スポーツの価値を未来へつなぐ――合同会社レガテアールが描くスポーツコミュニティの可能性
合同会社レガテアール 代表 佐々木 理方氏
スポーツには人を成長させ、人生を豊かにする力があります。一方で、競技生活を終えたアスリートのキャリアや、子どもたちの運動機会の減少など、スポーツを取り巻く課題も少なくありません。合同会社レガテアールは、そうした課題に向き合いながら、スポーツウェア事業やスクール事業、アスリート向けのキャリア支援などを展開しています。今回は代表の佐々木理方氏に、事業への想いや創業の背景、今後の展望について伺いました。
スポーツの課題解決から生まれた事業
――現在の事業内容について教えてください。
当社はスポーツを軸に、さまざまな事業を展開しています。ひとつの事業を中心に据えるというよりも、スポーツ業界が抱える課題を解決するために必要な事業を立ち上げてきた結果、現在の形になりました。
大きな柱のひとつがスポーツウェア事業です。もともとスポーツメーカーで働いていた際、多くのチームと関わる中で、自由にデザインできるユニフォームが減っている現状を目の当たりにしました。海外では大量生産による効率化が進む一方、日本では地域クラブや部活動など、小規模なチームが数多く存在しています。そのため、少ない枚数でもオリジナルデザインのユニフォームを作りたいというニーズがありました。そこで自ら工場と契約し、チームごとの個性を表現できるユニフォームづくりを行っています。
また、スクール事業も展開しています。サッカースクールに学童的な要素も取り入れながら、子どもたちの育成に力を入れています。
さらに、アスリート向けの就職サポート事業も行っています。現役時代からのつながりを通じて、多くの選手からキャリア相談を受けてきました。競技だけでは生活が難しい選手も増えており、引退後のキャリア形成は大きな課題です。アスリートと仕事を結び付ける支援を行いながら、競技人生の先まで見据えたサポートを提供しています。
スポーツに関わる人をもっと幸せにしたい
――創業されたきっかけを教えてください。
私は学生時代からサッカーに取り組み、プロチームから声をかけていただいた経験もありました。しかし怪我もあり、若いうちに競技の道から離れる決断をしました。その後はスポーツメーカーで働きながら、スポーツに関わる人たちを支えたいという想いを持ち続けていました。
メーカー時代は商品を通じて多くの方に喜んでいただけましたが、商品だけでは解決できない悩みも数多くありました。アスリートのキャリアや将来への不安、人材育成の課題など、スポーツに関わる人たちが抱える問題は非常に多岐にわたります。
一企業の中では支援できる範囲に限界があります。もっと多くの人を助けたいと考えた時、自分で事業を立ち上げるしかないという結論に至りました。
――経営をする上で大切にしている考え方を教えてください。
一番大切にしているのはユーザーファーストです。
会社が大きくなったり売上が伸びたりすると、どうしても数字が優先される場面が出てきます。しかし私は、スポーツに関わる人たちが豊かになってほしいという想いで会社を立ち上げました。
そのため、どれだけ規模が大きくなっても、目の前の利用者やアスリート、子どもたちにとって本当に価値のあるサービスを提供し続けたいと考えています。
子どもたちの未来を支えるスクール事業
――今後特に力を入れていきたい事業は何でしょうか。
最も力を入れていきたいのはスクール事業です。
近年はデジタルコンテンツの普及などもあり、子どもたちの身体機能や運動機会が減少していると感じています。若いうちは大きな問題にならなくても、将来的な健康寿命を考えると運動習慣は非常に重要です。
また、運動神経の発達には重要な時期があると考えています。その時期に適切な刺激や経験を与えることが、将来にも大きな影響を与えると思っています。
だからこそ、可能性を秘めた子どもたちに対して、スポーツを通じて大切なものを届けたいと考えています。単に競技力を高めるだけでなく、人として成長できる環境づくりを目指しています。
スポーツコミュニティの創出で業界を変える
――今後の新たな挑戦について教えてください。
スクール事業と並んで力を入れているのが、フットサル場の再生事業です。
現在、多くのフットサル場が経営難に直面しています。しかし私は、フットサル場は単に競技をする場所ではなく、スポーツコミュニティを生み出す拠点になれると考えています。
実際に運営権を引き継いだ施設では、コミュニティ化を進めることで利用価値を高めています。そこには子どもの育成に悩む保護者や、プロを目指す選手、転職を考えるアスリートなど、さまざまな人が集まります。
そのつながりからスクール事業やキャリア支援など、さまざまな相乗効果が生まれています。サッカーだけでなく、野球やバスケットボールなど他競技の利用も増えており、スポーツ全体のコミュニティとして機能し始めています。
――現在向き合っている課題はありますか。
課題はマッチングです。
フットサル場の再生においても、施設運営に困っている方と出会うことは簡単ではありません。また、アスリートのキャリア支援でも、受け皿となる企業は存在しているのに、うまくつながらないケースがあります。
だからこそ、まず相手の話を丁寧に聞き、本当に必要としていることを理解することを大切にしています。表面的なマッチングではなく、お互いに価値を生み出せる関係づくりが重要だと考えています。
スポーツで人生を豊かにできる社会へ
――事業を通じて実現したい社会について教えてください。
私はスポーツに救われてきましたし、スポーツには人生を豊かにする力があると信じています。
しかし現状では、競技を続けることによって苦しんでしまう人や、引退後に将来への不安を抱える人もいます。本来スポーツはもっと自由で、もっと楽しめるものであるはずです。
子どもから大人まで、そして現役選手から引退後のアスリートまで、スポーツに関わるすべての人が豊かになれる環境を作りたい。そのために、スポーツコミュニティの創出や人材育成、キャリア支援を通じて、スポーツの価値を次の世代へつないでいきたいと考えています。