「お口の姿勢」から人生を支える――独自技術で拓くオーラルヘルスの未来

株式会社Office RENKA 代表取締役 赤井 綾美氏

株式会社Office RENKAは、口呼吸や食いしばり、いびき、口元のたるみなどに対し、口腔・呼吸・姿勢を整える健康支援を行っています。歯科衛生士として42年の経験を持つ赤井氏が、自身の不調をきっかけに独自技術を開発。本記事では、創業の背景や事業の強み、健康経営や子ども支援を見据えた今後の展望について伺いました。

美容でも医療でもない「オーラルヘルス」という新領域

――現在の事業内容について教えてください。

起業して丸7年を迎え、この7月から8期目に入るにあたり、自宅サロンを移転し、サロン業だけでなく少人数のセミナーもできるようリニューアルオープンしたところです。サロンでは、口腔・呼吸・姿勢を整えるオーラルヘルスのサービスを提供しています。

対象となるのは、口呼吸や食いしばり、いびき、口元のたるみなど、歯科医院では疾患として扱われにくい悩みです。口の内側と外側の筋肉を整え、口を閉じて鼻呼吸ができる状態へ導きます。

人生100年時代に、最後まで自分の口で食べ、話すことは大切です。プロケア技術の提供だけで終わらせず、ご本人が日常生活で口腔の状態を保てるようセルフケアの支援もしています。

独自技術やプログラムを伝えるコースセミナーも半年に1回ほど開催しています。

――他のサービスにはない強みはどのような点にありますか?

同様のサービスは、ほとんどないと感じています。歯科医院には口の中の筋肉を緩めるオーラルエステもありますが、一時的な気持ちよさで終わるケースも少なくありません。

当社が目指すのは、美容でも医療でもなく、口腔機能を整えるトレーニングとコンディショニングです。歯科衛生士としての専門性を生かし、口だけでなく、呼吸や全身の姿勢まで見ながら根本的な改善を目指します。

自身の不調から生まれた独自の口腔ケアメソッド

――現在の事業を立ち上げたきっかけを教えてください。

私は歯科衛生士ですが、もともと歯並びが悪く、若い頃に矯正を経験しました。歯はきれいに並んだものの、正しく噛むことや飲み込むことまでは改善されず、「並んだから大丈夫」と考えていたんです。

ところが、更年期を迎える頃になると、いびきや睡眠時無呼吸、体調不良に悩むようになりました。口腔機能が崩れることによる影響は、単に歯並びだけではなく、姿勢や呼吸、舌の位置などに関わっており、それらを総合的に改善することの重要性に気づいたんです。

2、3年かけて取り組むうちに、無呼吸が和らぎ、口を閉じて眠れるようになりました。自分と同じように矯正後も不調を抱える人を支えたいと思ったことが、事業の原点です。

――独自技術「Oral floor-up」は、どのように生まれたのでしょうか?

口腔機能を調べる中で注目したのが、飲み込む際に働く「口の床」にあたる筋肉です。解剖学では役割が示されている一方、その筋肉を整える技術はほとんど見当たりませんでした。

そこで、対象となる筋肉へ直接アプローチする「Oral floor-up」を開発しました。声量や声の響きに関する検証結果も得られ、2023年に特許を取得。現在は、この技術を中心にサロンプログラムと教育事業を展開しています。

呼吸・姿勢・舌の位置から根本的な改善を目指す

――お客様をどのような流れでサポートしていますか?

初回は、必ずカウンセリングとアセスメントを行います。悩みや生活上の苦痛を伺った上で、全身、顔、口腔内の位置と動きを確認します。

その方の弱点や原因を把握し、口の中から筋肉をほぐすケアを実施。さらに肋骨や口角、姿勢も見ながら、口を閉じて鼻呼吸ができる身体づくりへつなげます。

自宅で行うトレーニングやセルフケアもお伝えし、ご自身で口と身体を整えられる状態を目指しています。

――サービスの中で、特に呼吸を重視している理由を教えてください。

口腔周囲の筋肉をほぐしても、呼吸が変わらなければ口を閉じ続けることはできません。口呼吸の方は肋骨や姿勢も崩れているため、呼吸のトレーニングが欠かせないと考えています。

本来、上下の歯は噛むとき以外は接触しません。しかし、食いしばりで常に歯と歯が触れていると、咀嚼筋や脳神経が休めない状態になります。

舌が上顎の正しい位置に収まれば、舌がクッションとなり、歯と歯が当たらず安定します。鼻呼吸や自律神経、睡眠も整い、生活そのものが好転する可能性があると感じています。

歯科医院や企業へ広げる新たな事業モデル

――歯科医院への導入について、どのような可能性を感じていますか?

これまでにプログラムを受講した歯科衛生士は40〜50人ほどいます。ただ、歯科医院では診療やメインテナンスが優先されるため、時間をかけて行う当社のサービスは、採算面で導入が難しいのが現状です。

そこで、治療部門とは別に、健康サービスとして運営する形を提案しています。治療につながらない二重顎や口元のたるみといった相談も、別の受け皿を設ければ新たな価値として提供できます。

――健康経営やスポーツ分野への展開をどのように考えていますか?

口腔・呼吸・姿勢を整えることは、睡眠の質や作業動作、労働力にも関わると考えています。事故防止への影響も期待できるため、健康経営に力を入れる企業に知っていただきたい分野です。

現在は、所属する協会を通じて、大きな企業の健康保険組合向けに教育コンテンツを制作しています。100人を対象に、各60分・全3回のセミナーを行う予定です。

また、顔や姿勢から身体の使い方や怪我のリスクが気になる方もいます。スポーツクラブやジュニアアスリートの育成分野にも活用できる可能性を感じています。

赤ちゃんから終末期まで口腔の健康を支える未来

――今後、事業をどのように広げていきたいですか?

成人向けのサロンを中心にしてきましたが、今は子どもたちの口腔の育ちにも強い危機感を持っています。歯が生える前から悩む親御さんも多いため、今年から親子を支援する取り組みを始めました。

将来的には、赤ちゃんから終末期まで支えられるプログラムに育てたいと考えています。企業の健康経営や育成機関にも広げ、喉を守るセルフケアや身体づくりの教育として導入されることが理想です。

まだ知られていないサービスだからこそ、「知らない」を「知る」に変える活動が必要です。アメリカでも特許を申請しており、いずれは海外にも届けたいと考えています。

――事業を続ける上で、譲れない想いを教えてください。

口腔は、健康だけでなく人生そのものを左右する器官です。飲み込めなくなってから気づくのでは遅く、「最近むせるようになった」といった小さな変化の段階で、自分の状態を知ることが重要だと考えています。

舌をどこに置くのが正しいのか、意識したことがない方も少なくありません。しかし、口腔の崩れは姿勢や呼吸につながり、歩くことや食べることにも影響します。

一人でも多くの方に早く気づいていただき、最後まで自立して、自分の口で「美味しい」と言いながら食べてほしい。そのまま人生を全うできるよう支えることが、私の譲れない想いです。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。