想いを形に、人を育てる――株式会社エンシエラが描くクリエイティブの未来
株式会社エンシエラ 代表取締役 藤澤 あかね氏
株式会社エンシエラは、受託制作とオンラインサロンの運営・教育を軸に事業を展開しています。デザイナー出身ならではの視点を生かした制作へのこだわりと、人材育成の両面に力を注ぎながら、新たな挑戦を続けています。本記事では、代表取締役の藤澤あかね氏に、事業の強みや起業までの歩み、組織づくり、今後の展望について伺いました。
目次
デザインを届け、人を育てる――2つの事業が生み出す価値
――現在取り組まれている事業内容について教えてください。
現在は、受託制作とオンラインサロンの運営・教育を軸に事業を展開しています。
受託制作では、Web制作やLP制作を中心に、店舗や衣服以外のクリエイティブ制作まで幅広く手掛けています。最近ではアプリ開発にも取り組むなど、対応領域も広がっています。
オンラインサロンでは、中級者向けデザイナー育成サロンを運営しています。デザイナーは経験を積み、案件を獲得できるようになっても、一人で学び続けることに限界を感じる時期があります。私自身も同じ悩みを経験してきたからこそ、社内で新人へ教えている実践的な内容をそのままカリキュラム化し、現場で生かせる学びを提供しています。
さらに、新たな取り組みとして、AI人材育成講座の開講も予定しています。
――他社にはない強みはどのようなところでしょうか。
一番の強みは、私自身がデザイナー出身であることです。約5年間デザイナーとして経験を積み、起業したため、制作物のクオリティには特にこだわっています。
制作会社では営業やディレクター出身の経営者も多いですが、クリエイター出身だからこそ見えるものがあります。細かな表現や品質まで妥協せず、一つひとつ丁寧につくり上げる姿勢は、今も変わりません。
もう1つは、人材とのつながりです。SNSでの発信やオンラインサロンを通じて採用を行っているため、多くのクリエイターとのネットワークがあります。案件ごとに得意分野の異なるメンバーをアサインできるので、さまざまなご依頼にも柔軟に対応できることが、当社の強みです。
遠回りだったからこそ見つけた、自分らしい道
――クリエイターを目指したきっかけを教えてください。
幼い頃、母が長く入院していました。小学校に入学する前から中学2年生頃まで、母と会える時間は週に一度、30分ほどしかなかったんです。
当時はうまく言葉で気持ちを伝えられず、交換日記や絵を通してコミュニケーションを取っていました。母も絵が好きだったこともあり、言葉にならない想いを別の形で伝えることは、ごく自然なことでした。
20代になり、「何か自分のやりたいことをやりたい」と考えた時、幼い頃の記憶がよみがえりました。人の想いを形にできるデザインなら、自分が本当にやりたいことなのではないかと思い、本格的に学び始めました。
――起業までには、どのような道のりがあったのでしょうか。
20代はフリーターとして過ごし、何かを成し遂げたという実感はありませんでした。正社員として働こうと思った時、持っていた資格は運転免許だけだったので、タクシードライバーになりました。
もともと1つのことに夢中になるタイプで、ゲームでも全国ランキング上位に入るほど熱中した経験があります。タクシーの仕事でも「どうすれば成果が出せるのか」を徹底的に研究し、営業所約300人の中で営業成績トップ3を維持していました。ただ、その一方で大きな挫折も経験したんです。
その時に、「ここで変わらなければ、この先も変われない」と強く感じました。社会の中で価値を生み出せる存在になりたい。そのためには起業するくらいの挑戦をしなければ、自分は変われないと思ったんです。当時はパソコンすら持っていませんでしたが、Web業界なら可能性があると感じ、ゼロからプログラミングを学びました。そして約5~6年後に起業しました。
「ありがとう」と「良いところ」を伝える組織づくり
――チームづくりで大切にしていることを教えてください。
現在は業務委託メンバーを中心に、オンラインで仕事を進めています。だからこそ、「ありがとうございます」という言葉は、どんな小さなことでも必ず伝えるようにしています。受託制作では、お互いに制作物をチェックし合う機会が多くあります。忙しいと、どうしても修正点だけを伝えがちですが、それだけでは気持ちよく仕事はできません。
「ここが良かった」「ここはすごくいい。その上でもっとこうすると、さらに良くなる」。そんなふうに、良いところをきちんと伝えてから改善点を伝えることを、チーム全体で意識しています。相手が気持ちよく仕事に取り組めるような伝え方を、いつも心掛けています。
――これから一緒に働きたいのはどのような方ですか。
自分なりの夢や目標を持っている方と、一緒に働きたいですね。
「お金を稼ぎたい」「空いた時間を有効に使いたい」といった目標でも構いません。その目標が会社のビジョンと重なり、「ここで働きたい」と感じてもらえたらうれしいです。
もちろん、チームで仕事をする以上、協調性も欠かせません。お互いを尊重しながら、一緒に成長していける方と働きたいです。
デザインの力で、人の人生に寄り添う未来へ
――今後挑戦したいことを教えてください。
受託制作は、これからも発信を続けながら伸ばしていきたいです。
オンラインサロンは、自分自身がこれまで苦労してきた経験を生かし、同じように悩んでいる方を支え、一緒に仕事ができる人材を育てていきたいです。
将来的には終活の分野にも挑戦したいです。幼い頃から母の病気を通して「死」が身近にある環境で育ってきました。まだ構想段階ではありますが、デザインと終活を組み合わせたサービスを形にしていきたいという想いがあります。
――経営で譲れないものは何でしょうか。
「手を抜かないこと」です。
受託制作もオンラインサロンも、人を感動させる仕事です。誰かに「できるようになった」と感じてもらったり、心を動かしたりするのは、一生懸命向き合ってこそ生まれるものだと思います。
以前、採用ブランディング案件に携わった際、完成したクリエイティブを見たお客様が感動して涙を流してくださいました。大変な案件でしたが、最後まで手を抜かずに取り組んだからこそ、お客様にもその想いが伝わったのだと感じています。だからこそ、どんな仕事でも一つひとつ真剣に向き合い、手を抜かないことだけは、これからも大切にしていきたいです。
夢中になれる時間が、日々の活力になる
――休日はどのようにリフレッシュされていますか。
仕事をしている日がほとんどですが、旅行に行ったり、サウナに入ったり、自転車に乗ったりする時間が息抜きになっています。
最近はポケモンカードゲームのバトルにもはまっていて、大会に参加して対戦を楽しんでいます。ゲームは昔から好きで、日本ランキング2位に入るほど熱中したこともありました。仕事が忙しい中でも、そうした時間が良いリフレッシュになっています。