正しい仕事を積み重ね、安全と信頼を未来へ――不二電気工事株式会社が描く組織づくり
不二電気工事株式会社 代表取締役 藤田 智香氏
電気設備工事は、人々の暮らしや社会を支える一方で、一歩間違えれば命に関わる事故につながる可能性もある仕事です。昭和32年の創業以来、不二電気工事株式会社は「正しい仕事」を積み重ねる姿勢を大切にしながら、多くの信頼を築いてきました。2025年10月に代表取締役へ就任した藤田智香氏は、安全と品質を最優先に考え、社員一人ひとりが安心して働ける環境づくりにも力を注いでいます。今回は、同社の理念や経営への思い、組織づくり、そして今後の展望について伺いました。
目次
正しい仕事を積み重ねることが、会社の信頼につながる
――御社の理念やビジョンについて教えてください。
当社では「正しい仕事をする」という考え方を何より大切にしています。建設業、とりわけ電気設備工事は、判断を一つ誤れば社員や協力業者の命に関わる重大な事故につながる可能性があります。そのため、国の指針や現場で求められるルールを一つひとつ丁寧に守り、安全を積み重ねることが社員の幸せにつながると考えています。
派手な経営ビジョンがあるわけではありませんが、正しい仕事を続けることで信頼が生まれ、その積み重ねが現在のお客様との関係につながっていると感じています。
――現在のお客様とのお取引はどのような形が中心でしょうか。
当社では飛び込み営業は行っていません。ご依頼のほとんどは既存のお客様からの継続案件やご紹介によるものです。これまで積み重ねてきた信頼が、新たな仕事へとつながっています。
専務時代の経験を経て、新たな挑戦として代表へ
――経営者になられた経緯を教えてください。
会社は父が創業し、その後は兄が代表を務めていました。私は長年専務として工事部門を任されており、現場や業務運営に深く携わってきました。
ホールディングス体制となり、兄が別の会社を見ることになったこともあり、会社の中心である不二電気工事を引き継ぐ形で、2025年10月に代表へ就任しました。以前から経営に近い立場で仕事をしていましたが、自分自身を試したいという思いもあり、大きな挑戦として引き受けました。
――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。
判断の基準は、「それが正しい仕事につながるかどうか」です。事故を起こさない判断になっているか、偏った考え方になっていないかを常に意識しています。
利益や効率だけを優先するのではなく、社員や協力業者が安全に仕事を続けられるかどうかが、経営者として絶対にぶれてはいけない軸だと考えています。
社員を大切にすることが、より良い仕事につながる
――組織運営で意識していることを教えてください。
約30名弱の従業員がいますが毎日できるだけ声をかけるようにしています。現場へ向かう前には、体調や表情を見ながら「今日は大丈夫かな」と気に掛けています。
現場では精神状態も安全につながります。毎日の何気ない会話が、健康やメンタル面の変化に気付くきっかけになればと考えています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
まずは会社を好きになってくれる人です。将来、社内から経営者を育てるとすれば、会社そのものを大切に思ってくれる人であってほしいと思っています。
採用では、きちんと挨拶ができること、人の目を見て話ができること、そして自分自身を大切にできることを重視しています。自分を大切にできない人は、周りの人も大切にできないと考えているからです。
また、現在は現場担当者が施工に集中できるよう、バックオフィスの体制づくりも進めています。社内全体で支え合う仕組みを整えながら、チームとして成長していくことを目指しています。
安全と品質をさらに磨き、業界の未来につなげたい
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
代表に就任してまだ1年に満たないため、新しい事業へ挑戦するよりも、まずは電気設備工事の管理業務をさらに磨き上げたいと考えています。「電気設備工事なら不二電気工事」と言っていただけるような存在を目指し、この業界をさらに突き詰めていきたいと思っています。
また、女性が建設業界で当たり前に活躍できる環境づくりにも取り組んでいきたいと考えています。「女性だから」という見方ではなく、自然に選ばれる業界へ変えていくことも、自分たちの役割だと感じています。
――現在取り組まれている課題はありますか。
社内では、自分の考えをきちんと言葉にすることを大切にしています。頭の中だけで考えるだけではなく、お互いに言語化し、コミュニケーションを深めることで、より良い組織をつくっていきたいと考えています。
業務面では、代表就任と同時に安全と品質を専門に担当する部署を新設しました。若手社員が現場で迷わず行動できるよう、安全基準や業務の進め方を整理し、正解が分かる環境づくりを進めています。事故を起こさないための仕組みづくりを、会社全体でさらに強化していく考えです。
社員が安心して働ける環境を守り続ける
――経営の中で譲れない思いを教えてください。
何よりも社員が悲しい思いをしないことです。以前は、お客様との関係の中で社員が傷つく場面もありました。しかし現在は、社員を大切にしてくださるお客様とだけ仕事をすることを決めています。
どれだけ大きな仕事であっても、人を大切にできない相手との取引はお断りします。社員も協力業者も、お客様も、お互いが尊重し合える環境で仕事をすることが、良い仕事につながると信じています。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
休日は体のメンテナンスを大切にしています。エステに行ったり、身体のケアをしたり、お酒を楽しんだりしてリフレッシュしています。また、社員から食事に誘われることも多く、一緒に食事へ行く時間も楽しみの一つです。
日頃のコミュニケーションが仕事だけに留まらず、自然と信頼関係につながっていることを嬉しく感じています。