生成AIと現場理解を掛け合わせ、中小企業の業務変革に伴走する
Equ8 Technologies株式会社 代表取締役 前田 竜二氏
Equ8 Technologies株式会社は、建設業や製造業の中小企業を対象に、AIを活用したシステム提案や受託開発、コンサルティングを行っています。代表の前田竜二氏は、建設現場での実務経験と、長年にわたりAIやデータ領域に携わってきた知見を生かし、現場の業務フローに沿ったシステムづくりを重視しています。本記事では、事業に込めた思いや顧客との向き合い方、今後の展望について伺いました。
目次
建設・製造現場の課題を生成AIで変えていく
――現在取り組まれている事業について教えてください。
現在は、建設業や製造業の中小企業に対して、AI導入の提案や、業務フローに合わせたシステム開発を行っています。もともとは個人事業として、中小企業から受託開発やコンサルティングの仕事を請け負っていました。今後は、そうした仕事も法人に集約していきたいと考えています。
現在の事業領域に力を入れ始めたのは、まだ最近のことです。小規模な案件をいただきながら、これまでよりも大きな仕事につながりそうな引き合いも増えています。今はまさに、建設業や製造業の現場にAIを取り入れ、業務を変革していく事業へと軸足を移している段階です。
――建設業や製造業に注目した背景をお聞かせください。
私が最初に勤めた会社は建設業で、海外を含む建設現場の管理にも携わっていました。その中で、本来の仕事ではない報告業務に多くの時間を使っている場面を何度も見てきたんです。
例えば、工事の進捗を図面上に色分けして記録する作業があります。毎日現場を確認して図面に反映しますが、紙で管理している場合、図面が更新されると最初からやり直さなければならないこともあります。こうした非効率な業務が現場には残されており、改善の余地が大きい分野だと感じました。
一方で、こうした作業を通じて現場への理解が深まり、細かな変化や課題に気づけることも実感しています。そのため、従来の業務をすべてAIに置き換えればよいとは考えていません。これまでの仕事が持つ価値や利点を残しながら、負担の大きい部分を効率化できるような提案をしていきたいと考えています。
そこに、私が長年携わってきたAIやデータの知見を掛け合わせています。特にAIの登場によって、これまで難しかった業務の変革も現実的になりました。現場への理解や判断につながる部分は大切にしつつ、AIを活用して負担を減らし、より本質的な仕事に集中できる環境をつくっていきたいと考えています。
中小企業にも導入できるカスタマイズ型のシステム
――御社ならではの強みはどのような点にありますか。
お客様の業務をヒアリングし、その流れに合わせてシステムを提案できる点です。これまでは、企業側が既存のSaaSに業務を合わせることが多かったと思います。しかし、生成AIの活用によって開発コストが下がり、個別にカスタマイズしたシステムも以前より提供しやすくなっています。
既存のSaaSと比べて大幅に高額になるのではなく、多少の上乗せ、あるいは同程度の価格帯で、その企業に合った仕組みを提供することを目指しています。業務にシステムを無理に合わせるのではなく、業務に合うシステムをつくることが大切です。
――なぜ中小企業への支援を重視しているのでしょうか。
これまでAIシステムの開発には、数千万円規模の費用が必要になるケースもありました。そのため、大企業は投資できても、中小企業には手が届きにくい状況があったと思います。
しかし、生成AIによって開発コストが下がり、少人数でもシステムをつくれる環境が整ってきました。当社も、必要に応じて協力者と連携しながら、少人数で事業を進めています。固定費を抑えることで、中小企業にも導入を検討していただける価格で提供できると考えています。これまで投資が難しかった企業の業務を効率化し、力になりたいという思いがあります。
顧客にとって本当に価値があるかを問い続ける
――事業を行う上で大切にしている考え方を教えてください。
本当に顧客にとって価値があるのかを考えることです。もちろん、会社として売上をつくることも大切ですが、売れればよいとは考えていません。そのシステムをつくることで、お客様の事業が本当に良くなるのかを重視しています。
以前、これから事業を始める方から、アプリ開発の相談を受けたことがありました。仕事として開発を進めたものの、途中で感じた違和感を十分に大切にできず、結果的に相手の事業もうまくいきませんでした。
お金をいただいて開発しても、お客様の次の成果につながらなければ、双方に満足感は残りません。また、十分な成果を生み出せなければ、信頼関係を築くことも、その先の仕事につなげることもできないと思っています。 だからこそ、違和感を見過ごさず、本当に顧客のためになるのかを考えながら仕事を進めたいと思っています。
――お客様とのコミュニケーションで意識していることはありますか。
AIの開発には、実際に試してみなければ実現できるか分からない部分があります。従来のシステム開発では、契約前に「どこまで開発し、どこから先は対応しないのか」を明確に定める方法が一般的でした。しかし、技術や事業環境が急速に変化する時代において、最初に決めた範囲だけをつくる進め方は、必ずしもAI開発に適していないと考えています。
最初に要件をすべて固めて「ここまでつくったら終わり」とするのではなく、目指す方向をお客様と共有しながら、一緒に試行錯誤していく関係が理想です。
まずは小さな仕組みを試していただき、その結果を見ながら改善を重ね、次の段階へ進んでいく。対話を重ねて信頼関係を築きながら、お客様のパートナーとして伴走したいと考えています。
また、現場を見ることも重視しています。実際に足を運ぶことで、複数の現場に共通する課題や、対話だけでは見つけられない新しいアイデアが見えてくるからです。私自身、建設現場や製造業の工場を見てきた経験があり、図面も読むことができます。現場を理解した上で、目の前の業務を効率化するだけでなく、将来どのようなデータを蓄積し、その先の展開につなげていくかまで考えて提案できることが、私の強みです。
社会への影響を広げるためにリスクを取る
――経営判断で大切にしている価値観を教えてください。
事業を広げるために、必要なリスクを取ることです。以前は、少しずつ成長できればよいと考えていました。しかし、一度しかない人生の中で、社会に与えられる影響を早く広げることは、決して悪いことではないと考えるようになりました。
周囲の経営者が積極的に投資する姿を見たことも、自分の考え方を変えるきっかけになっています。意識していなければ、どうしても慎重な姿勢に戻ってしまいます。そのため、事業の発展と社会的なインパクトの拡大に向けて、難しい案件にも積極的に挑戦しています。
――今後の展望についてお聞かせください。
現在は知人からの紹介による仕事が中心ですが、今後は紹介以外の企業ともゼロから関係を築き、新たな仕事につなげることが大きなテーマです。新しい顧客との接点を増やし、事業が拡大すれば、数人程度の少数精鋭の組織をつくることも考えています。
組織を大きくすること自体が目的ではありません。一人ひとりがAIを自然に使いこなし、お客様を大切にできる人と一緒に仕事をしたいと思っています。少人数だからこそ固定費を抑え、中小企業にも導入しやすい価格を維持できるからです。
売上目標としては、次の1年間で最低3000万円、その次の期には1億円を目指しています。現在は引き合いも増えているため、まずは目の前の仕事を着実に進めながら、事業の成長スピードを高めていきます。
子どもと過ごす自然の中での時間
――休日はどのようにリフレッシュされていますか。
子どもとの触れ合いがリフレッシュになっています。土日も仕事をすることはありますが、子育てを通じて仕事以外の時間を持てています。
これからも家族との時間を大切にしながら気持ちを切り替え、日々の仕事にも前向きに取り組んでいきたいです。