「罅(ヒビ)を抱きしめ、日々にワクワクを」自立して学ぶ力を育み、北海道から世界を目指す
Hibi Academy合同会社 代表 芳野 順哉氏
2020年9月に個人事業として英会話教室を開業し、2025年9月に法人化したHibi Academy合同会社。現在は英会話教室と日本語教室を中心に、東京・旭川・札幌で活動する3人のメンバーがオンラインで連携しながら運営しています。ミッションは「罅(ヒビ)を抱きしめ、日々にワクワクを」。一人ひとりが抱える不完全さや失敗、コンプレックスを否定するのではなく、まずは受け止め、その人の新たな挑戦に寄り添うことを大切にしている芳野氏に、事業内容や目指す教室のあり方、開業のきっかけ、今後の展望などについて伺いました。
目次
不完全さを受け止め、挑戦できる居場所をつくる
――現在の事業内容について教えてください。
私は、英会話教室と日本語教室を主な事業として運営しています。2020年9月に個人事業として開業し、2025年9月の法人化にあわせて、名称をHibi Academyへ変更しました。
私たちのミッションは「罅(ヒビ)を抱きしめ、日々にワクワクを」です。誰もが、自分の不完全さや失敗、コンプレックスのようなものを抱えていると思います。だからこそ、私たちが大切にしたいのは、そうした部分を否定するのではなく、まずは受け止めることです。
その上で、失敗を恐れて挑戦を諦めるのではなく、好奇心やワクワクする気持ちを大切にしながら、新しい一歩を踏み出してほしいと考えています。
――Hibi Academyが目指す教室のあり方を教えてください。
私たちのビジョンは「Hibi (日々・ヒビ)に寄り添うパートナーになる」ことです。「Hibi」という言葉には、毎日の暮らしを表す「日々」と、一人ひとりが抱える不完全さや失敗、コンプレックスなどを象徴する「罅(ヒビ)」という、二つの意味を込めています。
単に知識を教える先生として関わるのではなく、生徒たちに「Hibi Academyに行きたい」と思ってもらえるような居場所をつくりたいと考えています。そのために、生徒一人ひとりとの関係を大切にしながら、2020年の開業以来、「居場所づくり」を続けてきました。
また、ほかの教室との違いとして重視しているのが、「自立学習者を育成すること」です。英語や日本語は、週1回のレッスンだけで話せるようになるものではありません。
レッスン以外の時間にも、自分で意欲を保ち、学習計画を立て、実行していくことが必要です。授業を提供するだけでなく、生徒が一人でも学び続けられるようになるまで、学習方法や学びに向き合う姿勢を育むサポートをしています。
目の前の1人に向き合うことが、経営の原点になった
――開業したきっかけを教えてください。
北海道教育大学を卒業した後、教員にはならず、アメリカへ渡りました。現地の大学生に日本語を教える代わりに奨学金を受けられるプログラムに採択され、ニューヨーク州のユニオン大学で学びながら日本語を教えていました。
日本語を教えるのは初めてでしたが、大学時代に英語教育を専攻し、言語に強い関心があったこともあり、日本語教育の面白さを感じるようになりました。その後、アメリカで就職活動を行い、ハーバード大学で日本語教員として2年間勤務しました。
2020年にコロナの影響や家族の入院などをきっかけに、日本へ帰国。日本の学校で教員になる選択肢もありましたが、当時は20代半ばで、「新たな挑戦をしたい」という思いがありました。
アメリカで学んだことを自分の教室から広めていきたい。そう考え、同年9月に開業しました。既存の枠組みに入る前に、「失敗しても何とかなる」という気持ちで、まずは自分でやってみようと決めたことが、すべての始まりです。
――経営を続ける上で、大切にしていることは何ですか。
開業した当初は、経営についてほとんど知識がありませんでした。初月の生徒は3人だけで、最初の売り上げは1万1,500円でした。家賃が約6万円だったため、売り上げだけでは家賃も支払えない状況でした。
それでも、一つひとつの授業の質を高め、一人ひとりの生徒に向き合うことを大切にしました。少ない生徒数だからこそ徹底したのが、「目の前の生徒に寄り添うこと」です。
その結果、口コミを中心に少しずつ認知が広がり、入会者も増え、開業4か月目には黒字化することができました。最初から戦略的に経営できたわけではありませんが、目の前のこととに丁寧に取り組み、一人の生徒を大切にする姿勢は、現在も変わらない経営の軸になっています。
離れていても、同じ方向を向く組織へ
――3人の組織を運営する上で、どのようなコミュニケーションを大切にしていますか。
現在、私は東京、副代表は旭川、もう1人のメンバーは札幌に住んでおり、全員が異なる場所で働いています。以前は週1回のミーティングを行っていましたが、それだけではコミュニケーションが足りないと感じる場面がありました。
そこで現在は、平日の朝8時から約1時間、3人でオンライン朝礼を行っています。最初の5分ほどは日々の出来事について話し、その後、それぞれの業務内容や会社としての目標、経営方針などを共有しています。
毎日顔を合わせることで、お互いのことを知る機会と、会社の方針について一緒に考える時間も増えました。3人という少人数の組織だからこそ、共通認識を持ち、同じ方向を向いて働くことが重要です。コミュニケーションの頻度を高めたことは、良い経営判断だったと感じています。
早寝早起きと散歩で、自分のペースを整える
――仕事を続けるために、どのように心身を整えていますか。
私は散歩や読書、早寝早起きを大切にしています。普段は朝4時台、早いときは3時台に起き、家事や自分の仕事を朝のうちに進めます。その後、気分転換に散歩をしたり、本を読んだりして過ごすことが多いです。
慌ただしく仕事をするのではなく、落ち着いた環境のなかで、自分のペースを保ちながら取り組むことを心がけています。こうした習慣が、心の落ち着きにもつながっていると感じています。
キャリア教育とインターナショナルスクールを次の事業へ
――今後、どのような事業に挑戦していきたいですか。
現在の目標の一つが、「Hibi Life Design School」という新事業です。高校生、大学生、20代の社会人を対象に、キャリア教育や人生設計を支援するプログラムを計画しています。
現在も月1回、「キャリアデザイントーク」というオンラインイベントを実施しています。社会で働く方をゲストに招き、10代、20代の参加者が少人数で、仕事や生き方について対話する場です。ゲストによる一方的なレクチャーではなく、参加者との対話を大切にしています。
今後は、現在検討している3か月間のプログラムを確立し、授業として持続可能な形にしていきたいと考えています。
また、北海道にインターナショナルスクールを設立することも目標の一つです。候補地の一つとして考えているのが、自然が豊かで、移住者や海外出身者も暮らし、日本語学校もある東川町です。そうした多様な人々と自然が共存する環境の中で、グローバルな学校の設立を目指しています。
――組織面での将来のビジョンを教えてください。
組織面では、札幌で新しい教室を開く予定があり、新たな講師の採用も検討しています。急激に人数を増やすのではなく、まずは4人目となる仲間を迎えたいと考えています。
ミッション・ビジョン・バリューに共感し、教えることだけでなく、生徒一人ひとりとのコミュニケーションを大切にできる方と一緒に働きたいです。5年以内に日本で広く認知される企業となり、10年以内には世界から認知されるグローバル企業になることを目指しています。