1/fゆらぎの波動が眠れる細胞を呼び覚ます。伝統の枠を越え、魂を震わせる「義太夫節」を次世代と世界へ繋ぐ飽くなき挑戦

個人事業主 野澤 松也氏

日本の伝統芸能として歴史を紡いできた「浄瑠璃」。50年以上にわたり浄瑠璃の弾き語りとして命を燃やし続けてきた野澤松也氏。単なる芸術の枠を超え、「生の波動」が人間の身体にもたらす驚くべき効果と、次世代やインバウンドへ伝統文化を届けるための、歩みを止めない未来のビジョンを情熱的に語っていただきました。

伝統文化を五感で知るとっかかりを作り、三味線の波動を死ぬまで伝え続ける

――現在の事業内容について教えてください。

現在、家内、そして時には娘も手伝ってくれるという、3人体制で日本の伝統文化である「浄瑠璃」の弾き語り、特に「義太夫節(ぎだゆうぶし)」の演奏と普及を主軸として活動しています。

――浄瑠璃の特徴について教えてください。

浄瑠璃と一口に言っても様々な流派がありますが、義太夫節で使われる三味線は「太棹竿」と呼ばれる非常に大きな部類に入ります。あの津軽三味線と同じ部類ですね。

その中でも特徴的なのが、糸の下に置く「駒」という道具です。水牛の角で作られており、中に鉛が入っているため非常に重いのが特徴です。この重い駒を乗せて弾くことで、出る音の波動や揺らぎが非常に大きくなります。この余韻を引く大きな波動があるからこそ、物語の中の情景描写や、登場人物の複雑な心理描写を表現するのに最も適しているのです。人々の心へダイレクトに伝わる素晴らしい日本の伝統文化であり、世界に誇れる財産です。だからこそ、私は命ある限り、死ぬまでこの活動を続けていこうと決めています。

どれほど素晴らしいものであっても、まず存在を知ってもらえなければ、「聞きに行こう」という一歩に繋がりません。「浄瑠璃の会があります」とご案内しても、「浄瑠璃って何ですか?」というところから始まってしまうのが現状です。

この、知るとっかかりを作るために、今後はメディアの力をもっと活用していきたいと考えています。また、企業の皆様にもこの文化を知っていただき、社員教育や、海外拠点で日本文化を語る際の一助として活用していただけるよう、牛歩の歩みではありますが、少しずつ活動を広げています。

16歳で飛び込んだ文楽・歌舞伎の世界、そして乳母との再会が紡いだ「カンナの物語」

――この業界に携わった経緯を教えてください。

私は1955年に広島で生まれました。幼い頃は近所の松浦さんに支えられて育ち、そのご縁が後の人生にも大きく影響します。

14歳で三味線を始め、16歳の時にテレビで観た文楽に衝撃を受け、国立劇場の養成所へ入所。修行を経て文楽や歌舞伎の世界で活動を続けてきました。

その後、「子どもたちにも伝統芸能を届けたい」との想いから、30作品以上の創作浄瑠璃を制作。中でも、原爆後に咲いたカンナの花を題材にした『広島に咲いた希望の花・カンナ』は、被爆体験を語ってくれた松浦さんとの再会をきっかけに生まれました。

この作品は広島の学校で大きな反響を呼び、平和を伝える活動へと発展。自費で公演を続けながら、子どもたちとカンナの球根を植える取り組みも行い、浄瑠璃が持つ人の心を動かす力を強く実感しました。

インバウンドの心をも掴む古典の普遍性、そしてスポンサー獲得への挑戦

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

これまでの活動は、子供たちへの普及も含めてどうしても赤字になってしまう局面が多かったのが現実です。今後はこの活動をビジネスとしてもしっかりと黒字化し、持続可能なものにしていくために、新たな市場へのアプローチを本格化させたいと考えています。

具体的に今考えているのが、ホテルでの定期演奏です。現在、日本には非常に多くの外国人観光客(インバウンド)が訪れています。お茶を点てる体験などが人気を集めていますが、浄瑠璃や三味線の世界でも、日本の伝統文化を直に体感できる場を作っていきたいです。

「日本語の歌詞が分からない海外の方に、浄瑠璃は伝わるのだろうか」と思われるかもしれません。実は過去にフランスのパリでライブを行った際、実験的な試みをしました。創作浄瑠璃には英語やフランス語の訳詞を配り、一方で「五条橋」という古典の曲は訳を一切付けずに日本語のままで聴いていただいたのです。

演奏後に「どの曲が一番心に残りましたか?」と客席へインタビューしたところ、驚いたことに、満場一致で「何も説明がなかった古典の曲が一番良かった」という答えが返ってきました。

言葉の意味を超えて、曲そのものの完成度の高さや、三味線の音色の凄みが、海外の方の魂にダイレクトに伝わった瞬間でした。この経験から、海外の方に対しても無理に英訳などをする必要はなく、日本語の生のままで十分に通用するという確信を得ました。今後は、こうした日本の素晴らしい文化を共に世界へ発信し、応援してくださるような企業スポンサーを開拓していくことにも挑戦していきたいです。

固い絆で結ばれた家族と共に、豊かな自然の中で過ごす至福のバーベキュー

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

私にとっての最高のリフレッシュであり、一番の趣味は「家族仲良く過ごす時間」です。

たまにまとまったお休みが取れると、家族3人で少し北の方にある「カエルの駅」という場所へ出かけます。豊かな自然に囲まれ、綺麗な川が流れているとても素晴らしいスポットで、そこでみんなで美味しい食材を持ち寄ってバーベキューをするのが何よりの楽しみです。

また、もう一つの趣味として「映画鑑賞」があります。本当は映画館へ頻繁に足を運びたいのですが、なかなかまとまった時間を取って出かけるのが難しいため、自宅のテレビでNetflixを活用して様々な作品を観ています。映画を観ることは単なるエンターテインメントとしてのリフレッシュだけでなく、演出やストーリー構成、心理描写の表現など、実は浄瑠璃の創作活動や舞台での表現力への勉強としても、非常に良い刺激とインスピレーションをもらっています。

――最後に、この記事を読んでいる読者へのメッセージをお願いします。

皆様にどうしてもお伝えしたいのは、とにかく一度「生の演奏を直に、身体で聴いてほしい」ということです。今の時代、携帯電話の画面やCDのスピーカー越しに音を聴くことは簡単にできますが、それでは本当の魅力は伝わりません。

なぜなら、この三味線の音には「1/fゆらぎ」と呼ばれる特別な波動が含まれており、生で聴くことで人間の細胞そのものを震わせ、活性化させる力があるからです。

これは数値で証明できる医療ではありませんが、人間の身体と心に確実に素晴らしい活力を与えてくれるものです。まずは騙されたと思って、ぜひ私の生の演奏を体感しにいらしてください。心よりお待ちしております。

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