「また来たい」と思ってもらえる薬局へ――地域とともにつくる心地よい空間
株式会社水滴石穿 代表取締役 内山 領氏
株式会社水滴石穿は、患者に寄り添う薬局運営を通じて、地域に根差した医療サービスを提供している企業です。待ち時間を短縮する仕組みづくりだけでなく、患者様が心から落ち着ける空間づくりや、社員が主体的に働ける職場づくりにも力を入れています。今回は、代表取締役の内山 領氏に、薬局運営への想いや経営理念、組織づくり、今後の展望について伺いました。
患者様が癒される薬局を目指して
――現在の事業内容について教えてください。
当社では薬局を運営しており、患者様へお薬をお渡しするだけでなく、一人ひとりに寄り添った対応を心がけています。
当社が特に大切にしているのは、患者様に「癒し」を感じていただくことです。病院でお待ちになったあとに来局される方は、体調だけでなく気持ちも疲れているため、「ここへ来るとほっとする」と思っていただける空間づくりにも力を入れています。
――待ち時間を短縮するために取り組んでいることはありますか。
当社では、患者様の負担を少しでも減らしたいという想いから、LINEを活用した処方箋受付を導入しました。事前に処方箋を送っていただくことで、薬をあらかじめ準備できる体制を整えています。
来局後は説明と受け渡しが中心になるため、待ち時間の短縮が可能です。
――空間づくりの工夫についても詳しくお聞かせください。
少しでも待ち時間を心地よく過ごしていただけるよう、季節ごとの飾りつけや落ち着いたBGMを取り入れ、カフェのようにくつろげる空間づくりに力を入れています。
また、患者様が描いた絵や、季節の飾りを持ち寄ってくださることもあります。そうした交流が自然と生まれることも、当社の薬局の大きな特徴です。今後も、地域の皆様と一緒に育てていく場所でありたいと考えています。
社員が楽しく働ける環境をつくる
――組織づくりで大切にしていることは何ですか。
一人ひとりが専門職として誇りを持ち、楽しく働ける環境づくりを大切にしています。
当社は、大企業のように全員が同じ働き方をする組織ではありません。小さな組織だからこそ、挑戦しやすい環境があります。社員が自由に考え、行動できる職場であることが強みでもあります。
また、社員には、仕事を前向きに楽しんでほしいとも思っています。楽しみながら働くことで、「さらによくしたい」という主体的なアイデアが生まれるでしょう。その積み重ねが、患者様へのサービス向上につながると感じています。
――福利厚生や人材育成について教えてください。
社員同士が感謝を伝え合う仕組みとして、社内通貨「GrazieCoin(グラッチェコイン)」を導入しました。また、ボランティア活動や資格取得も支援し、一人ひとりが専門性を高められる環境を整えています。
実習生の受け入れにも力を入れ、将来を担う薬剤師の育成につなげていきます。
――どのような人と一緒に働きたいですか。
患者様に寄り添い、自ら考えて行動できる人と働きたいと思っています。マニュアルどおりに説明するだけではなく、「なぜそうなのか」という理由まで丁寧に伝えられる人が理想です。
患者様が納得し、安心できる説明ができれば、信頼関係が生まれます。その積み重ねによって、「あなたに相談したい」と思っていただける薬剤師の育成していきたいと考えています。
経営者として歩み続ける理由
――薬剤師を目指したきっかけを教えてください。
中学生のころに、健康や栄養に興味を持ったことがきっかけです。高校時代には、「将来の仕事に直結する専門知識を身につけたい」と考えるようになり、薬学部へ進学しました。
一方で、父が経営者だったこともあり、幼い頃から会社を経営する姿を身近で見て育ちました。その影響もあって、いつかは自分も経営に携わりたいとも思っていました。
結果、薬剤師として経験を積みながら営業職や病院勤務も経験し、その後、ご縁があって現在の薬局を引き継ぐことになりました。
――経営する上で大切にしている考え方はありますか。
何よりも大切にしているのは、人を大切にすることです。人材不足で苦労した経験から、これからは「人が集まる会社」をつくることが経営の鍵になると実感しました。そのため、社員が安心して働ける環境づくりに力を入れています。
また、父から教わった「仕事はマラソン」という言葉は、今でも経営の支えです。一歩ずつ積み重ねる姿勢を忘れず、これからも会社づくりに向き合っていきます。
一人ひとりが選ばれる薬剤師を目指して
――今後の展望についてお聞かせください。
現在の運営体制ですが、まずは業務を仕組み化し、私が現場を離れても安定して運営できる体制を築きたいです。その先には、地域に必要とされる薬局スタッフを増やしていくという目標があります。
あわせて、薬剤師という仕事の魅力を発信し、業界全体の活性化にも貢献していきたいです。
――現在、どういった課題がありますか。
現在の課題は、社員一人ひとりがマニュアルを超えた価値を提供できる組織をつくることです。患者様から「あなたに相談したい」「あなたをかかりつけ薬剤師にしたい」と選ばれる人材を、一人でも多く育てていきたいと考えています。
学び続けることが、新しい価値を生み出す
――最後に、休日の過ごし方についてもお聞かせください。
休日は、ゲームや自転車を楽しみながらリフレッシュする時間を大切にしています。自転車は室内トレーニングも取り入れ、継続して身体を動かせるよう意識しています。
また、外出先で店舗づくりのヒントを探すことも私の習慣の一つです。店舗自体のつくりや接客など、日常のなかで得た気づきを薬局運営に活かしています。
「仕事を趣味にしている人にはかなわない」と考えているため、これからも日々の習慣のなかからアイデアを拾いつつ、患者様にとって居心地のよい薬局づくりを続けていきたいと思っています。