エンタメの力で人を育てる――実績と教育を融合した次世代人材育成への挑戦
株式会社R2 CREATIVE CEO/アーティスト/クリエイター 野村 涼子氏
株式会社R2 CREATIVEは、イベント企画・制作をはじめ、タレント・アーティストマネジメント、ライバーマネジメント、ダンスの振付・指導など幅広い事業を展開しています。近年は育成型のキッズダンススタジオ事業にも注力し、ダンス技術だけでなく人間力や非認知能力を育む教育にも取り組んでいます。その根底には、長年エンターテインメント業界の第一線で活躍してきた野村氏の経験と想いがありました。本記事では、事業の特徴や経営観、組織づくり、そして今後の展望について伺いました。
目次
エンターテインメントの現場経験を活かした独自の事業展開
――現在の事業内容を教えてください。
当社では芸能プロダクション事業を中心に、アーティストやタレントの振付、コンサート制作、学校でのダンス指導などを行っています。近年は育成型のキッズダンススタジオ事業もスタートしました。
エンターテインメント業界で培ってきた経験を活かしながら、子どもからプロのアーティストまで幅広く関わっていることが特徴です。芸能と教育の両面から人材育成に取り組んでいます。
――事業の特徴や他社にはない強みはどのような点にありますか?
一番の強みは、私自身が長年にわたってエンターテインメントの最前線で培ってきた経験です。1990年代初頭から芸能界で活動し、これまで約300組のアーティストやタレントの振付に携わってきました。学校や地域活動での指導も含めると、延べ何万人もの方々を教えてきたことになります。
中でも印象深いのが、安室奈美恵さんのツアー振付です。最初のツアーから引退直前まで、期間を空けながらも長く関わらせていただきました。そのほかにも、アイドルやアーティスト、お笑い芸人、俳優、オリンピック選手、子どもたちまで、幅広いジャンルの人材を指導してきています。
単にダンスを教えるだけでなく、トップレベルで活躍する人たちの考え方や姿勢に伴走してきた経験があることは、他にはない強みだと思います。近年は芸能に特化したダンススタジオも増えていますが、こうした現場での実践を教育へ落とし込み、人材育成につなげている点に当社ならではの価値があると考えています。
――会社として掲げる理念やビジョンについて教えてください。
私たちが目指しているのは、社会で活躍できる子どもたちを育てることです。
ダンスの技術だけではなく、日本人らしい礼節や誠実さを身につけ、世界に羽ばたける人材を育成したいという想いがあります。将来、日本を支える存在となる子どもたちを育てることが、私たちの使命だと考えています。
実績を教育へ――経営者として歩み始めた理由
――会社を立ち上げた経緯を教えてください。
母が経営者、父が教育者という家庭で育ったため、幼い頃から経営や教育は身近な存在でした。
その後、安室奈美恵さんとの出会いをきっかけにエンターテインメント業界で活動するようになり、avexの立ち上げ期とも重なったことで、多くの仕事を任せていただく機会に恵まれました。当時は個人事業主として活動していましたが、ダンス業界には教育面で十分に行き届いていない部分もあると感じていたんです。
また、周囲からリーダーシップを評価していただき、「会社を作ってみてはどうか」と後押しされたことも大きな転機でした。そこから独学で経営を学び、約7年の準備期間を経て2007年に法人化しました。自分の力で道を切り開きたいという想いが、会社設立の原動力になっています。
――経営判断を行う上で大切にしている考え方はありますか?
私は即断即決を大切にしています。
そのために日頃から精神面や健康面を整え、自分自身の感覚を研ぎ澄ませることを意識しています。華やかな業界にいても浮き足立たず、自分の判断力を高めることを心掛けてきました。
長く迷うのではなく、自分が導き出した結論を信じて行動する。それが経営判断の軸になっています。
心地よいコミュニケーションが生み出す組織づくり
――社内や生徒とのコミュニケーションで意識していることを教えてください。
心地良いコミュニケーションを大切にしています。
明るく前向きな雰囲気をつくりながら、対応はできるだけ迅速に行うことを意識しています。迷わず進められることはすぐに進め、相手を待たせない。その積み重ねが信頼につながると思っています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか?
仕事を楽しみながら取り組める人と一緒に働きたいですね。
お金や時間は大切ですが、それだけを目的にするのではなく、自分が本当にやりたいことに情熱を持てる人に魅力を感じます。エンターテインメントは人を喜ばせる仕事なので、相手の気持ちを考え、気遣いができることも欠かせません。
自己中心的ではなく、周囲を楽しませることに喜びを感じられる人と仕事がしたいと思っています。
――経営の中で譲れない価値観について教えてください。
大切にしているのは、「変化すること」と「土台を守ること」の両立です。
時代や環境に合わせて柔軟に変わっていく必要がありますが、一方で長く受け継がれてきた基礎や本質を大切にする姿勢も欠かせません。ダンスや音楽も、確かな基盤があるからこそ自由な表現が生まれるものだと思っています。
また、子どもたちには技術だけでなく人間性も身につけてほしいと考えています。人を羨んだり傷つけたりするのではなく、相手を思いやりながら誠実に行動すること。その姿勢は経営においても変わらず、これからも大切にしていきたい価値観です。
非認知能力を育む教育で全国展開を目指す
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
現在取り組んでいるキッズダンススタジオ事業をさらに拡大していきたいと考えています。
私たちのスタジオでは、ダンスだけでなく挨拶や笑顔、自分で考える力といった非認知能力の育成にも力を入れています。実際に通っている子どもたちには大きな変化が見られ、その取り組みを評価していただく機会も増えてきました。
今後は2店舗目、3店舗目と展開しながら、人間性と表現力を兼ね備えた子どもたちを全国で育てていきたいと思っています。
――現在感じている課題は何ですか?
課題は組織体制の強化です。
現場には経験豊富なインストラクターがいますが、私と同じ方向を向いて事業を支えてくれる人材が必要だと感じています。価値観を共有しながら、経営や事業運営をサポートしてくれる存在を増やしていくことが今後の大きなテーマです。
自然と芸術に触れ、自らの感性を磨き続ける
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
自然のある場所へ出掛けたり、歴史的な建造物や神社を訪れたりすることが多いです。温浴施設でゆっくり過ごすこともあります。
また、海外のミュージカルや絵画鑑賞、書道や絵を描くことも好きです。表現者として活動してきたからこそ、芸術に触れる時間は自分自身を磨く機会になっています。
さらに、経営者の考え方を学ぶために動画などで勉強することも欠かしません。さまざまなものから刺激を受けながら、自分の創造力や指導力を高めています。