遊びの可能性を考え続ける――古民家から生まれる体験と、人との縁を大切にした挑戦

株式会社REX FIELD 代表 波多野 泰平氏

株式会社REX FIELDは、300坪以上ある古民家を活用し、ボードゲームや謎解き、脱出ゲーム、ARスポーツなど、さまざまな遊びを楽しめる場を運営しています。代表の波多野泰平氏は、もともと小学校の教師として子どもたちと関わってきました。自身の好きなことや得意なことを一つずつ形にしながら、現在の施設をつくり上げています。今回は、施設を始めた背景や多彩なコンテンツが生まれる理由、今後の展望、そして経営するうえで大切にしている考えについて伺いました。

300坪以上の古民家を生かした、多彩な遊びの空間

――現在の施設の特徴について教えてください。

一番の特徴は、古民家を使っていることですね。もともと撚糸工場の倉庫と社長宅として使われていた建物で、倉庫も含めると全体で300坪以上あります。

その広さを生かして、倉庫内ではARスポーツの「HADO」や、レーザートラップをかいくぐる潜入ミッション、ミニサバゲーのような体を動かす遊びを楽しめるようにしています。

家の中も部屋数が多いので、個室を脱出ゲームの空間として活用しています。もともと8畳の部屋が4部屋あった場所は仕切りを取り払い、広いスペースにしました。そこではボードゲームをしたり、謎解きに挑戦したりできます。

庭や家全体を使った宝探し、謎解き宝探しもありますし、外では川島の町を歩きながら謎を解く「町探検」も行っています。

――どのような方が利用されていますか。

子どもだけではなく、幅広い方に来ていただいています。カップルで遊びに来られる方もいますし、大学生や社会人の方が仲間や仕事の同僚と集まって脱出ゲームをされることもありますね。

単純に遊ぶだけではなく、コミュニケーションの一環として利用していただいている部分もあると感じています。

教師から施設運営へ――好きなこと、できることを形に

――この施設を始められた経緯を教えてください。

もともとは小学校の教師をしていました。その頃から子どもたちに謎解きを出していましたし、もともとボードゲームも好きだったんです。

教師は病気をきっかけに辞めることになりました。ただ、人と関わりながら何かをすることや、子どもたちの成長を見ることはやっぱり好きでした。体調が良くなってきた頃から、「自分にできることはないかな」と考えるようになったんです。

レクリエーション活動に関する資格を取ったり、自分でイベントを開催したりもしました。「逃走中」のような企画を行っていた時期もあります。その後、コロナ禍で活動を一度断念しましたが、落ち着いたタイミングでちょうど良い物件が見つかり、現在の施設を始めました。運営を始めて3年1か月になります。

――現在の多彩なコンテンツも、これまでの経験から生まれたのでしょうか。

そうですね。自分にできることを考えながら、できるところを少しずつ伸ばしてきた結果だと思います。

スポーツのサークルを主催していた経験もあって、「岐阜でできないスポーツをできないか」と考えて「HADO」を取り入れました。倉庫の空いている場所も何かに使えないかと考えた結果、潜入ミッションにつながっています。

施設の改築も、ほぼ一人で行いました。広げすぎたかなと思うこともありますけどね(笑)。

お客様の「楽しい」が、新しいアイデアの原動力

――活動を続ける原動力は何でしょうか。

やっぱり、お客様が楽しんでくださっている姿を見ることですね。お客様から「こういうゲームはありますか」と聞かれることも多くて、知らなかったゲームをそこで知ることもあります。

実際に仕入れて自分で遊んでみて、「これはいいな」と思ったら、今度はほかのお客様にも伝えていく。そういう循環がありますね。

ボードゲームは月に10個ほど増やしていて、今は400種類ほどあります。ボードゲーム会とマダミス会も、おおむね月1回開催しています。自分自身が楽しむ場でもありますが、お客様にゲームをおすすめするためのインプットの時間でもあるんです。

――謎解きも定期的に新しくしているのですか。

1〜2か月に1つくらいのペースで新しいものを作っています。謎解きは一度解いてしまうと答えが分かってしまうので、リピーターの方にも楽しんでもらうには、新しいものを作り続ける必要があります。

今では20種類以上ありますが、テーマやタイトル、設定によって反応が変わるんですよ。「この設定は外れたな」と思うこともあります。でも、そこで止まるのではなく、「じゃあ次だ」と新しいものを考えるようにしています。

固定観念にとらわれず、「面白そう」を試していく

――今後、挑戦してみたいことを教えてください。

もっと多くの方に知っていただけたらうれしいですね。ただ、「この施設はこういうもの」と固定してしまいたくはありません。何か面白いものを思いついたら、まずやってみたいんです。

今考えているのは、空いているスペースでラジコンを使った宝探しのような遊びです。工事現場のようなイメージで、実際に何かを掘って金を探し当てるような体験ができないかなと考えています。

アイデアは、ボードゲームや謎解きから得ることが多いですね。定休日には自分で謎解きを体験しに行ったり、キットを買って家で遊んだりしています。そこで「これは別のことにも生かせそうだな」と考える。その積み重ねが、新しい遊びにつながっています。

――今後の課題はありますか。

一つは平日の集客ですね。土日祝日はお客様が多いのですが、平日は比較的少ないので、もう少し来ていただけたらと思っています。

もう一つは、後継者を育てる難しさです。いろいろなことを自分でやってきた分、業務がかなり属人的になっています。簡単に真似したり、すべてを覚えたりすることが難しいんですね。そのため、店舗を増やすことは今のところ考えていません。

「考えることをやめない」――変わり続けるために

――経営するうえで、大切にしていることを教えてください。

「考えることをやめない」ということですね。「もうこれでいいや」と思って止まってしまったら、そこで終わってしまうと思っています。

初めて来てくださる方はもちろんですが、今はリピーターの方とのつながりも増えてきました。そういう方との縁を、これからも大切にしていきたいんです。そのためにも、今のものをそのまま続けるだけではなく、新しいものを生み出していきたいですね。

うまくいかない企画があっても、そこで終わりではありません。「じゃあ次は何をやろう」とまた考える。向上心を持ちながら、これからもお客様に楽しんでもらえる新しい遊びを考え続けていきたいです。

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