飲食店づくりを総合的に支える――現場経験を武器に歩むコンサルタントの信念
ティファーズコンサルティング合同会社 代表役員 竹谷 稔宏氏
ティファーズコンサルティング合同会社は、飲食店の業態企画、店舗設計、厨房設計、教育支援までを総合的に手がけるコンサルティング会社です。代表の竹谷稔宏氏は、飲食店の現場、店長、スーパーバイザー、営業、店舗づくりまで幅広く経験してきました。本記事では、竹谷氏に事業の強み、経営者としての信念、人材育成への考え方、今後の展望について伺いました。
現場を知るからこそできる総合支援
――現在の事業内容について教えてください。
弊社は、飲食店の業態企画から店舗設計、厨房設計まで、総合的に支援するコンサルタント会社です。これまで大手企業を中心に、多くの飲食店づくりに関わってきました。東京ディズニーリゾート内の商業施設「イクスピアリ」に関わる店舗や、大戸屋さん、モスフードさん、ロッテリアさんなど、さまざまな業態のお手伝いをしてきました。
――他社にはない強みはどのような点でしょうか。
一番の強みは、私自身が現場出身であることです。店長、スーパーバイザー、営業を経験し、さらに店舗づくりや施設関係の知識もあります。現場と設計の両方が分かるコンサルタントは、なかなか多くありません。
また、これまで専門書も15冊以上出してきました。その本を読んだ経営者の方が、私の考え方に賛同してくださり、仕事につながることも多くありました。現場経験と知識の両方を持っていることが、弊社の差別化になっています。
経験を重ねてたどり着いた経営の道
――経営者になられたきっかけを教えてください。
25歳くらいの頃から、飲食ビジネスを支える仕事に興味を持っていました。当時から飲食の現場に入り、店長も経験していましたし、先輩方の講演を聞く中で「こういう仕事ができたらいいな」と思うようになりました。
その後、友人と会社をつくって失敗した経験もあります。モスフードを退社した後、コンサルタント会社で2年ほど経験を積み、35歳の頃に独立しました。最初の本を出版するタイミングが、独立の節目になりました。
――経営の軸になっている価値観は何でしょうか。
私は思い立つと走っていくタイプで、成功も失敗も経験してきました。以前の会社では社員を多く抱え、上海に会社をつくったこともあります。ただ、その挑戦は時期が早すぎたこともあり、結果として失敗しました。
しかし、失敗も経験です。「こうやれば失敗する」ということが分かれば、それを次のコンサルテーションに生かせます。自分の経験をもとに、経営者の判断に役立つアドバイスをしていくことが大切だと考えています。
教育とコミュニケーションが人を育てる
――現在、組織運営や教育で大事にしていることは何でしょうか。
今はプロジェクトごとに動く形が中心で、特に飲食事業部の教育支援に力を入れています。店長会議、トレーニングスクール、スーパーバイザー育成など、教育の仕組みづくりを行っています。
現場を見て感じるのは、教育制度が整っていないと数字にも影響が出るということです。店長が数値を理解し、スタッフと向き合い、モチベーションを高められるようにすることが必要です。
――人材育成で意識していることを教えてください。
今の若い世代は、給料だけでなく「自分を見てくれているか」「面倒を見てくれているか」を重視していると感じます。ヒューマンコミュニケーションをしっかり取らないと、人はすぐに辞めてしまいます。
弟子に対しても同じです。コンサルタントになりたいという人には、10年我慢して学べるなら独立できるように育てる、と伝えてきました。面倒を見て、フォローし、次の目標を与える。自分で努力しない限り道は開けないということも、はっきり伝えています。
飲食業界を支えるフォロワーとして
――今後取り組んでいきたいことを教えてください。
私は、自分で店舗を立ち上げるのではなく、あくまでフォロワーとして飲食業界を支えていく立場だと思っています。個人店の方から相談を受けることもありますが、勉強不足のまま開業すると失敗する確率が高くなります。FLコストなど、数字を理解していなければ経営は成り立ちません。
飲食店は作ること自体はできます。しかし、投資に対して効果が出るか、継続できる仕組みがあるかが重要です。これからも、やれる限り飲食ビジネスを支える仕事を続けていきたいと考えています。
――今向き合っている課題はありますか。
現在の課題は、教育システムをどう組織に定着させるかです。私一人では仕組みは機能しません。関わるスタッフが理解し、動いてくれなければ形にならないからです。そのために、研修や原稿、仕組みをどう分かりやすく提供するかを常に考えています。自分自身も学び続けながら、人を動かすための言葉や仕組みをつくっていくことが、今の大きな課題です。
譲れないのは、意見をはっきり伝えること
――経営の中で譲れない思いはありますか。
私の意見を尊重していただけないのであれば、私を使っていただかなくて結構です、というのが基本的な考え方です。お金をいただいているからといって、駄目なことを良いとは言いません。大手企業のトップに対しても、思ったことははっきり伝えます。
もちろん、意見が合わずに途中でトラブルになることもあります。ただ、私の経験や判断を信頼していただける会社を支援していきたい。40年以上コンサルタントとして歩んできたからこそ、その姿勢は守り続けています。
――リフレッシュ方法を教えてください。
本来の趣味は海釣りですが、最近は仕事が多く、なかなか行けていません。朝早く起きて原稿を書くことも多いので、集中して仕事をする時間は1日5時間ほどと決めています。
体のためにストレッチをしたり、付き合いでゴルフをしたりすることもあります。経営者の方々との旅行や交流も続けています。仕事に向き合いながら、無理をしすぎず、自分のペースを保つことも大切にしています。