新時代の金融リテラシーから活力へ――BTC教育協会が伝える暗号資産やブロックチェーン技術との向き合い方
一般社団法人BTC教育協会 代表 砂川 惠一郎氏
一般社団法人BTC教育協会は、ビットコインをはじめとする暗号資産やブロックチェーンの基礎を伝える教育活動に取り組んでいる団体です。暗号資産やブロックチェーン技術は、近年急速に社会的な関心を集めており、金融やITの分野だけでなく、物流など、さまざまな領域で活用の可能性が議論されるようになりました。一方で、暗号資産に関しては投資トラブルや情報不足による誤解も多く、正しい理解が十分に広がっているとは言い難い状況です。そうした状況のなかで同協会は、単に投資の知識を伝えるのではなく、技術の背景や仕組み、さらには失敗事例まで含めて学ぶことで、より実践的な金融リテラシーの向上を目指しています。本記事では、代表の砂川惠一郎氏に、事業を始めた背景や現在の取り組み、そして今後の展望について伺いました。
暗号資産やブロックチェーン技術の理解を広げる教育活動
――現在取り組まれている事業内容について教えてください。
当協会では、ビットコインをはじめとする暗号資産や、その基盤となるブロックチェーン技術についての教育活動を行っています。ビットコインは暗号資産として知られていますが、その背景にはブロックチェーンという技術があります。この技術は、通貨の分野だけでなく、さまざまな用途に応用できる可能性があるものです。
例えば、ブロックチェーンは記録の透明性を担保できる仕組みとして知られています。流通の分野でいえば、スーパーに並ぶ魚や野菜などの産地情報が本当に正しいのかを確認する仕組みとして活用できる可能性があります。こうした透明性の高い記録を残せる点が、ブロックチェーンの大きな特徴の一つです。
しかし、一般の方にとってブロックチェーンはまだ馴染みがある言葉とはいえません。技術そのものが表に出てくることは少なく、日常生活のなかで意識する機会もあまりないでしょう。そのため、多くの方にビットコインなどの具体例を通じて技術の仕組みをお伝えし、社会のなかでどのような可能性があるのかを知っていただくことが重要だと考えています。
――現在の組織体制について教えてください。
現在は3名体制で活動しています。まだ小さな組織ではありますが、その分、柔軟に取り組みを進められるのがメリットです。
――教育活動のなかでは、どのような内容を扱っているのでしょうか。
暗号資産の分野で多くの方が関心を持つテーマとして挙げられるのは、投資です。しかしこのテーマでは、投資被害の話も多く聞かれます。そのため当協会では、成功事例だけではなく、失敗事例から学び見極める力を養う教育を行っています。
例えば、「暗号資産をどのように保管するのか」「資産を紛失しないためにはどうすればよいのか」といった基本的な知識は重要な項目です。暗号資産の仕組みを正しく理解していないと、思わぬ形で資産を失ってしまう恐れがあります。
また、暗号資産投資に対しては長期的な視点を持つことの重要性も伝えています。暗号資産は価格変動が大きい分野ですが、ビットコインの誕生から現在までの価格の歴史を見てもらうことで、短期的な値動きだけではなく長期的な視点で考えることの大切さを理解していただけたことが、実績として表れていると感じます。
話題性のあるコインや、有名人の名前が付いたコインなどが登場することもありますが、それが本当に価値を持つものなのかどうかをシステムの視点で考えることが大切です。そうした点も含めて、当協会では一人ひとりが自分で考え、判断できるようになることを目指しています。
成功例より失敗例から学ぶことの多さを実感します。
さまざまな経験を経てビットコインの世界へ
――ビットコインの分野に関わるようになったきっかけを教えてください。
私は、もともとは断熱塗装の事業などに取り組む会社員として働いていましたが、一貫して人々の活力に貢献したいという想いで取り組んできました。その後独立し、その仕事を10年近く続けるなかで、さまざまな分野を見てみたいという思いが次の挑戦につながったのだと思います。
ビットコインを知ったのは、2016年頃でした。当時は現在ほど大きく注目されていたわけではありませんでしたが、この仕組みから学ぶことは大きいと感じ、本格的に学ぶようになりました。
ビットコインは単なる投資対象としてではなく、社会の仕組みとしても非常に興味深いものです。人のつながりや社会の仕組みと重なる部分もあり、そこに可能性を感じたことが、この分野に深く関わるきっかけになりました。
ビットコインが当たり前になる未来に向かって
――現在直面している課題はありますか。
現在の課題として感じているのは、マネタイズの方向性をどこに絞るかという点です。教育活動を中心に取り組んでいますが、どの層に向けてサービスを展開していくのかについてはいくつかの候補があり、現在再構築している段階です。
暗号資産の分野は制度との関係も大きく、税制などの制度がどのように変化していくかによって事業の方向性も影響を受けます。そのため制度の動向も見ながら、どのような形で価値を提供していくかを検討しているところです。
現在も全国各地で多くの投資被害が起きている状況において、暗号資産講師を名乗る方々をどのように見極めるのか、これは業界全体の課題だと感じています。
――今後の展望について教えてください。
まずは暗号資産に安心して向き合える環境の構築、相談所の開設を一つの目安として考えています。ただそれ以上に大切だと思っているのは、ビットコインやブロックチェーンの理解が社会に広がり、成長産業を所得向上に結びつけることだと考えています。
究極をいえば、当協会がなくてもよい世界になることが理想です。技術が社会に定着し、市民権を得るようになれば、暗号資産やブロックチェーンを特別なものとして説明する必要はなくなるでしょう。そのような未来が実現することを期待しながら、活動を続けています。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
以前、頭をけがした経験があり、その際に身体を動かせることが当たり前ではないことを実感しました。動けるときにやりたいことをやらないのは、とてももったいないことです。
もし何かやりたいと思うことがあるのであれば、ぜひ挑戦してみてください。その行動が、次の可能性につながると思います。
ビットコインを学ぶ以上にビットコインから何を学ぶか、私が感じているのはアナログの大切さです。人々の活力が高まる世界への貢献に向け、これからも多くの方とご縁を頂けると嬉しく思います。