挑戦が合理的になる社会を目指して――PEAK and Flowが描く組織変革の未来

株式会社PEAK and Flow 代表取締役CEO  片山 真由子氏

株式会社PEAK and Flowは、企業における離職やバーンアウト(燃え尽き)を未然に防ぐための「行動因果AI」の開発に取り組むスタートアップ企業です。2025年末に創業し、組織課題の根本解決を目指して研究開発を進めています。今回は、代表取締役CEOの片山真由子氏に、事業の特徴や起業の背景、今後の展望について伺いました。

行動因果AIで組織課題の根本解決を目指す

――現在の事業内容について教えてください。

当社では「PEAKLink(ピークリンク)」というプラットフォームを開発しています。 これは行動因果AIを活用し、離職やバーンアウト、メンタル不調による休職などを早期に予測・予防することを目的としたサービスです。

業務データや心理サーベイに加え、将来的には生体データも活用しながら、従業員の行動と心理状態の関係性を分析していきます。「どのような心理状態のときにどのような行動が起きるのか」「どのような行動が見られるときに心理状態が変化しているのか」といった因果関係を可視化し、組織運営に役立てる仕組みを構築しています。

――他社との違いや強みはどのような点にありますか。

類似サービスは存在しますが、多くは単一のデータを活用した分析にとどまっています。そのため、サーベイによる状態把握はできても、行動との因果関係まで深く分析することは容易ではありません。

当社は「行動」「心理」「生体」という3つのデータを統合的に解析し、さらにリアルタイムで変化を追跡していく点が特徴です。定点観測ではなく継続的な分析を行うことで、より精度の高い予測と予防を実現したいと考えています。

DX支援の経験から見えた組織課題

――起業されたきっかけを教えてください。

前職では中小企業向けのIT・DX導入支援に携わっていました。システム開発やDXコンサルティング、導入支援などを通じて、多くの企業の変革を支援してきました。

その中で感じたのは、どれだけ優れたツールや技術を導入しても、組織そのものに課題があると変革が進まないということです。技術の問題ではなく、組織文化や人の問題が大きな壁になっているケースを数多く見てきました。

現場が変化に追いつけなかったり、新しい取り組みが定着しなかったりする状況を目の当たりにする中で、組織の根本的な課題を解決したいという思いが強くなりました。それが起業の大きなきっかけです。

――現在の組織体制について教えてください。

現在は私と技術責任者の取締役1名の計2名が役員として在籍しています。また、開発メンバーが2名おり、コアチームは4名体制で事業を進めています。

創業からまだ間もない段階ですが、研究開発を中心に事業を進めながら、プロダクトの実用化に向けて取り組んでいます。

SaaS事業に集中し、研究開発を加速

――今後の展望についてお聞かせください。

現在はAI導入支援やコンサルティングも行っていますが、将来的にはSaaS事業を中心に展開していきたいと考えています。コンサルティングは研究開発資金を確保するための役割が大きく、事業の本命はあくまでもプロダクトです。

新たな事業を増やす予定はなく、まずは現在開発しているプロダクトを成長させることに集中したいと考えています。

その一環として、名古屋市立大学との共同研究も進めています。行動と心理の関係性を検証する研究をスタートする予定で、今後は大学との産学連携を通じて研究開発をさらに深めていく方針です。

長期的な研究が必要な分野だからこそ、継続的にデータを蓄積しながら因果関係の解明に取り組みたいと思っています。

――現在直面している課題は何でしょうか。

研究開発型の事業であるため、サービスとして十分な価値を提供し、市場に浸透するまでには一定の時間が必要です。そのため、研究開発を継続しながらキャッシュフローを維持することは大きな課題の一つです。

また、人材面ではビジネスサイドを担う仲間を求めています。現在は営業や資金調達、ネットワーキングなども含めて私自身が担っているため、リソース不足を感じる場面も少なくありません。

スタートアップならではの環境に共感し、一緒に事業を成長させてくれる仲間との出会いを期待しています。

「挑戦が合理的になる社会」をつくりたい

――事業を通じて実現したい社会について教えてください。

私は「挑戦が合理的になる社会」をつくりたいと思っています。

日本は労働意欲やエンゲージメントの面で課題を抱えていると言われています。また、新しいことへの挑戦や失敗に対して慎重な文化もあります。その結果、多くの人が挑戦を避けることが合理的だと考えてしまう状況が生まれています。

しかし、AI時代においては挑戦し、失敗し、学習するサイクルをいかに速く回せるかが重要です。変化の激しい時代だからこそ、挑戦すること自体が合理的だと感じられる社会に変えていかなければならないと考えています。

当社の事業を通じて、人が安心して挑戦できる組織づくりを支援し、その先にある社会全体の変化にも貢献したいと思っています。

――今後の目標を教えてください。

2033年の上場を目標にしています。もちろん上場そのものが目的ではありません。

社会の構造を変えるほどのインパクトを生み出すためには、企業として大きな影響力を持つ必要があります。そのための手段の一つとして上場を目指しています。

まずは現在の事業を着実に成長させ、3年後には現在の5倍規模まで拡大することを目標にしています。そして、組織課題の解決を通じて、より多くの企業や人々の挑戦を後押しできる存在になりたいと考えています。

家族との時間と運動が活力の源

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

小学生の子どもがいるため、休日はできる限り家族と過ごす時間を大切にしています。仕事に追われることもありますが、意識的に家族との時間を確保するようにしています。

また、運動も欠かせません。筋力トレーニングとボクシングは忙しい時期でも継続しており、早起きをしてでも取り組むようにしています。

事業の成長を目指して挑戦を続ける一方で、家族との時間や自身のコンディションづくりも大切にしながら、これからも挑戦を続けていきたいと思います。

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