技術と信頼で暮らしを支える――善興社が受け継ぐ使命と、人を大切にする経営
株式会社善興社 代表取締役社長 川北 剛史氏
株式会社善興社は、バキュームカーによる清掃業務をはじめ、水処理設備に関わる機器の販売・設計・施工・レンタルまで一貫して手がける企業です。長年にわたり培ってきた技術と知識を活かし、人々の暮らしに欠かせない生活インフラを支え続けています。本記事では、代表取締役社長の川北剛史氏に、事業の強みや経営理念、経営者として大切にしている価値観、今後の展望について伺いました。
見えない場所から暮らしを支える技術と使命
――現在の事業内容について教えてください。
当社の主力事業は、バキュームカーを使用した清掃業務です。特に、ビルの地下に設置された排水ピットの清掃を中心に手がけ、生活インフラを支えています。
清掃業務に加え、脱水機の販売・設計・施工・レンタルまで一貫して対応し、自治体を中心とした水処理施設への提案も行っています。急な処理量の増加にも対応できるよう、自社で機器を保有し、必要に応じてレンタルできる体制も整えています。
また、一般廃棄物と産業廃棄物の両方に対応できるため、収集から処理までまとめてお任せいただけます。
――経営理念に込められた想いを教えてください。
経営理念は『「技」と「知識」で人々の“きれい”に貢献する 』です。創業当初から受け継がれてきた祖父の理念をもとに2代目である父と私で決めました。人々が安全で安心して暮らせる環境を支えることが、当社の使命だと考えています。
トイレや下水といった設備は普段あまり意識されることはありませんが、衛生環境を維持するためには欠かせない存在です。だからこそ、約65年にわたり培ってきた水処理や清掃の技術と知識を活かし、人々の生活環境の維持に貢献していきたい。その想いを、この理念に込めています。
人の役に立つ仕事を未来へつなぐ決意
――経営の道へ進まれたきっかけを教えてください。
会社を継ぐと決めたのは大学生の頃でした。もともとは積極的に継ぐつもりではありませんでしたが、アルバイトとして現場を手伝うなかで、この仕事の価値を実感したことが大きな転機になりました。
普段はあまり目立つ仕事ではありませんが、地域の人や自治体の暮らしを支える、なくてはならない仕事です。その価値を現場で実感し、「本当に大切な良い仕事だ」と感じたんです。私は三代目になりますが、祖父と父が築き上げてきた事業を未来へつないでいきたいという想いも重なり、入社を決意しました。
入社後は現場で業務を学び、その後は専務取締役として経営や組織運営にも携わってきました。2026年7月に代表取締役社長に就任し、三代目として会社の未来を託される立場となりました。
――経営者として大切にしている価値観を教えてください。
最も大切にしているのは、お客様の困りごとを一番に解決することです。困っている方がいれば、できる限り早く力になりたい。その想いを軸に、日々の判断をしています。
だからこそ、嘘をつかず、できないことは正直に伝え、一つひとつの約束を責任を持って果たす姿勢を大切にしています。
もう1つ大切にしているのが、社員に「善興社に入って良かった」と思ってもらえる会社であることです。休日の確保やワークライフバランス、待遇改善にも力を入れ、安心して長く働ける環境づくりに取り組んでいます。
対話と安全が育む、信頼される組織づくり
――社員の皆さんとのコミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
現在は、役員3名と19名の正社員で事業を運営しています。私自身が意識しているのは、自分から積極的に社員へ声をかけることです。現場から戻ってきた社員には「お帰り」「今日はどうだった」といった何気ない会話を交わし、普段から気軽に話せるきっかけをつくるよう心がけています。
また、当社の仕事ではマンホール内での作業など、危険を伴う場面も少なくありません。そのため、作業前の安全確認を徹底するとともに、入社後は技能講習を受講してもらい、安全に関する知識を身に付けた上で現場に立ってもらっています。
技術を身に付けることはもちろん、安全に作業できる人材を育てることも大切にしています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
一番は、真面目に仕事へ向き合える方です。嘘をつかず、向上心を持って取り組めることはもちろん、人の話をしっかり聞き、自分の考えもきちんと伝えられるコミュニケーション力も欠かせないと考えています。
現在は清掃ドライバーの採用を進めていますが、専門的な知識や技術は入社後に身に付けられるため、何より人柄を重視しています。
社員が安心して長く働ける会社であり続けられるよう、待遇改善や福利厚生の充実にも継続して取り組んでいます。今期から食事補助のチケットレストランも導入しました。
技術を磨き、人とともに歩む未来へ
――今後の展望について教えてください。
現在は、ビルピット設備のポンプ交換を自社で対応できる体制づくりを進めています。清掃担当者の技術力向上に加え、社内の連携も強化しながら、これまで以上に幅広いニーズへ応えられる会社を目指しています。
一方で、人材の採用は大きな課題です。会社は人が支えているという考えのもと、採用活動と待遇改善を継続し、お客様からのご依頼にもより迅速に対応できる環境を整えていきたいですね。
――現在向き合っている課題を教えてください。
現在、最も大きな課題は採用です。業界全体で人材確保が難しくなっていますが、当社では経験の有無よりも人柄を重視し、一から育成できる環境を整えています。
社員への投資は、会社の成長につながる大切な取り組みです。そのため、待遇改善にも継続して力を入れています。社員が安心して長く働ける環境を整えることが、結果としてお客様へのより良いサービスにつながると感じています。
仲間との時間が、次への活力になる
――休日はどのようにリフレッシュされていますか。
休日はロードバイクでのサイクリングやドライブを楽しんでいます。友人と景色を楽しみながら体を動かす時間は、仕事を忘れてリフレッシュできる大切な時間です。
学生時代からの友人とは仕事上の立場を離れ、一人の人間として自然体で接することができるため、良い気分転換になっています。
――これから経営の道を目指す方へメッセージをお願いします。
これから経営を目指す方には、財務についてしっかり学ぶことをおすすめしたいですね。どのような業種でも、会社経営には資金管理が欠かせません。
私自身も書籍や動画を活用しながら独学で学んできました。会社を長く続けていくためにも、財務を理解することは経営者にとって大切な力だと思います。
今後も、社員一人ひとりが安心して働ける環境を整えながら、お客様の困りごとに迅速に応えられる会社であり続けたいと思っています。これからも長年培ってきた技術と知識を活かし、人々が安全で安心して暮らせる生活環境を支え続けることで、社会に貢献していきたいですね。