
一貫して大切にしているのは、働く人の所得を上げることです。そのためには売上を伸ばし、無駄なコストを削減し、その分をしっかり人件費へ還元していく必要があります。
働く人の所得が上がれば、人生の選択肢も広がります。実際に、社員から家を購入した、結婚した、子どもが生まれたといった話を聞く機会も増えてきました。
待遇が向上すれば優秀な人材が集まり、その人材がより高い価値を提供することで売上も伸びていきます。
そして、その成果を再び働く人へ還元する。この好循環をさらに大きくしていきたいです。
――新たな挑戦について教えてください。
これまではソフトウェア開発やインフラの設計・運用を中心に事業を展開してきましたが、今後はハードウェア機器の調達から導入支援、その後の構築サポートまでを一貫して提供できる体制を構築していきます。
まったく新しい分野に進出するのではなく、既存事業とのシナジーを生み出しながら事業を広げていく方針です。
事業領域を広げることで、より高い付加価値を提供できるようになります。その結果として、エンジニアが活躍できる機会も増やしていきたいですね。
好きなものに投資する
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
洋服が好きで、気に入ったブランドの商品を購入することが多いです。ただ、自分では単なる浪費だとは思っていません。好きなブランドにお金を使うことで、そのブランドが成長し、長く続いていくことにもつながるからです。
将来のことばかりを心配するより、今は価値があると思うものにお金を使い、経済を回していきたいですね。
仕事でもプライベートでも、自分が価値を感じたものには積極的に投資する。その姿勢はこれからも変わらないですね。