合理性はAIに、熱量は人間に。適職で人生を変える「個人ファースト型転職エージェント」
Staneer株式会社 代表取締役 渡邉 拓哉氏
Staneer株式会社は、AIエージェント時代の「個人ファースト型転職エージェント」として、候補者一人ひとりの「本当はこうしたい」という思いと才能に合う適材適所を見つけるキャリア支援を行っています。IT業界やコンサル業界に強みを持ち、コーチングの考え方を取り入れながら、本人の適性や本当に目指したい方向性を見つける支援を大切にしています。今回は、代表の渡邉拓哉氏に、事業の特徴や会社に込めた思い、これまでのキャリア、組織づくり、今後の展望について伺いました。
求人ありきではなく、個人ありき
――現在の事業内容や特徴、強みについて教えてください。
当社は、個人ファースト型の転職エージェントとして事業を行っています。他のエージェントとの違いとして、大きく三つの特徴があると考えています。
一つ目は、IT業界やコンサル業界に強いことです。私自身、もともとエンジニアとして働いていた経験があり、その後もIT領域に特化した転職エージェントや、ITコンサル会社での人事を経験してきました。そのため、IT業界の構造や職種理解を踏まえた支援ができる点が強みです。エンジニアだけではなく、セールスやカスタマーサクセスなど、IT業界に関わる幅広い職種を対象にしています。
二つ目は、「個人ファースト」の姿勢です。これは、候補者にただ優しく寄り添うという意味ではありません。本人のやりたいこと、才能、そして市場の現実。この三つが重なる「適材適所」を一緒に見つけ切ることです。転職エージェントは、どうしても大量に面談し、大量に求人を紹介していくような形になりがちです。しかし私は、ただ右から左へ求人を紹介するのではなく、その人自身にきちんと向き合うことが大切だと考えています。個人のやりたいことや才能が合致する場所を見つけることができれば、その人自身が幸せになり、就職先の企業にとっても良い結果につながります。
三つ目は、AIを活用した効率化です。人材紹介の仕事には、候補者の方に向き合う以外の作業も多くあります。当社ではAIエージェントを活用し、人間が本当に向き合うべき部分に時間を使える仕組みづくりを進めています。「合理性はAIに、熱量は人間に」。これが当社の考え方です。候補者の熱量や本音に向き合い、コーチングの技法も活かしながら、その人に合ったゴールを一緒に探すことを大切にしています。
適職が人生を変える
――これまでのキャリアや、起業につながる思いを教えてください。
新卒ではトヨタシステムズに入り、エンジニアとして5年ほど働きました。その後、マイナビで転職エージェントを4年ほど経験し、さらにフューチャーアーキテクトで人事を約1年、ノインというスタートアップで人事責任者を3年弱ほど経験しました。そして現在、独立してStaneerを運営しています。
私自身、エンジニア時代は本当にうまくいきませんでした。努力しても成果が出ず、10点満点中2点くらいの感覚でした。文系出身でエンジニアになったこともあり、技術に対する興味が強かったわけではありません。当時は、自分の力を活かせている実感も少なく、かなり苦しい時期でした。
一方で、マイナビに入って転職エージェントになった時には、成果が大きく変わりました。あまり努力していない段階でも手応えがあり、努力すればさらに上を目指せる環境でした。キャリア新人賞やプレイヤー賞金賞など、さまざまな賞もいただきました。この経験から、適材適所の力は本当に大きいと感じました。向いている仕事に出会えるかどうかで、人のパフォーマンスも人生の見え方も大きく変わると思っています。
また、私の父は一つの会社で40年ほど働き続けました。家族のために仕事を続けた姿は尊敬していますが、同時に、自分に合った仕事を選べていたら、もっと違う可能性もあったのではないかと感じています。そうした父の姿と、自分自身が適職に出会って変わった経験が、今の事業への思いにつながっています。
楽しく働ける組織づくり
――組織づくりや、社員との関係で大切にしていることはありますか。
現在は、私と元マイナビの後輩である社員、アシスタントメンバーとともに事業を進めています。3人目の社員についてもオファーを出しており、8月入社の予定です。2人目も3人目もリファラルで、もともと一緒に楽しく働いていた後輩たちです。また一緒に働きたいと思える人に声をかけ、来てもらっている形です。
採用においては、経験者を採ることだけにこだわっているわけではありません。やる気があり、モチベーションの高い人であれば、AIエージェントを活用したナレッジや仕組みによって、生産性を高められる環境をつくれると考えています。人材紹介の仕事は、数字に追われたり、人の人生に関わる難しさがあったりする仕事です。だからこそ、一定の基準までは仕組みで支え、そのうえで人の懐に入る力や表情を読み取る力など、人間ならではの部分を伸ばしていける環境にしたいです。
――社員に求める姿勢はどのようなものですか。
アシスタントの方々も含めて、当社に関わる人たちが「楽しい」と感じながら仕事をしてくれていることは、とても大事にしています。無理をしているのではなく、モチベーションが高いからこそ自然と取り組める。そうした状態を、社内でも実現していきたいと考えています。
「労働」ではなく、カタカナの“シゴト”を増やす
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
まずは、転職エージェント事業をしっかりやりきりたいです。そのうえで、エージェント向けのコンサル事業にも取り組んでいきたいと考えています。AIエージェントの組み方やナレッジの蓄積、SNS発信の仕組み、面談の方法、立ち上げ支援などを含めて、これから人材紹介を始めたい方や、業務効率化に課題を感じている方に対して支援できる部分があると思っています。
人材紹介の業界は、今後大きな変化が起きると思います。単に求人を右から左へ紹介するだけであれば、AIに相談した方が早いという時代になっていくはずです。だからこそ、人間が向き合うべき部分に集中する必要があります。AIは合理的な答えを出すことは得意ですが、人の本当の熱量や、言葉にしきれていない本音を汲み取ることは難しいと感じています。たとえば、本人が「この会社は微妙です」と言いながらも、実はどこかワクワクしている。そのような感情の揺れや奥にある本音に気づき、伴走するのは人間だからこそできることです。
私自身、合わない仕事で苦しみ、転職によって救われた経験があります。だからこそ、仕事を通じて人生と社会をもっと豊かにするという思いを軸に、候補者、社員、支援先の企業、その先にいる人たちまで、関わる人がカタカナの“シゴト”(誰かの役に立ち、かつ自分の「やりたい」に沿っている仕事)を実現できるようにしていきたいです。人材紹介は、まだもっとおもしろくなると信じています。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
趣味は、飼っている犬と過ごすことです。名前は「いくら」といいます。迎える前日にいくら丼を食べたことが名前の由来です。車の運転も好きなので、いくらと一緒にキャンプに行くこともあります。
もう一つの楽しみは、アイドルの推し活です。ライブにもよく行っています。普段とは違う空間に行けることが、良いリフレッシュになっています。