研究者の活躍を可視化し、理化学業界の課題解決へ挑むスタートアップ
Quixoticc株式会社 代表取締役 近藤 みな氏
理化学業界が抱える課題に向き合い、IoTを活用した新たな価値創出に挑むQuixoticc株式会社。代表を務める近藤みな氏は、海外でのビジネス経験を通じて業界共通の課題を実感し、自らスタートアップを立ち上げました。その根底には、研究者がより活躍できる環境をつくり、その価値を社会へ届けたいという想いがあります。本記事では、創業の経緯や事業へのこだわり、組織づくり、そして今後の展望について伺いました。
目次
研究者が本来の力を発揮できる環境をつくり、業界の課題を解決したい
――Quixoticc株式会社を設立された経緯と、現在の事業について教えてください。
私は2019年まで理化学系の専門商社に勤めていました。海外の理化学機器を日本へ輸入し、自ら販売や事業開発に携わる仕事をしていたのですが、その頃は月に2回ほど海外へ足を運んでいました。
現地へ行くたびに感じたのは、日本だけではなく海外でも理化学業界が同じような課題を抱えているということです。一方で、テクノロジーが急速に進歩する中、この業界には従来の仕組みが色濃く残っている部分もありました。世界共通の課題に対して、自分だからこそできることがあるのではないかと思い、翌年にスタートアップを立ち上げました。
創業当初はSaaSを活用し、理化学機器メーカーや専門商社と研究者をつなぐマッチングサービスに取り組んでいました。ただ、人と人をつなぐだけでは本質的な課題の解決には至らず、紹介で終わってしまう場面も少なくありませんでした。
そこで事業を見直し、現在はIoTを活用したハードウェア領域へ軸足を移しています。理化学業界では、研究途中で機器が故障しても簡単に買い替えることはできません。同じ機器を使い続けて研究を完遂する必要があるため、修理しながら長く使うことが前提になります。その特徴に着目し、機器の故障という課題を解決する仕組みづくりに取り組んでいます。
私たちが目指しているのは、理化学業界が抱える課題を技術で解決することです。そのために、本当に必要とされる技術を届け続けていきたいと思っています。
課題の本質を見つけることが、新しい価値を生み出す第一歩
――経営者を目指したきっかけと、大切にしている価値観について教えてください。
子どもの頃から経営者になりたいと思っていたわけではありません。やりたいことや得意なことを積み重ねていった先で、「スタートアップを立ち上げることが自分に一番合っている」と感じるようになりました。
会社員として働く中で感じたのは、ソフトウェアでもハードウェアでも、最終的には「誰かの困りごとを解決するからこそ価値が生まれる」ということです。どれだけ優れたものを作っても、そこに本当の課題がなければ必要とされません。
だからこそ、私が一番大切にしているのは、表面的な要望ではなく、本当に困っていることを見つける姿勢です。簡単なヒアリングだけでは、潜在的な課題はなかなか見えてきません。その業界を深く理解し、現場を知り、相手自身も気づいていない悩みに気づけるかどうかが重要だと思っています。
また、会社として掲げている想いの一つに、研究者や研究活動をもっと社会へ可視化したいという考えがあります。
例えば、私たちは薬を手に取る機会は多くありますが、それが長年の研究によって生み出されたことを意識する場面は決して多くありません。だからこそ、研究者の活躍にももっとスポットが当たる社会になればと思っています。
だからこそ、医療と同じように研究や研究者にも光が当たり、その価値がもっと多くの人へ伝わる社会になれば嬉しいです。その実現につながる事業を続けていきたいと考えています。
小さな違和感を見逃さないことが、組織の強さにつながる
――組織づくりで大切にしていることや、今後一緒に働きたい人物像を教えてください。
現在はピボット後の資金調達に取り組んでいる段階のため、社員はまだおらず、創業メンバー3名で事業を進めています。それぞれが自分の得意分野を活かしながら時間をつくり、創業期ならではのスピード感で動いています。
少人数だからこそ意識しているのは、小さな違和感でも必ず共有することです。
「何か少し気になる」「こんな情報を見つけた」「競合に変化があったかもしれない」といった断片的な情報でも、全員で共有するようにしています。最初は小さな違和感だったことが、後になって重要なヒントになるケースも少なくありません。
問題が大きくなってから対応するのではなく、その前兆に気づける組織でありたいと思っています。
今後仲間を迎える際にも、自分で目標を立て、そこへ向かって具体的な計画を描ける人と一緒に働きたいです。そして、計画を立てるだけではなく、最後まで粘り強くやり抜ける人に魅力を感じます。
目標を実現するには、途中で思い通りに進まないこともあります。そうした姿勢を持つ方と一緒に事業を育てていきたいと思っています。
想定外も力に変え、理化学業界の未来を切り拓く
――今後の展望について教えてください。
まずは資金調達を成功させ、事業をしっかり軌道に乗せることが目標です。現在はハードウェア開発のパートナー企業とも出会うことができましたので、協力しながら本当に必要とされるものを形にし、スピード感を持って世の中へ届けていきたいと思っています。
新しい挑戦には、想定していなかった課題が生まれることもあります。それでも、どんな問題も見て見ぬふりをせず、正面から向き合えば必ず打開策はあると信じています。何が起きても冷静に状況を受け止め、仲間と共有しながら一つずつ乗り越えていきたいですね。
本当に必要とされるものづくりに挑戦し、理化学業界が抱える課題の解決につながる価値を届けていきたいと思っています。
枠にとらわれない発想と、日常の時間が次の挑戦につながる
――影響を受けた人物について教えてください。
影響を受けた人物はスティーブ・ジョブズ氏です。スマートフォンを作ること自体を目的としていたのではなく、「世の中が本当に必要としているもの」を追い求めた結果、その形にたどり着いたという考え方に強く惹かれました。既存の枠組みにとらわれず、本質を見つめながら新しい価値を生み出す姿勢は、私自身も大切にしたいと思っています。
――休日はどのようにリフレッシュされていますか。
休日は家族や友人と過ごしたり、外で体を動かしたりしてリフレッシュしています。季節ごとのイベントや、その時期だからこそ楽しめる場所へ足を運ぶことも大切な時間です。そうした経験が新しい視点や発想につながり、次の挑戦への力になっています。
これからも固定観念にとらわれない発想を大切にしながら、本当に必要とされるものづくりとテクノロジーを通じて、理化学業界が抱える課題の解決に挑戦し続けていきたいと思います。