住宅業界を変革するVRの力――デジタルビルドが描く未来と挑戦
デジタルビルド株式会社 代表取締役 佐藤昂併氏
住宅業界における課題解決に真正面から向き合い、テクノロジーの力で新たな価値を提供するデジタルビルド株式会社。VR技術を活用したサービスを軸に、業界の構造そのものを変革しようとする同社の取り組みは、単なる制作会社の枠を超えています。本記事では、代表取締役の佐藤昂併氏に、事業の特徴や強み、経営に対する考え方、そして今後の展望について伺いました。
住宅業界に革新をもたらすVRサービス
――現在の事業内容について教えてください。
当社は、全国の住宅メーカーや工務店に向けて、国内最安値でVR制作サービスを提供しています。VRといっても大きく二つあり、完成した建物を360度カメラで撮影するものと、完成前の建物をCGで再現するものがありますが、当社は後者、つまりCGで完成イメージを作るVRを中心に展開しています。
住宅購入を検討するお客様にとって、完成前の建物をリアルに体験できることは非常に価値があります。図面やパースだけでは伝わりにくい空間の広がりや動線を、VRによって直感的に理解できるようになるため、意思決定のスピードや納得感の向上につながります。
――御社の強みはどのような点にありますか。
一つは技術力です。私は前職でバーチャル住宅展示場の事業責任者を務めており、住宅業界におけるVRの活用について深い知見を持っています。また、住宅設計やCG制作、さらに販売促進の現場にも携わってきたため、多角的な視点でサービスを提供できる点が強みです。
そしてもう一つは価格です。一般的にVR制作は30万円前後が相場ですが、当社は6万円で提供しています。これは制作工程の効率化を徹底的に進めた結果実現できたものです。価格の壁を下げることで、より多くの企業にVR導入を促し、業界全体の変革につなげたいと考えています。
住宅価格の課題に挑む経営思想
――事業を通じて実現したい目標を教えてください。
最も大きな目標は、住宅価格を少しでも下げることに貢献することです。現在、資材価格の高騰などにより住宅価格は上昇しており、購入を諦める方も増えています。その一因として、モデルハウスの維持費など高額な広告費が建物価格に転嫁されている点があります。
VRが普及すれば、物理的な展示場に依存する必要が減り、結果としてコスト削減につながります。当社はその一助となることで、住宅業界全体を活性化させたいと考えています。
――海外人材の活用についても取り組まれていると伺いました。
はい。当社のスタッフの大半は海外、主にフィリピンを中心とした発展途上国の人材です。彼らに仕事を提供し、スキルを高めてもらうことで、双方にとって価値のある関係を築いています。
将来的にはミャンマーなど他の地域にも広げ、より多くの人材を育成していきたいと考えています。住宅業界は人手不足が深刻なので、こうした取り組みを通じて業界の課題解決にも貢献できると考えています。
グローバル組織を支えるマネジメント
――組織運営で意識されていることは何でしょうか。
大切にしているのは「還元」と「対話」です。成果を出したスタッフにはしっかりと報酬で還元し、モチベーションを高めることを重視しています。実際に副業として関わっているメンバーでも、本業の収入を上回るケースもあります。
また、一人ひとりの夢や目標を聞く機会を設けています。月に一度の1対1ミーティングを通じて、個々の目標を共有し、それを実現するためのサポートを行っています。
――コミュニケーションで重視している点を教えてください。
「リスペクト」です。特に海外スタッフに対しては、対等なパートナーとして接することを強く意識しています。過去の経験から、相手を尊重しない姿勢はモチベーション低下につながると感じているため、常に敬意を持って接することを心がけています。
AIと海外展開で広がる未来
――今後の展望についてお聞かせください。
今後、VR制作の多くはAIに置き換わっていくと考えています。そのため、AI開発への取り組みは不可欠です。当社としてもこの領域には積極的に投資し、次のステージへ進んでいきたいと考えています。
また、海外との連携もさらに強化していきます。フィリピンでは別事業としてマーケティング会社も運営しており、日本のプロダクトを現地に展開する支援を行っています。現地の富裕層とのネットワークもあるため、日本の不動産購入につなげるなど、新たな可能性を広げていきたいです。
――現在の課題とその取り組みについて教えてください。
サービス自体の評価は高く、商談に至れば高い確率で導入いただいていますが、まだまだ認知が十分とは言えません。そのため、販路拡大が大きな課題です。
現在は不動産ポータルサイトを運営する企業と連携し、販売代理店としてサービスを広げています。こうしたパートナーシップを活用しながら、より多くの住宅会社にVRを届けていきたいと考えています。
変革への想いとこれから
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
私たちは、住宅業界を良くするために事業を行っています。VRという技術を通じてコスト構造を見直し、より多くの人が住宅を手にできる環境をつくりたい。その想いがすべての出発点です。