「ヒトとITの力」で働く個人に向き合うアクシスが描く、キャリア支援の新しい軸
アクシス株式会社 代表取締役 末永 雄大氏
アクシス株式会社(Axxis inc.)は、「ヒトとITの力で働くすべての人を幸せにする」というミッションのもと、転職やキャリア、働き方に関する課題に向き合う企業です。人材紹介、キャリアコーチング、転職メディア、管理職育成・組織開発支援など、複数の事業を通じて、働く個人に対する価値提供を行っています。
今回の取材では、代表の末永氏に、事業の特徴や創業の背景、今後の展望について伺いました。
働く個人に複数の処方箋を届ける事業展開
――現在の事業内容について教えてください。
当社は「ヒトとITの力で働くすべての人を幸せにする」というミッションを掲げ、働く個人が抱える悩みに、複数の事業で応えています。単一の事業だけを展開するのではなく、転職やキャリア、働くことに関する悩みに対して、複数の処方箋を出すような発想で事業を組み立てているのが特徴です。
現在の主な事業は4つあります。1つ目が転職エージェント事業です。転職そのものをゴールにするのではなく、一人ひとりのありたい姿から逆算し、キャリア戦略の手段として最適な選択を一緒に考えるのが特徴です。
2つ目が「マジキャリ」というキャリアコーチングサービスです。求人紹介を前提にせず、個人から料金をいただく形で、転職支援や求人のセカンドオピニオン、内定獲得支援から入社後の定着・活躍までをサポートしています。
3つ目が「すべらない転職」という転職メディア事業です。転職に特化したオウンドメディアとして、約3,500記事に及ぶ転職ノウハウを提供しています。
そして、4つ目が「マネディク」です。成長企業やベンチャー企業に特化し、管理職育成や組織開発、人事研修を提供しています。
――御社の強みはどのような点にありますか。
大きく3つあります。
1つ目は、働く個人にコミットするミッションやカルチャーを持った組織をつくっていることです。人材業界は企業向けのソリューションが多い業界ですが、当社は創業以来、個人に向いて事業を行ってきました。その理念に共感した人を採用し、育成してきたことが強みです。
2つ目は、インハウスでのWebマーケティングです。働く個人に価値提供をするといっても、集客ができなければ意味がありません。当社はコンテンツ制作やWebマーケティングを外部委託せず、自社で運営してきました。
3つ目は、複数事業によるシナジーです。例えば「すべらない転職」には月間70万以上のアクセスがあり、その流入を自社のマジキャリやエージェント事業にも活用しています。複数事業を重ね合わせることで、集客コストを下げ、顧客生涯価値(LTV)を高める構造を作っています。
創業の原点は「働く個人の軸」に向き合うこと
――経営の道に進まれた背景を教えてください。
もともとリクルートで3年間、人材紹介の新規開拓営業をしていました。リーマンショックの時期でしたが、全業界・全職種の企業の中途採用支援に関わることができ、転職事情全般に詳しくなったと思います。その後、Webマーケティングを学ぶためにサイバーエージェントに転職しました。
Webマーケティングを学んだ後、リクルート時代の同期と起業しましたが、方向性の違いにより退任しました。突然、個人事業主のような状態になり、明確に何をやりたいのかも定まっていませんでした。
そのようなときに、知人の起業家が事業のビジョンを熱量高く語る姿を見て、「儲かるからやるのではなく、一生をかけるテーマを持たなければいけない」と強く感じたのです。
――そのテーマが現在のミッションにつながったのでしょうか。
はい。リクルート時代に人材紹介の現場に関わるなかで、当たり前のことを当たり前にやるだけで、求職者の方にとても喜んでいただける経験がありました。同時に、この業界は構造的に企業側を向きやすく、個人に対して十分な価値提供ができていないのではないかという課題も感じたのです。
また、労働人口の変化を見たときに、これからは企業と個人の交渉力が変わり、個人がより力を持つ時代になると考えました。そうした時代には、人材企業も個人から支持される存在にならなければ発展はありません。
そこで「ヒトとITの力で働くすべての人を幸せにする」というミッションが、自分のなかで言語化されました。社名のアクシスには「軸」という意味があります。誰もが自分なりのキャリアの軸を持ち、その実現に向かって歩めるよう伴走したいのが正直な思いです。
エージェント事業を基幹に据え、次の成長につなげる
――今後の展望について教えてください。
これまでは4つの事業をそれぞれ伸ばす方針で進めてきました。20代の若手を事業責任者に抜擢し、PL責任と権限を委譲してきたことには成果があったと実感しています。
一方で、難易度の高いテーマに対して、山の登り方も難しくしすぎていたという課題も浮き彫りになりました。
特に、若いメンバーの成長には時間がかかります。そのなかで4事業を等しく伸ばそうとすると、経営リソースが分散してしまうものです。そこで、現在は1つの太い基幹事業をつくる方針を決定しています。
具体的には、転職エージェント事業への注力です。まず太い幹をつくり、そこから人材や利益、組織を生み出し、ほかの事業や新規事業へ展開していく構造を目指しています。
顧客価値を追求し、社会に「自分なりの軸」を増やす
――経営で譲れない思いは何でしょうか。
顧客価値です。価値のないものを広げることは、むしろ害だと考えています。あくまで顧客にとって付加価値のあるものを追求し、それがあるからこそ広げるべきです。実際には、価値がなくても広がっているビジネスは少なくありません。ただ、当社がこだわりたいのは、価値があるものをきちんと広げることです。
営業についても、物を売ることではなく、お客様の問題解決だと考えています。お客様のありたい姿と現状のギャップを少しでも埋めることが問題解決です。お客様の目標達成に、お客様以上にコミットすることで信頼関係が生まれ、一緒に議論できる関係になれると思っています。
――最後に、御社を通じてどのような社会を実現したいですか。
誰もが自分なりの軸にまっすぐ生きられる社会を目指しています。これまでは、いい大学を出て、いい企業に入り、出世して定年を迎えるという1つのパターンがありました。
しかし、それが崩れ、多様性や自己責任の時代になっています。
自分にとっての正解を定義し、そこに向かってまっすぐ生きる必要がある一方で、そうしたことを教わってきた人は多くありません。
だからこそ、もはや通用しない画一的な価値観にしがみつくのではなく、自分なりの軸を見つけ、そこに向かって生きることを支援していきたいです。それが、これからの幸せにつながる1つの仮説だと考えています。