技術と真心で、本当においしい寿司を届け続ける──手間を惜しまないものづくりで、長く愛される店を目指して
株式会社笹互 代表取締役 大島 徹雄氏
昭和56年の創業以来、寿司のテイクアウトを中心に事業を展開してきた株式会社笹互。自店仕込みや天然マグロへのこだわりを貫き、手間を惜しまない寿司づくりを続けています。その根底にあるのは、お客様に喜んでいただきたいという変わらない想いです。本記事では、創業の経緯や商品づくりへのこだわり、経営への想い、今後の展望について大島徹雄氏に伺いました。
目次
技術と手間を惜しまない寿司づくりで、笹互ならではのおいしさを届ける
――現在の事業内容について教えてください。
現在は寿司のテイクアウトを中心に営業しています。創業以来変わらず大切にしているのは、「手間を惜しまないこと」です。
最近は既製品を活用する店が増えていますが、それでは店ごとの個性が出にくくなります。私たちも手頃な価格で提供したいという気持ちはありますが、大手と価格だけで競争するのではなく、技術で価値を生み出すことを大切にしてきました。
――商品づくりで、特にこだわっていることを教えてください。
出し巻き玉子や穴子、かんぴょうは既製品を使わず、自店で仕込んでいます。シャリも独自に調合した合わせ酢を使い、炊き方にも工夫を重ねています。
また、マグロは部位ではなく一本買いをし、天然マグロだけにこだわっています。お客様からも「甘みが違う」「おいしい」と評価していただくことが多いですね。
寿司は、ただ握ればいいものではありません。一つひとつの商品に思いやりと技術を込めることで、笹互らしい味が生まれると考えています。その積み重ねが、45年間店を続けてこられた理由だと思っています。
商売が好きだからこそ、自分の信じる道を歩み続けてきた
――経営者の道を選んだきっかけを教えてください。
これまで仕事を続けてきた中で、決して順風満帆な時ばかりではありませんでした。厳しい状況を経験したこともありますが、その都度、自分で考えながら乗り越えてきました。
振り返ってみると、私は人に従って仕事をするよりも、自分で考え、自分で企画し、自分で商売をすることに喜びを感じる人間だったのだと思います。
組織の中で力を発揮する人もたくさんいますし、それは素晴らしいことです。ただ、さまざまな仕事を経験する中で、「やっぱり商売が好きなんだ」と実感しました。それが、この道を選んだ一番の理由です。
――経営を続ける中で、大切にしている考え方を教えてください。
私が何より大切にしているのは、自分の仕事を好きになることです。
朝起きてから夜眠るまで、仕事のことが頭から離れません。それでも苦にならないのは、本当にこの仕事が好きだからです。
好きだからこそ、「もっとおいしくできないか」「もっと喜んでもらうにはどうしたらいいか」と自然に考えるようになりますし、工夫を重ねることも苦ではありません。
難しい経営理論よりも、まずは仕事を楽しむこと。その気持ちがお客様への商品づくりやサービスにつながり、結果として店の信頼にもつながっていくのだと思っています。
組織を信じ、人を育てながら、長く続く店づくりを目指す
――組織づくりや、人材育成で大切にしていることを教えてください。
現在、店舗の多くはフランチャイズという形で運営しています。私のほうで出店し、育てた人がオーナーとして店を切り盛りしています。そのため、細かく管理するというより、それぞれの判断を尊重することを大切にしています。
もちろん、相談があればできる限り力になりますし、問題が起きれば私自身が店舗へ足を運び、一緒に解決策を考えます。ただ、最終的に店をつくるのは、その店を任されたオーナーです。だからこそ、自分で考え、自分で判断できる環境をつくることを意識しています。
以前は月に一度集まり、意見交換をする場を設けていました。しかし、店舗が増え、それぞれ営業時間も異なるようになったため、現在は必要に応じて個別に相談を受ける形に変わりました。
本店は私と娘を中心に運営し、パートやアルバイトの皆さんが支えてくれています。少人数だからこそ距離が近く、お互いを信頼しながら仕事ができる環境です。
人材育成で大切なのは、器用かどうかではありません。不器用でも、地道に努力を続けられる人は必ず成長します。仕事を覚えるまでに時間はかかっても、一度身につけばその差はなくなります。
私が一緒に働きたいと思うのは、毎日を安定した気持ちで過ごし、目の前の仕事にコツコツ向き合える人です。焦らず、飽きずに努力を続けられる人なら、男女を問わず活躍できます。実際に育成した女性がオーナーとして店を任され、今も頑張ってくれています。その姿を見ると、性別に関係なく、仕事に真摯に向き合える人であれば十分活躍できると思っています。
店舗数ではなく、お客様に愛され続ける店を増やしていきたい
――今後の展望について教えてください。
これからも店舗を増やしていきたいという気持ちはあります。ただ、店舗数だけを追いかけるつもりはありません。
店を増やしても、すぐに閉店してしまっては意味がありませんし、笹互というブランドへの信頼も損なわれてしまいます。私が目指しているのは、「笹互なら安心して利用できる」と思っていただける優良店を増やすことです。
そのためには、私の考え方を受け継ぎ、同じ方向を目指せる人材を育てていきたいと思っています。 現在も少しずつ育成を進めていますが、急ぐつもりはありません。一人ひとりが理念を理解し、自信を持って店を任せられるようになることのほうが大切です。
経営を続けていると、予想もしない出来事は必ず起こります。実際、これまでにもさまざまな困難を経験してきました。そのたびに状況を見極め、自分の考えを持って判断し、一つひとつ乗り越えてきました。
これからも、その時々の状況に応じて、自分の考えを持って誠実に向き合っていきたいと思っています。
商売を楽しみながら、これからも夢を追い続けていきたい
――最後に、ご自身の原動力について教えてください。
私が最も尊敬しているのは、この業界へ導いてくれた実弟です。私は努力してきたつもりですが、弟はそれ以上に努力を重ねています。それでいて、本人は努力をしているという意識すら感じさせません。その姿を見るたびに、人としての器の大きさを感じますし、自分も少しでも近づきたいと思っています。
今は週に一度の休みに、妻と一緒に働く娘の三人で食事を楽しむ時間が何よりのリフレッシュです。その時間があるからこそ、また仕事を頑張ろうという気持ちになります。
年齢は重ねましたが、気持ちはまだまだ若いつもりです。私はいつまでも夢を追い続ける人間でいたいと思っています。
仕事が好きだからこそ、もっと良い寿司を届けたい。その想いは創業当時から変わりません。これからも一つひとつの商品に真心を込め、お客様に「また食べたい」と思っていただける寿司を届け続けていきたいですね。