地域で育んできた信頼を次の成長へ――江塚自動車商会が挑む新展開
有限会社江塚自動車商会 江塚 諭氏
有限会社江塚自動車商会は、地域に根差して静岡県袋井市で事業を続けてきた自動車会社です。江塚諭氏が事業に携わるようになって以降、これまでの基盤を大切にしながらも、新規顧客の獲得や業務の見直しに着手してきました。なかでも現在力を入れているのが、新車のカーリース事業です。従来の地域密着の強みを活かしながら、変化する時代にどう応えていくのか――今回は、江塚氏に経営の考え方や新たな挑戦などについて伺いました。
目次
これからも地域で必要とされるためには、次の一手が必要だった
――事業に携わるようになって、まずどのような課題が見えてきましたか。
課題は大きく分けると2つありました。1つは、既存のお客様に支えられている状況にあるなかで、高齢化が進んでいる点です。もう1つは、新規のお客様を獲得するための施策が、これまであまり打たれてこなかった点でした。
先代は、地域密着を大切にしながら既存のお客様との関係のなかで事業を回してきました。その考え方自体はよく理解できますし、おかげさまで、これまではそのやり方で当社は成り立ってきました。
ただ、自分が引き継いで続けていく以上は、この先を見据えて動かなければなりません。その際には、「新しいお客様との接点をどうつくるか」が最初の課題として見えてきました。
同時に、社内の進め方についても見直しが必要だと感じました。従来のやり方ではうまく回らない場面もあったためです。
社内の運用改善と、社外への発信――この両方に手を打つために、取り組みを始めました。
――地域密着という強みを残しながら、新しい動きを加えていったのですね。
地域密着であることは当社の土台ですし、そこを変えたいわけではありません。むしろ、その強みをこれからも活かしていくために、新しいやり方を取り入れる必要があると考えました。地域のお客様に長く必要としていただくためにも、今の時代に合った形へ少しずつ変えていくことが大事だと思っています。
情報発信と業務改善で、地域のお客様との接点を広げる
――新規顧客の獲得に向けて、具体的にはどのようなことに取り組まれましたか。
まず力を入れたのが、ブログです。大きな会社に勝つのは簡単ではありませんし、ディーラーのような信頼感の出し方とも違う戦い方が必要だと考えたためでした。広告を大きくかけるのも現実的ではないなかで、「自分たちが勝てる方法」を探した結果たどり着いたのがブログです。
地域やキーワードを絞って、まずはそのエリアで一番を目指す――そう考えて、短期間で300件ほど記事を書きました。どこの車屋もそこまで力を入れていない分野だったこともあり、手応えはありました。実際にブログを書き始めてから比較的早い段階で反応があり、今では新規の問い合わせにもつながっています。
――発信の内容で意識されていることはありますか。
できるだけわかりやすく、隠さずに伝えることです。自動車の整備や修理は、一般のお客様からすると相場が見えにくい部分があります。作業全体の金額だけを見ても、部品代がいくらで、工賃がいくらで、といった「何にいくらかかっているのか、その値段が適正であるか」がわかりにくく、そこに不安を感じる方も多いと思います。
そこで当社では、料金の内訳をできるだけ明確に出すようにしています。先代も大切にしていた明朗会計を心がけることで、お客様もある程度の予算感を持ったうえでお問い合わせをしていただけるようになるはずです。地域のお客様に安心していただくためにも、こうした「見える化」は大切だと考えています。
――業務改善の面では、どのような変化がありましたか。
公式LINEの導入と、スケジュール管理の見直しを行いました。これまでは、代車の管理やお客様対応のスケジュール管理を、ホワイトボードやノートなど手書きで行っていましたが、そこを整理し、管理の仕方を統一していきました。
公式LINEを導入したのは、新規のお問い合わせの窓口としてだけではありません。たとえば車検などでお預かりした車の作業完了連絡を行う際にも活用できます。以前は電話でご連絡していましたが、お客様が出られないこともありました。そこで折り返しの行き違いが出ると、双方に手間がかかってしまいますが、LINEでやり取りできるようにすることで、連絡が取りやすくなりました。業務の効率化とお客様の利便性、その両方につながっていると感じています。
新車カーリースに注力し、地域での選択肢を広げていく
――今後、特に力を入れていきたい事業について教えてください。
新車のカーリース事業です。これまでブログの取り組みを集中的に進めていたのも、その後にこの事業へ注力していくことを見据えていたためです。直近にはWeb上でも案内できる体制も整い、今後は広告も活用しながら広げていきたいと考えています。
カーリースというと、「一時的に借りるもの」「法人が使うもの」とイメージされる方も多いかもしれませんが、当社が取り組んでいるのは、個人利用を前提としたメンテナンスリースです。車体の残価設定によって月々の負担を軽減しながら、さらに車検やオイル交換、税金、保険、タイヤ交換といった代金も全て含まれているので、月々の支払いが一定となり家計管理もしやすいサービスになっています。
――地域密着の会社がカーリースを強化する意義はどこにあるのでしょうか。
これから先、車に対する価値観は少しずつ変わっていくのではないかと感じています。従来のように「所有する」ことが前提ではなくなり、維持や管理も含めて、負担の少ない乗り方を求める方が増えていくかもしれません。車検や必須整備はもちろん、オイルやタイヤなどの消耗品の交換時期なども全て当社が管理するので、あまり車に興味のない方やメンテナンスが分からない方でも安心してカーライフを過ごすことができると考えます。
そのなかで、ただ車を提供するだけでなく、その後のメンテナンスまで含めて地域の会社がしっかり支えていくことには大きな意味があると思っています。お客様にとっては、月々の支払いがわかりやすく、管理の手間も減りますし、当社としても、地域のお客様との関係を継続的につくっていける形です。地域密着だからこそ、「売って終わり」ではなく、困った時にすぐに気軽に相談できる、安心安全のカーライフを伴走できる形をつくっていきたいと考えています。
採用はこれからの成長に欠かせないテーマ
――今後はどのような会社づくりを目指していきたいですか。
地域のお客様に今まで以上に頼っていただける会社にしていきたいです。そのためには、新規のお客様にも知っていただくこと、既存のお客様にとっても使いやすい会社であること、そしてそれを支える人材がいること、この3つが必要だと思っています。
そのため、採用も今後しっかり取り組んでいきたいテーマのひとつです。将来的には、認証工場から指定工場へと進んでいくことも視野に入れており、そのためには、年間の実績や人員体制、資格を持つ人材の配置や教育プログラム作成など、いくつもの条件や乗り越えるべき壁があります。簡単に進められるものではありませんが、だからこそ、採用面を重視しながら進めていきたいです。今後様々なことにチャレンジして行くにあたり、変化を恐れずに新しいことにトライしてみたい方はぜひご連絡お待ちしております。
カーリース事業の強化も、採用への取り組みも、すべては地域の中で必要とされ続ける会社になるためのものです。大きく広げることだけが目的ではなく、この地域でしっかり信頼され、選ばれる存在であり続けること――その積み重ねが、これからの当社の成長につながっていくのだと思います。