社会的意義と納得を追求する――オイシルが目指す「生鮮業界の頼れるパートナー」という未来

株式会社オイシル 代表取締役 葛川 英雄氏

株式会社オイシルは、スーパー・生鮮業界に特化した人材紹介事業を展開する企業です。業界経験を持つ強みを活かし、求職者と企業双方に寄り添った採用支援を行いながら、生鮮業界が抱える人材課題の解決に取り組んでいます。本記事では、代表の葛川英雄氏に、起業に至った経緯や経営に対する考え方、今後の展望などについて詳しく伺いました。

美味しいを身近に――生鮮業界の課題解決に向き合う

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社では、スーパー・生鮮業界に特化した人材紹介事業を行っています。私自身が市場や水産商社で働いていた経験があるため、業界特有の慣習や現場の悩みを理解したうえで採用支援ができることが強みです。求職者の不安や企業側の課題も高い解像度で把握できるため、双方にとって納得感のあるマッチングを実現できると考えています。

また、マーケティング力や営業力、社内オペレーションの整備にも力を入れており、人材の集客力や多数の求人を保有している点も特徴です。単なる人材紹介ではなく、生鮮業界を理解するパートナーとして伴走していきたいと思っています。

――理念やビジョンに込めた想いについてもお聞かせください。

当社のミッションは、「美味しいを身近に」です。私たちは「働く人が納得して働き、商品を手にする方が満足し、企業が適正な利益を生み出せている」状態をミッションが実現できている状態と定義しており、いずれか一方だけでなく、関わるすべての人に価値を提供し続けることが重要だと考えています。

また、ビジョンは「生鮮業界の頼れるパートナーになる」です。単なる人材紹介会社ではなく、業界の課題解決に寄り添い、信頼される存在でありたいという想いを込めています。

そして信頼されるためには、「期待を超える」「凡事徹底」「挑戦しよう」「誠実であろう」の四つをバリューとして掲げています。これらを日々の行動指針として実践し続けることで、ビジョンの実現とミッションの達成につなげていきたいと考えています。

意思決定できる立場だからこそ、実現できることがある

――起業に至るまでの経緯を教えてください。

私はたまたま高校で進学校に通いましたが、大学には進学せず、高校卒業後すぐに社会へ出る道を選びました。学生時代から、自分は勉強もスポーツもいまいち。ですが、アルバイトなどの実務では力を発揮できるタイプだと感じており、社会経験を早く積むことが自分の成長につながると考えたからです。

その後、市場や水産商社、ベンチャー企業で経験を重ね、成果を上げる一方で、組織の方針や意思決定に違和感を抱く場面もありました。「組織に違和感がある一方で、組織に所属して甘えてる自分」から脱却しなくてはいけないと思ったことと、「組織に文句があるならまずは自分がそれを作ってみよう」という結論に至り、独立を決意しました。また、それが一番顧客のために貢献できると思いました。

――経営をするうえで大切にしている考え方はありますか。 

私は、「利益を生み出すこと」と「社会的意義のある仕事であること」の双方を大切にしています。企業として利益を生み出すことはもちろん重要ですが、それだけではなく、「この仕事には価値がある」と思えることも大切だと考えています。

会社員時代には、自分が必要だと考える取り組みが組織として採用されない経験もありました。そのなかで、本当に実現したいことがあるのであれば、自ら責任を持って意思決定できる立場になる必要があると感じました。

課題を感じたときに不満を口にするだけではなく、自ら行動してよりよい形をつくっていく――その姿勢を、経営においても大切にしています。

「言行一致」と「素直さ」を大切に

――経営判断の軸になっている価値観を教えてください。

「言行一致」です。言っていることと、やっていることが違ってしまうと、周囲は何を信じればよいのか分からなくなるでしょう。これは、経営者に限らず、営業でも同じです。目標を掲げるのであれば、それに見合う行動をするべきだと思っています。

もちろん理想通りにできないこともありますが、その際は、自分の発言を見直すか、行動を変えるかを再考し、改めて一致させるようにしています。

――状況把握や意思決定を行う際に意識していることはありますか。

意識しているのは、「事実」と「推論」を切り分けて捉えることです。例えば、「お客様からお叱りを受けた」というのは事実ですが、「自分の発言が原因だった」「契約がなくなるかもしれない」といった内容は推論にあたります。

ビジネスでは、推測や思い込みを前提に判断してしまうと、対応の方向性を誤る可能性があります。そのため、まずは客観的な事実を整理し、そのうえで相手がなぜその結論に至ったのかを確認するようにしています。

――採用や育成で重視していることは何ですか。

一番重視しているのは「素直さ」です。

ただ、言われたことをそのまま受け入れることが素直さだとは考えていません。立場や利害関係に関係なく、相手の意見を一度受け止め、「まずは試してみよう」と考えられる姿勢が大切だと思っています。

固定観念にとらわれず、新しい考え方を柔軟に取り入れられる人は成長も早く、組織にも良い影響をもたらします。だからこそ、そうした素直さを持つ方と一緒に働きたいと考えています。

生鮮業界に必要なものをワンストップで

――今後の展望についてお聞かせください。

現在は人材紹介事業が中心ですが、今後は求人広告や人材派遣、さらには物販などにも挑戦していきたいと考えています。

スーパーは、一つの場所で必要なものを揃えられる便利な存在です。私たちも、生鮮業界にとっての「スーパーマーケット」のような存在になりたいと思っています。

人材だけではなく、業界に必要なものをワンストップで提供できる会社として、生鮮業界を幅広く支えていきたいですね。

――現在向き合っている課題はありますか。

現在の課題の一つは、経営層や中間管理職を担う人材の育成・確保です。

経営人材は短期間で育成できるものではなく、実践を通じて経験を積み重ねていく必要があると考えています。だからこそ、まずは私自身が成長し続け、組織を牽引できる存在であることが重要です。

そのうえで、「この会社で挑戦したい」「ここで成長したい」と思ってもらえる環境を整え、「この会社で挑戦したい」と思ってもらえる組織づくりを進めていきたいと考えています。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私が目指しているのは、「この会社に入ってよかった」と思ってもらえる組織であり続けることです。それは、今働いている人だけでなく、退職した人も含めてそう思ってもらえる会社でありたいということです。

理想の職場は存在しないかもしれませんが、成長を求める集団ならば「あの会社はきつかったけど、成長できたからよかった」と後から思えるはずです。

仕事は決して楽しいことばかりではありません。だからこそ、社会的意義を感じられることや、前進している感を覚えながら取り組めることが大切だと思っています。そうした積み重ねを通じて、これからも多くの方に選ばれる会社を目指していきたいと思います。

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