サウナは自由だ――「自分らしさ」を届けるNova Clearlyの挑戦
株式会社Nova Clearly 代表取締役 加納 優誉氏
株式会社Nova Clearlyは、サウナ関連のアパレルブランド「SAUNA NOVA―サウナノヴァ―」(https://saunanova.shop/)を展開しています。「最高のひとときを身にまとう」「サウナは自由だ」をテーマに、ECサイトでの販売を軸としながら、サウナ施設や企業とのコラボレーションにも取り組んできました。本記事では代表の加納優誉氏に、教員から起業家へ転身した背景や、社員と顧客の幸せを大切にする経営、今後の展望を伺いました。
「サウナは自由だ」を形にするブランド
――現在の事業内容とブランドの特徴を教えてください。
当社の主軸は「SAUNA NOVA(サウナノヴァ)」というサウナ関連のアパレルブランドです。ECサイトでの物販を中心に、サウナ施設への卸販売やコラボ商品も手がけています。Googleなどの企業との企画では、ノベルティや社員の方へのプレゼントにも採用していただきました。
ブランドで伝えたいのは、サウナは「整わなければいけない場所」ではないということです。友人と話すのも、一人で過ごすのも自由。自分が心地よくいられる場所として楽しんでほしいですね。そのきっかけをつくるブランドでありたいと思っています。
――価格や販売戦略には、どのような強みがありますか。
サウナハットは3,000円程度の商品も多いなか、当社は8,000円からと、比較的高価格帯に位置しています。趣味や持ち物にこだわりたい方に選んでいただきたいという考えです。購入者は20代後半から40代前半が中心ですね。
売上の8割以上はEC経由で、ウェブマーケティングに強いメンバーがいることも強みです。一方で、ホテルやサウナ施設などとのコラボも広がっています。施設で商品を知っていただく機会が増えることは、ECでの認知拡大にもつながっています。
教員から起業へ――原点は「自分らしく生きる」
――経営者になろうと思ったきっかけを教えてください。
以前は高校の教員でした。教員を目指したのも、自分らしく生きる子どもたちを増やしたかったからです。ただ、実際に向き合えるのは目の前のクラスの40人ほど。もっと多くの人に影響を与える方法はないかと考えていました。
もともと起業への思いはありましたが、何を事業にするかは決まっていませんでした。コロナ禍にサウナと出会い、自分自身と向き合える場所だと実感したんです。起業しようと決めたのは、実はサウナの水風呂でした。2022年に独立し、事業を始めました。
――会社の理念には、どのような思いを込めていますか。
理念は「全ての人が輝ける世界を作る」、ミッションは「自分らしく生きる」です。SNSなどを通じて周囲の目を気にし、自分の本心を抑えてしまう人もいると感じていました。サウナで肩の力を抜き、自分が本当にやりたいことに気づく。その一歩を踏み出すきっかけを届けたいと考えています。
ブランドを見直す際にも、「サウナは整うためだけの場所なのか」と改めて問い直しました。事業の根底にあるのは、商品を売ること以上に、自分らしさを取り戻す体験を広げたいという思いです。
小さくても強く、社員が輝ける会社に
――経営で目指している会社の姿を教えてください。
目標は、サウナブランドとして日本一になることです。ただ、売上規模で一番という意味ではありません。「サウナハットといえばサウナノヴァ」と自然に名前が挙がる存在になりたいんです。
会社を大きくしたり、上場したりすること自体が目的ではありません。正社員は現在2人で、業務委託の方を含めると10人ほど。少人数でも強い組織を目指しています。社員が輝けなければお客様も輝かせられないと思うので、2030年までに社員の平均年収1,000万円を目指すことも、社内で共有する目標の一つです。
――社員とのコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。
メンバーの意思をきちんとくみ取ることですね。こちらから一方的に「これをやって」と指示するよりも、問いかけによって本人の考えを引き出すようにしています。これは教員時代から意識してきたことでもあります。
社員が遠慮せずに意見を伝え、自分の判断で仕事を進められる環境をつくりたいんです。そのため、私自身は現場との距離を少し置き、メンバーに任せるようにしています。採用でも価値観への共感を重視しており、今の社員は私が「ととのえ先生®︎(https://www.instagram.com/totonoe_teacher/)」として発信するSNSをきっかけに応募してくれた人たちです。
商品を超えて、サウナの体験を届ける
――今後、挑戦したいことを教えてください。
サウナノヴァの世界観を、商品だけでなく実際の体験でも伝えていきたいです。現在、公式LINEの登録者は約8,000人。会員の方だけが利用できるサウナ体験の場をつくりたいと考えています。まずはサウナ小屋と水風呂を備えた比較的シンプルな形から始める構想です。
さらに2030年までには、サウナノヴァが手がける貸別荘も実現したいですね。サウナで自分らしく過ごす時間を、ブランドならではの空間で味わっていただきたい。韓国でサウナを立ち上げるチームとのコラボも進んでおり、海外への販売も考えています。
――現在の課題には、どう向き合っていますか。
やりたいことに対して、実際に手を動かせる人が足りないことです。ECサイトの改善やギフトラッピングの見直しなど、日々の運営と並行して進めたい施策が多くあります。
そこで、コアメンバーである業務委託の方にも協力してもらいながら取り組んでいます。人数だけを増やすのではなく、考え方を共有できる仲間と着実に進めたいですね。
数字だけでなく、日常の小さな幸せを
――最近、経営に対する考え方に変化はありましたか。
先日、パニック障害という病気を発症して約1か月休んだことが、大きな転機になりました。それまでは売上の成長を止めてはいけないと、自分を追い込んでいたんです。でも、数字ばかりを見ていては、理念から離れてしまうと気づきました。
今は「小さな幸せに気づくこと」を大切にしています。例えば、商品に私からのメッセージを添えたら、お客様に喜んでいただけるかもしれません。そんな小さな工夫も積み重ねたい。社員にも、お客様が喜ぶことを考えようと伝えています。
――休日などは、どのようにリフレッシュしていますか。
SNSを見るのをやめたことが大きかったですね。以前はスマートフォンを1日8時間ほど見ていましたが、今は2〜3時間ほどに減りました。その分、本を読んだり、妻と話したり、社員とコミュニケーションを取ったりする時間が増えました。
散歩を気持ちいいと感じることや、純粋にリラックスするためにサウナへ行くこと、家族と旅行すること。そうした日常の幸せを忘れずにいたいです。会社としても、目の前の人が少しでも喜んでくれることを大切にしていきたいですね。